大学院 他学部・研究科出講 研究概要 交流を行うものである。参加学生は文化、教育、医療などにおける日本とのさまざまな違いについて大いに学び、多くの刺激を受けることができる。本年度は、COVID-19 感染拡大により実施できなかったが、是非来年度は開講したい。 Medical Pharmacological Lecture in English [春学期(1 単位・選択)] (大谷・分担) 修士 (薬科学) の学生を対象に、英語によるプレゼンテーション技能を向上させることを目的として、フォスター教授らとともに演習形式での講義を実施した。 ・医学部「臨床薬剤学」(2 単位)(大谷・科目責任者、1 コマ) ・医学研究科「創薬科学」(1 単位)(大谷・科目責任者・5 コマ、秋好 3 コマ) ・医学研究科「医学特別講義」(大谷・分担、1 コマ) ・医学研究科「基礎腫瘍学/先端ゲノム医学」(大谷・分担、1 コマ) ・看護医療学部「看護のための薬理学」(大谷、1 コマ) ・健康マネジメント研究科「臨床薬理学」(2 単位)(大谷 4 コマ、秋好 1 コマ) I CYP2C19 variants の clopidogrel 代謝活性に対する vonoprazan の阻害特性解析 Vonoprazan (VPZ) は cytochrome P450 (CYP) 2C19.1A の代謝活性を時間依存的に阻害する(mechanism-based inhibition; MBI)。一方で、CYP2C19 にはアミノ酸置換を伴う遺伝的 variants が存在するが、それらに対する VPZ の阻害特性は不明である。本研究では、in vitro において、3 種類の CYP2C19 variants (CYP2C19.1A, .1B, .23) 間で、CYP2C19 基質 clopidogrel (CPDG) の代謝活性に対する VPZ の阻害特性を比較した。その結果、VPZはいずれの variants においても CPDG の代謝活性を preincubation 時間依存的に阻害し、MBI が観察された。最大不活化速度定数 (kinact,max) はCYP2C19.1A と比較してCYP2C19.1Bでは0.6倍に低下したのに対し、CYP2C19.23では2.1倍に上昇した。kinact,max の 1/2 の不活性化をもたらす阻害剤濃度 (KI) は CYP2C19.1A と比較して CYP2C19.1B では同程度、CYP2C19.23 では 2.8 倍に上昇した。以上より、VPZ による CYP2C19 の MBI 特性は variants 間で異なることが示された。 なお、本研究は、琉球大学医学部との共同研究にて実施した。 Ⅱ Verapamil による CYP3A4 阻害を介した薬物相互作用の個人差の定量的予測 Verapamil (VER) およびその代謝物 norverapamil (NOR) は cytochrome P450 (CYP) 3A4 基質かつ時間依存的に CYP3A4 を阻害する (mechanism-based inhibition; MBI) 自殺基質である。また、CYP3A4 には遺伝的 variants が存在し、それらの間では VER の代謝活性や VER および NOR のMBI 特性が異なる。しかしそれらの差異が in vivo における VER と CYP3A4 基質との薬物相互作用(DDI) にどの程度の影響を与えるかは不明である。本研究では生理学的母集団薬物動態シミュレータ (SimcypTM) を用いて VER およびNOR による CYP3A4 の MBI を介した DDI の程度に対する遺伝的 2 ■■■■■■■■■ 118 臨床薬物動態学講座
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