医薬品副作用自発報告データベース(JADER)を用いたワクチンの市販後安全性監視に適したシグナル検出法の検討 病院における造影剤副作用マネジメントと薬剤部の関わり方に関する実態調査 ■■医薬品情報学講座■130 医薬品情報学講座 (日本薬学会第143年会にて口頭発表,医薬品情報学誌に採録) た.リフィル処方箋の制度がスタートした直後の2022年6月から7月にかけて,薬局の薬剤師(各店舗1名)を対象に,自記式質問紙調査を実施した.質問項目は,リフィル処方箋に対する薬局の体制,リフィル処方箋応需状況,リフィル処方箋に対する不安や課題であった.日本全国34都道府県にのぼる377名から回答を得た.リフィル処方箋を受け付けたことがあるのは30.8%であった.リフィル処方箋の適切性を判断する際に確認する項目として,薬歴の情報,患者の症状の変化,薬の服用状況,受診状況が多くの回答者で挙げられていた一方で,過去の検査値を確認したり薬局の測定器を用いて患者に検査値を測定してもらったりする者は少なかった.また,リフィル処方箋応需のための内規がある薬局は34.8%であり,血圧や血糖値等の検査値を測定する機器がある薬局は39.8%であった.さらに多くの薬剤師が他薬局との情報共有に不安を感じていた.リフィル処方箋の課題として,「リフィル処方箋が患者に適しているかどうかの判断」「リフィル処方箋受け入れのための薬局の体制整備」等が挙げられていた.本研究により,リフィル処方箋応需の状況とそれに係る薬局の設備や体制,薬剤師が抱える不安や課題が明らかとなった.薬局で検査値測定可能な機器の充実,家庭用測定機器の充実,リフィル処方箋の適切性を判断するための手引作成,薬剤師のスキル向上が重要であると考えられた. 通常健常人へ接種されるワクチンは,副反応の忍容性が低い等,特有の留意点がある.そのため,市販後の安全性監視が極めて重要である.そこで本研究では,医薬品副作用自発報告データベース(JADER)を用いてワクチンに適したシグナル検出法を確立することを目的とした.市販後に添付文書の改訂が行われたワクチンと副反応の42の組合せを対象とした.2004年~2020年12月の有害事象報告を「JADER全体」とした.加えて,本研究ではその中からワクチン症例のみを抽出した「ワクチンデータセット」を構築し,各々のデータセットを用いてシグナル検出を試みた.1四半期毎にその時点まで蓄積されたデータのReporting Odds Ratioを算出し,添付文書の改訂前にシグナル検出がされるかを評価することで,ワクチンの安全性監視におけるJADERの有用性を検証した.2013年の予防接種法改正により報告特性が変化した可能性があるため,2013年以降の組合せの傾向を別途確認した.JADER全体を用い安全性監視を行うと,62%の組合せについては添付文書改訂よりも少なくとも1Q前にシグナル検出された.また,ワクチンデータセットのみを用いると31%が,2つのデータセット両者を用いると67%の組み合わせが添付文書改訂前にシグナル検出された.また,2013年以降の10組の結果に着目すると,2つのデータセットを用いることで,その全てのワクチンと副反応の組合せで,添付文書改訂前にシグナル検出された.以上より,JADERはワクチンの市販後安全性監視に活用可能であり,JADER全体とワクチンデータセットを併用することが有用である可能性が示された. (日本医療薬学会 第5回フレッシャーズカンファランスにて口頭発表,J Clin Pharmacol誌に採録) 非イオン性ヨード造影剤投与により発症する副作用は重篤となり得ることから,その適切なマネジメントが重要である.本研究では,病院薬剤部が造影剤投与時に介入する機会ならびに造影剤の副作用リスクに対する意識について調査し,造影剤の適正使用への薬剤師の関わりの現状を明らかにすることを目的とした.首都圏に位置する16病院(約200床~1000床)の薬剤部を対象とした自記式質問紙調査により,各施設における造影剤投与に関する内規またはマニュアルの有無,リスク因子を有する患者への対応,薬剤師の介入機会,
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