慶應義塾大学薬学部 教育・研究年報2022
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自己点検・評価 薬学教育研究センター 11 薬学教育研究センター 223薬学教育研究センターは、5名の教員(鈴木教授、横田、石川准教授、森脇講師、權田助教、センター長は学部長が兼任)を構成メンバーとして活動している。 Ⅰ.教育について 本センターは、化学、生物などの基礎科目、およびヒューマニティ・コミュニケーション、情報科学といったグループワークを活用する科目を担当し、それらの授業内容や方法、評価方法の検討を行うほか、薬学部における実験実習の最初のユニットを分担して担当している。一部の専門科目も担当しており、薬学部の教育全体に係わっている。2022年度は実習・演習科目だけでなく、必修科目も対面授業に戻る過程となった。 本センターの重要な責務は、薬学部学生の学習への取り組みを支援し、学生の学力を向上することである。特に、CBT、薬剤師国家試験という薬学部で習得する知識を問われる試験への対策に本センターは関わっている。CBT対策としては、秋学期の選択科目「総合薬学演習1」および自由科目「生物系薬学演習」、「化学系薬学演習」を担当し、薬学科学生が必要な基本事項を確認する機会を設けるとともに、その後の実務実習に向けて学生の学習意識を高めるようにした。また、学生主体のCBT対策委員会の組織、運営、対策講義の実施を支援し、CBTに向かって4年生同士が学習に対するモチベーションを維持するように対応した。一方、国家試験対策に関しては、6年次必修科目「薬学演習」の学習到達度試験の試験問題作成、さらに、薬学演習、総合薬学演習2及び3の講義内容のコーディネート、講義の実施を行った。CBT対策・国家試験対策ともに、学生による対策委員の連携、情報伝達を促すために、例年情報交換会を実施しているが、2022年度はハイブリッド(対面+ライブ配信)で実施した。第108回国家試験終了後に実施する受験した6年生の解答状況調査はオンラインでのアンケートサイトで実施したが、最終回収率は58.5%と前年度の85.4%より大幅に低下したため、6年生への依頼、周知方法等に工夫が必要である。アンケートサイトに登録された解答はすぐに採点し、本人に個人票を郵送した。さらに、問題ごとの正答率などを教員に提示して、学生の習得状況を把握し、以後の教育の参考にできるようにした。本学の国家試験対策の大きな特徴として、国家試験に対して学生主体の対策委員会が機能していることがあり、学生の主体性を維持できるように、適宜情報提供・個別のアドバイスを行なうことを進めている。一方、成績が芳しくない学生に対する個別指導も必要であり、試験の結果に応じた対応は必須となる。今後も、この2つのシステムを維持することが、本学の学生主体の教育を展開する上で重要である。 本センターのもう一つの責務であるヒューマニティ関連講義の担当については1年次の「生命倫理」と3年次の「医療・薬剤師倫理」、選択科目ではあるが、2年次に「生命科学と倫理」を開講することで倫理教育の継続性を図っている。また、「生命科学と倫理」は、倫理系必修科目が設置されていない薬科学科の学生も選択できるため、科学技術の進歩の面から倫理について考える機会となり、卒業研究開始時に実施する「研究倫理集中演習」につながっている。2022年度も引き続き、1年次早期体験学習の「コミュニケーション演習」、4年次実務実習事前学習での「医療における倫理」を、医療系教員をはじめ他講座の教員と協働して実施した。また、多職種連携教育の一環である「医療系三学部合同教育」へも主体的に参画し、全学年を通じたヒューマニティ教育の基盤形成に寄与した。 実習教育に関しては、1年次の薬学基礎実習の一部を主体的に担当したほか、2、3年次の実習支援と実習施設、器具備品の管理なども行った。また、実習支援を担当する派遣職員とともに共通器具の貸出対応、実習

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