3学部合同教育に対しても、コアメンバー(松元)として後期教育の企画・運営に携わり、今後の三 Ⅱ.研究について 改善計画 医療は日進月歩で進化しており、医療制度の変更、新薬など最新の情報を取り入れ、講義、演習、実習を行っている。3年時の「実務実習事前学習1、3、4」、「医薬品情報学2」、「製剤学2」は、到達目標に基づいて講義内容を検討し、事前学習に行く前に学生が身に着けておくべき基本事項を整理し講義した。さらに、東京都練馬区薬剤師会会長から医薬分業、薬局薬剤師の業務、患者情報の取扱いについて講義をして頂いた。 実務実習事前学習では、本講座が中心となる「無菌操作の実践」では、例年同様“手洗い・手袋の着脱”実習は薬効解析学講座の5年生が全て担当した。実務実習での経験を活かしたプログラムで学生を指導することにより学生のモチベーションも向上し、大変好評であった。さらに、ワクチン接種時の対応を学習するために、問診、ワクチンの接種方法、フィジカルアセスメント、アナフィラキシー対応をフィジコ等を用いて新たに実施した。講義だけでは分かり難いところを実際に行うことで学生の理解が深まった。薬学共用試験OSCEに対しても、実施委員長(松元)、ステーション責任者(田口)、ステーション副責任者(榎木)として主体的に関わり、トラブルなく終了することができた。 学部合同教育の方向性についても検討することができた。 本講座は、医薬品の効果および副作用、いわゆる薬効を解析することにより、新たな薬物療法の確立を目指して研究を行っている。 医薬品の効果を最大限発揮し、副作用を出来る限り回避するために、薬効に影響を与える要因を解析し、患者個々に最適な薬剤選択ならびに投与法を明らかにしている。また、医薬品の新作用を見出したり、DDS製剤の開発をしたりすることにより新たな治療法を確立している。さらに、医療現場における様々な問題点を抽出し、臨床研究や基礎研究を展開することにより、医療現場で役立つエビデンスを構築している。 今年度は、MRSA感染症ならびにCDI治療に関するシステマティックレビュー、メタ解析を実施し、抗菌薬選択や用法・用量設定に役立つデータを得ることができた。基礎研究では、VCM、TZD、TEICならびに抗菌薬併用時のin vitro、in vivo PK/PD評価を実施し、臨床使用時の根拠となるエビデンスを構築することができた。さらに、FDXとTZDの新作用として抗炎症効果をin vivo試験で見出した。DDS研究では、赤血球バイオミメティックの観点からリポソーム型人工赤血球を用いた一酸化炭素送達システムを構築して、一酸化炭素のARDSの予防薬としての可能性を見出した。また、メトヘモグロビンーアルブミンクラスターがシアン中毒や硫化水素中毒に対して高い解毒効果と即効性、さらには長期保存安定性を有することを実証し、多様な中毒に対する解毒剤としての潜在性を実証した。サルコペニアに関する研究では、骨格筋と感染症免疫細胞や腎臓とのクロストーク機序に関する研究を展開した。廃用性筋萎縮病態下では敗血症発症後の免疫細胞による感染制御機構のうち、抑制性免疫系の過剰な抑制が誘導される結果、予後不良と関連する可能性を見出しており、詳細な分子機序を研究している。また慢性腎臓病による遠隔臓器の線維化モデルを新たに作成し、このモデルを用いて、慢性腎臓病による遠隔臓器 (骨格筋、肺、肝臓、心臓) の障害誘導機序を詳細に検討している。 このように今年度も幅広い分野の研究が展開でき、英文原著論文25報を発表するとともに、国内学会発表を35回行うことができた。 薬効解析学講座 9 薬効解析学講座 145
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