慶應義塾大学薬学部 教育・研究年報2022
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ある。論理的判断力を磨くため、卒業研究では、個別に設定された研究プロジェクトの責任者として、仮説を検証するための研究計画を立案して実験を行い、その結果を文献情報とともに評価し、洞察するプロセスを繰り返し行った。薬剤学講座では、薬物の体内組織分布を規定する「関門」に着目し、胎児への薬物移行を制御する胎盤関門の研究を中心に展開している。関門における物質輸送機構は支配組織における薬物の作用・副作用を直接的に規定するため、研究を通じて得られる知見は薬の有効性や安全性を判断する上で大切な情報となる。卒業論文表題は以下の通りである。 ü 胎盤Mate1がMPP+の胎児移行性種差に与える影響(鈴木 あしゅかん) ü ラットにおける妊娠時高血圧が仔の出生後の行動に与える影響(立澤 佑磨) ü 短鎖脂肪酸がマウス流産率および脱落膜免疫細胞に与える影響(福森 岳) ü ヒト栄養膜幹細胞から分化させた合胞体栄養膜細胞におけるpropionic acid輸送(緑川 凜) 英語演習 [春/秋学期(薬学科選択)] (科目責任者:登美、分担:西村・野口、菅沼) 薬物体内動態に関連する文献を中心として、広く自然科学に関する最新の英文原著論文を自ら検索・選択し、内容を研究室内で紹介することで、論文を熟読し、内容を理解する能力をつけることを目標とした。研究成果発表を英語で行うことにより、英語でのプレゼンテーション能力を涵養した。 卒業研究 [春/秋学期(薬学科必修)] (科目責任者:登美、分担:西村、野口、菅沼) 「事物を疑いて取捨を断ずる」論理的判断力を確立することは、薬剤師としては勿論、社会人として重要な能力である。論理的判断力を鍛える実践の場である卒業研究では、個別に設定された研究プロジェクトの責任者として、仮説を検証するための研究計画を立案して実験を行い、その結果を文献情報とともに評価し、洞察するプロセスを繰り返し行った。薬剤学講座では、薬物の体内組織分布を規定する「関門」に着目し、胎児への薬物移行を制御する胎盤関門の研究を中心に展開している。関門における物質輸送機構は支配組織における薬物の作用・副作用を直接的に規定するため、研究を通じて得られる知見は薬の有効性や安全性を判断する上で大切な情報となる。卒業論文表題は以下の通りである。 ü 深層学習による画像解析を用いた遺伝性早老症に対する新規治療法探索(石原 朋実) ü ラットにおけるメチルマロン酸の排泄にプロベネシドが与える影響(小林 咲央里) ü タンパク分子数を基準としたOAT4/OAT3-MDCK細胞を介した輸送の補正(榊原 早織) ü 絨毛癌由来JEG-3 細胞の分化で変動するmiRNAが胎盤機能に果たす役割(鈴木 志織) ü ヒト血管内皮細胞による絨毛外栄養膜細胞の浸潤誘導(田島 幸佳) ü ü 胎盤における有機カチオン輸送体タンパク発現量種差の解析(山内 青依) OCTN1を介したエルゴチオネインのマウス胎盤透過機構の解明(中村 綾音) 高度研究機器特別演習 [春学期](分担:西村) 創薬研究や生命科学研究に欠かすことのできない質量分析法について理解し、その操作方法およびデータ解析方法を習得することを目的に演習を行なった。 学部5・6年 大学院 薬剤学講座 3 薬剤学講座 195

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