活動報告

*所属・学年は学会当時の情報です。

※第7~8回、第10〜13回は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、申請なし。

第17回助成

第44回日本臨床薬理学会学術総会(2023年12月14日~16日)(兵庫県神戸市)

私は神戸で開催された第44回日本臨床薬理学会学術総会において、「Systems approachを用いた抗菌薬の安定供給に関する検討」という演題で口頭発表を行いました。
抗菌薬の生産・供給管理体制維持における脆弱性を特定するために、安全工学に基づくアプローチを応用しました。医薬品生産・供給に関わる事例、製薬業界のステークホルダーを対象としたインタビュー調査をもとに概念モデルを構築し、抗菌薬の安定供給が維持できない状態に繋がるシナリオを特定しました。
抗菌薬の生産・供給という公衆衛生上重要性の高い課題に対し新たなアプローチを応用し、システマティックな視点で捉えなおした本研究発表により、近年業界内で問題視されている医薬品の安定供給に関して新たな視点を提供するとともに、問題提起をすることができたと考えています。
本研究発表は学会賞である「優秀発表賞」を受賞することができました。先生方をはじめ、本研究に携わってくださったすべての方々のご指導・ご協力があって成し得たことであり、聴衆の方々に説得力ある形で発表することができた証であると感じています。
また、他の研究者の方々の発表や議論に触れることも良い経験となりました。
本学会参加は研究の発展、及び自身の成長の観点からも非常に有意義でした。この経験を糧に、卒業後も精進してまいります。
最後になりますが、今回の学会参加にあたりご支援を賜りました佐藤製薬株式会社様に、この場を借りて深く御礼申し上げます。

(薬学部薬学科 6年/伊東 香南)

第28回日本薬剤疫学会学術総会(2023年11月16日~18日)(京都府京都市)

私は2023年11月16日から11月18日に京都大学にて開催された第28回日本薬剤疫学会学術総会に参加し、「電子診療録由来の診療情報データベースを用いた日本の2型糖尿病患者における臨床的惰性の実態調査」という演題で口頭発表をさせていただきました。
2型糖尿病治療では、血糖コントロール目標を設定し、約3ヵ月ごとに治療の再評価を行い、目標を達成しない場合は速やかな治療調整が求められます。しかし近年、臨床では長期に渡って血糖コントロール不良状態であるにも関わらず、治療の見直しが行われない「臨床的惰性」の存在が問題視されています。本研究では電子診療録由来の診療情報データベースを用いて、日本の2型糖尿病患者における臨床的惰性の実態を明らかにしました。その結果、日本の2型糖尿病治療では早期段階から臨床的惰性が発生しており、臨床的惰性には様々な患者背景が影響することが示されました。また、今後服薬アドヒアランス等も考慮した上でさらなる検討が必要であることが分かりました。
2型糖尿病は慢性疾患であるため、臨床的惰性という課題は多くの患者に発生する可能性があります。しかし、いまだその認知度は高くありません。そのため、今回、薬剤疫学の専門家の先生方が集う学会にて発表し、課題を共有することができ、大変貴重な機会となりました。また、最優秀演題賞をいただくことができ、研究を完遂することの喜びを学ぶことができました。本学会に参加するにあたってご支援を賜りました、佐藤製薬株式会社様に心より御礼申し上げます。

(薬学部薬学科 6年/菊地 優花)

第28回日本薬剤疫学会学術総会(2023年11月16日~18日)(京都府京都市)

