遷移金属を用いた生体分子の化学選択的修飾反応の開発 自己点検・評価 Ⅰ.教育について 発光に戻るメカノクロミズムを示すことを見出した。 タンパク質の位置または化学選択的化学修飾は、生命科学の基礎研究だけでなく、創薬においても非常に重要な技術である。人工分子をタンパク質の特定の場所にのみ結合するためには、N末端やC末端アミノ酸残基を標的にすれば良い。銅イオンのルイス酸性を利用したアルドール反応による、N末端アミノ酸を狙った化学修飾を報告した。 学部の1,2年生を対象とする「有機化学」を担当した。2022年度は、2015年に改訂された新カリキュラムに対応し1年生春学期に有機化学1、秋学期に有機化学2、2年生秋学期に有機化学4を担当した。2022年度は対面講義を大幅に復活し、配信講義の形式も活用しつつ講義を行った。講義資料を事前にPDFとして授業支援システムにアップし、場合によっては音声による講義も加えた。分子模型および独自に編集した問題集を配布し、予習・復習の効果を高めた。学生からの質問にも、メール返信、授業支援システムで丁寧に対応した。演習科目においてはレポートをK-LMSに提出する形式とした。 2年生に対する有機系実習最初の科目を実施し、基本的な操作方法と考え方の習得を目指した。キャンパスにおける実習は感染対策を十分に施した上で実施した。提示材料を工夫し、補助テキスト(装置や操作を視覚的かつ段階的に解説したもの)を作成、事前に配布して自習させ、理解を深めるようにした。前年度の4分割から2分割に戻し、教員・RA・TA・SA一人当たりの担当人数を調整、実験の進行具合の把握と、操作の例示が効率的になるよう努めた。基本操作や単離・同定を重視し、さまざまな官能基に対する「誘導体調製」「官能基定性試験」を確実に履修できるような実習プログラムを実施した。毎回の実験に先立って、各自実験の原理や操作を学ぶ「予習レポート」を作成・提出させ適宜フィードバックした。環境・安全教育をさらに強化し、学生から高い評価を受けた。実習講義はオンデマンド配信形式で行い、レポートの作成は在宅学習とした。レポートはK-LMSに提出する形式とした。 卒業研究では中間・最終報告会を通じ、自分たちの研究内容をまとめ、スライドを作成し、プレゼンテーションの方法を学ぶこともできた。また、卒業研究期間中には学生1~2人当たり1台のPCを用意し、データの解析、レポートの作成が滞りなく行えるようにしている。配属時にPCが苦手だった学生も、卒論終了時には一通りの操作、プレゼンテーション作成が自信を持って行えるようになり、社会に出てから非常に役に立つと考えている。講座セミナ−は、前期はコロナ感染対策のため、WebExシステムを使用し、オンライン形式としたが、後期は対面形式とした。今後も「与えられたテーマを確実に理解して実験するだけでなく、一歩進んで創造的に研究する」ことを目指し、学生が興味をもって、自ら工夫しながら実験を進めることができるように環境を整えていきたい。 大学院学生に関しては、講座内では新着文献を紹介するセミナーを設けており、直近の英語論文を読み、内容を理解した上でプリントを作成し、他人の研究内容も理解した上で発表している。さらに英語の実験書を正確な発音で読み、日本語に訳すことによって化学英語を「読む」力も身につけた。機器分析のセミナーでは、1H-NMR、MS、IRなどの機器データから化合物の構造を推定することによって、機器分析についての知識も得られた。またこれら大学院学生を中心としたセミナーでは、学生同士でディスカッション・質疑応答し、問題点を見つけ出し、お互いの知識を深め合いながら助け合って勉6 有機薬化学講座 30 有機薬化学講座
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