慶應義塾大学薬学部 教育・研究年報2022
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自己点検評価 基礎教育講座の教員は、原則的に日吉キャンパスでの講義・演習を受け持ち、2年生以上の教育は芝共立キャンパスに出講して行うかたちをとっている。日吉キャンパスに所属していることから、例年、1年生の全般的なサポートを担当している。日吉キャンパスでは今年度から対面授業が完全に復活・継続され、学生たちの生活は(パンデミック以前のように)正常に戻った。学生たちは友情を育み助け合いながら、有意義で楽しい学生生活を送ることができたようだ。日吉キャンパスでは授業中だけでなく授業外でも、他学部生や留学生と交流する機会を持つことができる。学生たちにとって、本拠地である芝共立キャンパスでの生活が始まる前の日吉キャンパスでの生活は、視野を広げる意味でも非常に貴重なものである。 授業においては、上記専任スタッフ3名は薬学研究のためのコミュニケーションスキル、科学と社会などの語学科目、数学、医薬統計など、薬学習得上基礎となる科目を中心に講義・演習を行った。また、医療系三学部(医学部、看護医療学部、薬学部)の合同教育では、ワーキンググループ委員として1名(井上)、ファシリテーターとして1名(植村)が参加するなど、基礎教育教員が薬学部における幅広い活動を支えている。 フォスターは日吉と芝の両キャンパスで学部生および大学院生の英語科目を担当しているが、今年度もすべての講義を対面で実施した。1,2年生は科学・医学・薬学分野の英語の基礎はもちろん、正式な科学的プレゼンテーションのスキルを身につけることができた。国際的な海外臨床実習を控えた5年生や博士課程の学生に対しては、臨床解剖学や医学用語の基礎を紹介し、実用的な薬学専門英語の指導を更に効果的に行った。どの授業においても、学生たちは新しいトピックや最近のトピックを盛り込んだ内容に高い関心を示し、授業後には質問のために長蛇の列を作る。学生の中には、以前は退屈で意味が分からなかった英語が好きになったと感謝する者もいる。英語の授業は、英語の知識や使い方を身につけるだけでなく、科学、医学、社会、自分の世界など、視野を広げる場でもあることを示している。また対面講義において友人関係を築く機会を得られたことを喜ぶ学生の声を聞くことも多かった。2023年2月~3月、日本薬学教育認定機構(JABPE)の「薬学教育評価」改訂に伴う英語版公式作成支援を実施した。 植村は1,2年生の必修英語科目を担当した。コロナ禍の感染防止対策が各キャンパスとも昨年よりやや緩和されたこと、また、規制がある中で授業をおこなうことにも慣れてきているため、昨年度よりもさらに柔軟に対応できたと考えている。 井上が日吉キャンパスで担当する「基礎数学」や「数学」は今年度からようやく対面での実施が許可され、学生たちは授業中に同級生の様子を確認したり、授業後に教員に気軽に質問をすることが出来るようになった。昨年度まで、他の学生と同様に受講することが出来ているかが分からずに不安とストレスを感じている学生が多く見られた。しかし今年度は、学生たちは良い意味でリラックスして授業に参加することが出来ていたようだ。授業の内容に関しては3年間のオンデマンド授業の経験を活かし、基本問題は授業中に一緒に演習し、応用問題はオンライン上の解説ビデオを視聴させることで、授業中により多くの項目を盛り込むことが出来た。芝共立キャンパスにおいては引き続き対面での授業を実施した。日吉キャンパスでの授業と同様、対面とオンラインそれぞれの長所を生かした授業を展開することができた。 2 基礎教育講座 210 基礎教育講座

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