2022/09/13

第3回慶應義塾大学先端生命科学研究所-薬学研究科合同リトリートを開催

 8月30日から31日にかけて、慶應義塾大学先端生命科学研究所(先端生命研)-薬学研究科(薬研)合同リトリートを、慶應義塾大学鶴岡タウンキャンパス(山形県鶴岡市)で開催しました。今回で3回目となる合同リトリートですが、鶴岡市での現地開催は2019年度の第1回以来3年ぶりとなります。薬学研究科からは大学院生16名と教職員7名が参加しました。

 
 先端生命科学研究所では、様々な分野の専門家が集結し、ITを駆使した「統合システムバイオロジー」と呼ばれる研究を先導しています。薬学研究科では、生命科学・分析化学・有機化学・医療薬学などを基盤とした総合的な薬学研究を展開しています。しかし、薬学研究科では、所属する大学院生が他分野や他研究科の研究者・学生と交流する機会が少ないことや、アントレプレナーシップに関する取り組みが課題となっています。合同リトリートでは、これらの課題を解決するため、専門分野の垣根を越えた研究交流や慶應義塾発ベンチャー関係者との議論に取り組みました。

 
 初日となる8月30日は空路で移動した後、先端生命研の学生や教員と合流しました。初日のプログラムは学生によるショートプレゼンテーションと冨田勝先端生命研所長による講演です。ショートプレゼンテーションではありきたりな発表は禁止というルールが設定されたため、学生は自身の研究の魅力や野望などを熱心にアピールしました。冨田所長による講演では、研究所の歴史に触れつつ、これからの時代を切り開く研究者としての心構えが熱く語られました。初日の終わりに、ショートプレゼンテーションをもとにしたグループ分け(社長役学生による指名制度)が公開され、先端生命研-薬研合同班の6社が翌日の仮想ベンチャープレゼンに向けて準備を進めることとなりました。

 
 2日目の午前は、慶應発ベンチャーに携わる3名の講師による招待講演と、ベンチャー講師に薬学研究科若手教員を交えたパネルディスカッションが行われました。薬研の学生にとっては、ともすれば馴染みの薄いベンチャー企業を身近に感じられる機会になったとともに、ディスカッションに秘められた将来へのヒントは、自身の進路を切り開いていく基礎になったはずです。午後は、前日から急ピッチで準備の進められた仮想ベンチャーの構想発表です。6名の学生社長を中心として、それぞれが構想したベンチャー事業について発表し、質疑応答を行いました。短い準備時間にも関わらず、各社ともに自身の研究分野や時代のニーズを踏まえた独自性の高い商品や事業を提案することができました。最後のプログラムは、個別ラボ訪問となりました。興味のある研究室・ベンチャー企業を参加者が事前に調査し、そのうちの1カ所を訪問して、研究風景の視察や研究者とのディスカッションを実施しました。

 
 駆け足で取り組んだ2日間のプログラムですが、事後のアンケートによれば参加者全員が期待以上・期待通りの満足度であったと回答しており、充実したプログラムを提供できたことがうかがえます。一方で、スケジュールが過密であったことや学生交流の時間が限られていたことなど改善点も残されています。本リトリートは研究交流を進めるという目的をおおむね達成することができましたが、次回はさらに魅力的なプログラムで交流を促進できるよう努力してまいります。

  • 画像

    会場のあちこちで議論する参加者

  • 画像

    パネルディスカッションの様子

  • 画像

    仮想ベンチャープレゼン表彰式

  • 画像

    真剣に講演を聞く参加者