慶應義塾大学薬学部 教育・研究年報2022
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研究概要 教 授:三澤日出巳 薬理学1 (ユニット責任者分) 薬理学の基本概念と情報伝達、末梢神経系作用薬、平滑筋作用薬、呼吸器作用薬、耳鼻咽喉疾患作用薬に関して、9コマの講義を行った。 薬理学2 (ユニット責任者分) 循環器系作用薬、泌尿器系作用薬、消化器系作用薬、代謝系作用薬などの各種薬物の薬理作用、臨床応用、副作用についての講義を8コマ行った。 薬理学3 (ユニット責任者分) 神経系作用薬、免疫・炎症・アレルギー疾患治療薬、内分泌・代謝系作用薬など各種薬物の薬理作用、臨床応用、副作用についての系統講義を8コマ行った。 薬学実習ⅢD(薬理学) (ユニット責任者分) 薬理学実験の倫理的な進め方、基本的技術と態度を習得するための学習を指導した。 「生体機能コントロールにおけるアセチルコリン(ACh)の役割」を基本テーマとして、1.「コリン作動性神経の機能および病態に関する研究」、2.「神経変性疾患の病態解明に基づく治療法の開発」および3.「筋萎縮性側索硬化症の病態解明と創薬ターゲット探索」を行っている。 1.高親和性コリントランスポーターの疾患関連変異体の発現・機能解析 コリン作動性神経末端において、細胞外のコリンは高親和性コリントランスポーターCHT1によって細胞内に取り込まれ、アセチルコリンに変換される。このコリン取り込みはアセチルコリン合成の律速段階であり、CHT1遺伝子欠損マウスは高親和性コリン取り込み活性を欠くことにより生後間もなく呼吸不全で致死となることから、CHT1は持続的なアセチルコリン合成に必須である。CHT1遺伝子変異を原因とする疾患の一つに、常染色体劣性遺伝の先天性筋無力症候群がある。この疾患は、様々な神経筋接合部における機能分子の先天的な欠損あるいは機能異常によって筋力低下や易疲労性、呼吸不全などの症状を引き起こし、重症の場合は致死となる。遺伝性疾患家系のゲノム解析からCHT1遺伝子配列内に数多くの点変異が近年見出されており、点変異によるアミノ酸置換の位置はCHT1タン学部2年 学部3年 薬理学講座 薬理学講座 1 薬理学講座 59准 教 授:奥田 隆志 助 教:森﨑 佑太 担当授業概要

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