6.特定機能病院および地域医療支援病院のDI業務における製薬企業保有医薬品情報のニーズおよび入手困難度 地域・社会貢献概要 6 医療薬学・社会連携センター 社会薬学部門 248 医療薬学・社会連携センター 社会薬学部門く挙がった。また、ワクチン接種を積極的に担当したい、もしくは要請があれば引き受けたいと考える薬剤師は62.1%であり、打ち手になる場合の不安として「技能の不足」(83.3%)や「アナフィラキシー発生時の対応」(63.7%)が多く挙がった。本研究により、薬局薬剤師によるワクチン接種啓発の推進には、国民のワクチン信頼度の低さの認識向上に加えて、薬剤師向け研修の充実が有用であることが示唆された。また、薬剤師によるワクチン接種の要請に今後対応するためには、接種手技やアナフィラキシー対応などの修得が必要であると考えられた。なお、本研究はVALUEプロジェクト研究費にて実施した。 本研究内容については、日本薬学会第143年会(2023年3月)において報告した。今後、論文投稿を行う。 5.薬局利用者のオーラルフレイルの実態と啓発イベントの有用性 オーラルフレイル(OF)は要介護や死亡のリスクを高めるが、薬局でのOF予防啓発の有用性を評価した報告はない。社会薬学部門では、薬局で実施するOF啓発イベントのOF予防に対する意識や行動への効果を検証することを目的に、慶應義塾大学薬学部附属薬局でOF啓発イベント(Oral Frailty Index-8(OFI-8)によるセルフチェック及びOFの知識と予防方法に関する情報提供)を開催し、50歳以上の参加者84名に質問紙調査を行った。OFI-8より15%がOFの「危険性あり」、40%が「危険性が高い」であった。OFの名称の認知度は31%であった。2週間後の追跡調査より、OF予防のための口の体操を知らなかった48名のうち50%が体操を継続実施していた。5%が歯科医院でOFについて相談を行い、75%が相談を予定していた。本研究により、薬局でOFの周知・啓発を行う意義は大きいと考えられ、地域住民のOFの予防に寄与できると考えられた。 本研究内容については、日本薬学会第143年会(2023年3月)において報告した。 医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン(販売GL)施行後、製薬企業側の萎縮により、病院において医薬品情報の入手が難しくなっている。社会薬学部門では、医薬品情報のニーズと入手に難渋・遅延する情報の詳細を調査し、販売GL運用改善のための情報を得ることを目的に、国の特定機能病院87件および地域医療支援病院681件のDI業務担当薬剤師を対象に、自記式質問紙調査を行った(有効回答283件)。問い合わせ経験が最も多かったのは、比較情報では「等価・等量の換算」、適応外使用では「過去の使用事例・実績」であり、いずれも最も入手しにくい情報であった。問い合わせ先は「MR」や「DIセンター・学術部」が多かった。情報提供を断られる際の理由は「データがないため」が最も多かった。本研究により、医療現場のニーズの高さと、入手困難となっている製薬企業保有医薬品情報の種類の関係性などのデータは、今後販売GL改訂の際に有益となると考えられる。なお、本研究は厚生労働行政推進調査事業費にて実施した。 本研究内容については、日本薬学会第143年会(2023年3月)において報告した。 1.生涯学習 当社会薬学部門では、公開講座で司会進行を担当する連携センター教員の管理、および公開講座参
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