2021年度より科目責任者となっている「薬科学概論」(1年春学期)では、研究マインドの向上を目指してオムニバス方式で幅広い専門分野の教員から研究の魅力を対面で伝えて頂いた。さらに今後のキャリアパスの拡充を踏まえて、アントレプレナーシップの意識付けや海外における研究留学に関する情報提供を行った。今後もアカデミアのみならず、産業界などで活躍する幅広い人材に講義を依頼する予定である。 1年秋学期における「細胞の機能と構成分子」は2021年度に続いてオンデマンド配信となったが、昨年度と同様にK-LMS学修支援システムの機能を活用して授業に対する質問・コメントの入力を義務付けて聴講を促すとともに、次回講義で質問に対する回答を行うなどして可能なかぎり双方向のコミュニケーションを心掛けた。さらに、各自にオリジナル問題作成とその模範解答の作成を行う課題を与えることで、より深い理解を促した。 2年春学期の「免疫学1」は対面式での講義を実施した。COVID-19パンデミック発生以来、学生の免疫学に対する関心は高まっているが、さらに免疫の異常は多様な疾患の素因となることを説明するとともに、各免疫現象の発見やワクチン開発の歴史を説明することで免疫学への関心を引き出すよう心がけた。また、免疫応答は多岐に亘り複雑であるため、単に個別の分子や細胞を暗記するのではなく、システム全体を説明できるようになることを目標として講義を行った。 「生化学1」では核酸の構造と機能、DNAの複製、転写、翻訳のメカニズム、遺伝子発現の調節について、パワーポイントスライドと動画を用いてわかりやすく解説するとともに、各講義後に講義内容についての復習問題を授業支援システムにより行った。さらに各講義中の学生からの質問をアンケート機能によって受け付け、次回以降の講義でフィードバックを行うなどして学生の理解度を高めた。 「細胞の機能と構成分子」「免疫学1」「生化学1」で身につけた知識は、2年秋学期の「生化学実習」の基本的知識となり、実習を行うことで当該分野の知識と技能を体系化して身につける機会を提供している。実習前の導入講義では、概要する箇所を簡潔に振り返るとともに、各実習の事前講義として上記の科目内容の確認を行った。生化学実習では、例年受講生を3分割して行っている。しかし前年度まで、コロナ禍における制約から2分割にして実施したところ3分割よりも効率良く実施できる事が判明した。また、レポートの成績や実習後の実習テストの成績も2分割で実施時の方が上昇傾向にあった。そこで2022年度も、コロナ禍と同様に2分割で実施した。なお、ほぼ全ての実習項目はコロナ禍前のように対面にて実施している。従って、生化学実習が目的としている、細胞生物学、免疫学、生化学の知識と技能の体系化については、例年通り達成出来た。今後も、実習内容を適宜見直すことで、より実践的な生化学実験の知識と技術の習得を促す予定である。 学会の開催が徐々に正常化してきたことから、研究室に配属された学部生および大学院生については、最新の研究データを習得し発表スキルを養うために、学会・シンポジウムへの積極的な参加を促した。また国際コミュニケーション能力を高めるため、英語での発表を求められる日本免疫学会やCell Symposia: The Neuro-Immune Axisなどにも学生を参加させた。生命科学分野では研究領域を跨ぐ広い視野が求められる。そこで、当講座では異分野との共同研究を推進しており、特に工学部の研究者との薬−工連携研究に学生を積極的に参画させることで、新たな免疫制御法に対する理解を深めた。 大学院生については、積極的に塾内および外部奨学金に申請することを推奨し、教員によるサポートを行った。その結果、学術振興会特別研究員DC1に2名、吉田育英会ドクター21に1名、免疫学会「きぼう」プロジェクトに1名が採択された。この他、JST次世代博士支援プログラムにも2名が採択された。また慶應義塾博士課程学生支援プログラムに3名が採択された。これらの申請書作成を通じ生化学講座 5 生化学講座 111
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