学部3年 用例を理解し,それらの化合物を含む生薬の基原・性状などに関する基本的事項を修得することを目的として講義を行った.実質的には「天然物化学」と連続した内容となっており,本講義ではアルカロイドの一部とポリケチド,フェニルプロパノイド,フラボノイドについて取り上げた. 生薬学2 [春学期前半(1単位・必修)、科目責任者:菊地] 天然物創薬に用いられる植物・微生物などの様々な天然医薬資源を理解するとともに,それらに含まれる生物活性物質についてその化学構造・化学的性質と医薬品開発への応用性について理解を深めることを目的して講義をおこなった.特に本講義では,糸状菌や放線菌など微生物が産生する抗生物質を中心に取り扱った.抗生物質については他の講義でも既に扱われている内容であるが,その化学構造と生合成,活性発現機構,生産に関わる生物種といった,有機化学・天然物化学の側面から見直すことで,天然物創薬における重要性を改めて理解できるように心がけた. 一方,5月にかけては春の薬用植物を観察するのに適した時期であるため,浦和共立キャンパスにある薬用植物園における薬用植物観察実習を本講義の一環としておこなった.通常の講義では使用しない浦和共立キャンパスへの移動が必要となることから,開催日等の設定などいろいろと検討すべき課題は多いものの,普段は教科書の写真でしか見ることができない薬用植物を直に観察できることは重要であり,概ね学生からの評判も良かった. 漢方概論 [秋学期後半 (1単位・薬学科必修、薬科学科選択)、科目責任者:菊地] 菊地2回,植草2回担当 講義前半は漢方医学の歴史と特徴的な考え方,用いられる生薬・漢方処方の特色など,漢方理論に関わる部分の講義を行った.初学者にとって理解の難しい漢方医学独特の概念,用語などを出来るだけ平易に説明した.また,生薬学の講義で取り扱った内容と一部関連付けることで,漢方処方について体系的に理解できるよう配慮した.後半は医療薬学・社会連携センター中村先生,医学部・漢方医学センター堀場先生に担当していただき,副作用などに対する注意点や漢方薬の新しい使われ方,医療現場での診断と治療など,漢方が現代医療において重要な役割を果たしていることを理解し,漢方薬に対する正しい知識が身に付くように配慮した. 天然薬物学 [春学期後半 (1単位・選択)、科目責任者:菊地] 菊地3回,植草5回担当 3年春学期前半までに学んだ「天然物化学」「生薬学1・2」の理解をさらに深めるため,生物資源からの天然化合物探索の研究実践例を学び理解するとともに,天然物化学研究において不可欠な未知有機化合物の構造決定法について習得することを目的とした講義を行った.特に未知有機化合物の構造決定法に関しては,単なる理論を講義するだけで無く,問題演習とその解説を繰り返し行うことで,有機化合物のスペクトルデータ解析に関する実践的な能力を得ることができる内容とした.問題演習についてはK-LMSを活用して履修者全員が毎週演習の回答を提出することとし,講義においてはその解説を履修者のうちの希望者に行ってもらうゼミ形式を取り入れ,講義に対する能動的な参加を求めることで,レポート(提出物)作成やプレゼンテーション能力を身につけることができるのも本講義の特徴である. 2 天然医薬資源学講座 38 天然医薬資源学講座
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