慶應義塾大学薬学部 教育・研究年報2022
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■■医薬品情報学講座■132 医薬品情報学講座本年度の講座構成員は教員3名のほか,後期博士2年生1名,薬学博士2年生1名,薬学博士1年生3名,修士2年生3名,修士1年生2名,学部6年生9名,学部5年生10名,学部4年生12名,学部3年生2名,共同研究員3名であった.博士課程在籍学生が6名おり,学生間での縦のつながりも生まれ,研究を活性化していく上で良い環境が構築されつつあると考えている. 本年度は,地域医療における医薬品適正使用・医療安全を推進するためのシステム構築を目指して,薬局やIT企業などと4件の共同研究契約を締結して研究を行った.これらにより,地域薬局を核として地域医療をフィールドとした情報学研究・実践を推進していくための基盤を構築することができたと考えている.本学医学部との医薬連携を基盤とした,精神神経科,同内科学教室(神経)との共同研究も進行中である.奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)(ソーシャルコンピューティング研究室),国立精神・神経医療センター(トランスレーショナル・メディカルセンター),亀田総合病院薬剤部とは月1回の定例ミーティングを実施し,相互の密な連携のもと研究を展開している.このほか,2022年10月からJST CREST(バイオDX「リアルワールドテキスト処理の深化によるデータ駆動型探薬」)のチーム型研究プロジェクト(NAIST,東京大学医学部附属病院(医療AI開発学),当講座)もスタートした.癌研有明病院薬剤部,けいゆう病院薬剤部, 横浜市みなと赤十字病院薬剤部,宮城県立がんセンターをはじめ,病院薬剤部との共同研究も継続している.本年度は,これらの共同研究成果も多く学会や学術誌にて発表した.来年度も引き続き,これらの研究を着実に発展させていきたい. 本年度は研究推進のための公的資金として,科学研究補助金(科研費)基盤研究B(2021-2023年度堀),科研費挑戦的研究(萌芽)(2022-2024年度 堀),JST-CRESTバイオDX(2022-2027年度,堀(主たる共同研究者)),科研費若手研究(2020-2023年度 今井)を運用した. 学部学生の教育に関しては,引き続きオンラインの活用を含めた適切な講義・演習・実習の形を検討していく予定である.特に,学部3年生を対象とした「実務実習事前学習(実習)」は,実務実習直前に全員が受講する実習であるため,その重要性は大きいと捉えている.授業内で実施した学生からのフィードバックをもとに実習内容について再考し,学生の学びの最大化を可能とする実習の構築を模索する.また,配属学生の指導については,日々のディスカッション・論文紹介ゼミ・研究進捗報告を通して学生の成長を促し,より高いレベルで研究が推進できるように努力する.教員自身が研究に真摯に取り組む姿勢を見せることで学生にとってのロールモデルとなり,研究の面白さややりがいなどについても指導する.配属学生に対する指導を通じて,市販後情報を扱う領域で活躍する人材の輩出を目指すとともに,配属学生からコンスタントに大学院に進学してもらうことを目指す. 本年度は講座の研究体制が刷新されて5年目となり,配属学生が筆頭発表者として学会発表や学術論文を通して研究成果を積極的に発信していける体制が整ってきた.来年度は,国内外の研究者とのディスカッション・交流の機会を多く作り,さらなる研究の展開を目指したい. III.改善計画 II.研究について

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