この度は、佐藤製薬株式会社 Sato Pharmaceutical Research Encouragement Awardに採択していただきまして、心より感謝申し上げます。研究奨励資金は2023年11月16〜18日に京都で開催された第28回日本薬剤疫学会学術総会の参加費用に全額充当させていただきました。
私は、「日本の医療情報データベース(DB)を用いた研究の報告における RECORD 声明に対する準拠実態」という題目で口頭発表を行いました。近年、医療情報DBを用いた研究は増え続けていますが、日本においてはDB研究の報告の質が未だに明らかになっていません。そこで、日本のDB研究の原著論文を対象に、DB研究の報告基準を定めたガイドラインと比較することで報告の質を明らかにしました。また本研究は、全発表演題41件中6件の口頭演題に選出していただきました。
学会発表を通じて、限られた時間内に自身が伝えたいメッセージを、どうすれば相手に上手く伝え、理解していただけるのか、様々な観点から考える貴重な経験ができました。当日使用する資料の作成や発表練習など、先生方と何度もディスカッションを重ねながら修正を続けた結果、本番では納得のいく形で発表を終えることができ、優秀演題賞をいただくことができました。また自身の発表のみならず、多くのシンポジウムやポスター発表の拝聴、様々なバッググラウンドを持つ研究者の方々との交流など、多くの得難い経験ができました。これらの経験を今後の糧にできるように、より一層精進してまいります。
最後になりますが、改めまして、この度の学会参加費を補助いただきました佐藤製薬株式会社様に心より御礼申し上げます。

(薬学部薬学科 6年/杉森 春香)

第34回日本疫学会学術総会(2024年01月31日~02月02日)(滋賀県大津市)

この度は佐藤製薬株式会社Research Encouragement Awardに採択していただきまして、心より感謝申し上げます。
私は「インフルエンザ外来患者抗菌薬処方に対するAMRアクションプランの影響:レセプトデータの中断時系列解析」という演題で口頭発表を行いました。本邦においては薬剤耐性対策アクションプランにより、抗菌薬の適正使用が推進されています。しかし、意識調査の結果から、インフルエンザの治療目的として抗菌薬が一定数使用されている可能性がありますが、その実態は明らかになっていませんでした。そのため、本研究では、インフルエンザ外来患者における抗菌薬の処方に着目し、大規模診療報酬請求情報データベースを用いて、薬剤耐性対策アクションプランの影響を評価しました。
発表の際には緊張しましたが、練習を積み重ねてきた成果を発揮し、円滑に発表することができました。質疑応答の際には、医師や研究者の方々から多くのご質問を頂き、今後の研究についての考えが深まりました。
また、自身の発表だけでなく、3日間にわたりプレセミナーやシンポジウムを通じて、生存時間解析やリアルワールドデータの活用に関する最新の知見を得ることができました。本学会で得た知見を今後の研究活動に活かし、より精進したい所存です。
末筆ではございますが、この度、本学会参加に係るご支援をいただきました佐藤製薬株式会社様に心より御礼申し上げます。

(薬学研究科 修士課程1年/鎗田 大地)

The 9th Asian Biomaterials Congress 2023(2023年11月18日~22日)
(マレーシア・ペナン)

私はマレーシアのペナンで開催されたバイオマテリアルの国際学会The 9th Asian Biomaterials Congress 2023に参加し、「Development of Temperature-Responsive Hepatocyte Separation Column」というタイトルで口頭発表を行いました。
再生医療では、細胞の活性を維持した状態で細胞を分離する方法の開発が期待されており、肝細胞を用いた再生医療では人工肝臓や肝細胞シートに応用するにあたって、ドナー肝から肝細胞を単離する技術やiPS細胞・ES細胞などから分化した肝細胞と未分化の細胞とを分離精製する技術の需要が高まっています。本研究では、下層に肝細胞認識高分子であるPVLA、上層に温度応答性高分子であるPNIPAAmを重合したブロック共重合体を修飾したシリカビーズを担体として用いた温度応答型細胞分離カラムを作製し、細胞表面を修飾することなく簡便な条件での分離精製法を検討しました。この研究から、温度変化による肝細胞の分離精製を実現することができました。
本学会では、非常に興味深いバイオマテリアルの最先端の研究発表を聴講することができ、この分野についての知見をより深めることができました。また、自身の研究について発表した際も、頂いた質問に対して議論を深めることができました。最後になりますが、本学会に参加するにあたり、佐藤製薬株式会社様に多大なるご支援を賜りましたことを、厚く御礼申し上げます。

(薬学研究科 修士課程2年/松田 潤之介)

第97回日本薬理学会年会(2023年12月13日~16日)(兵庫県神戸市)

私は兵庫県神戸市で開催された第97回日本薬理学会年会に参加し、「ミクログリアにおける免疫チェックポイント分子LAG-3の発現および機能解析」という演題で口頭発表を行いました。
本学会は、神経科学や分子生物学・免疫学などの幅広い分野の研究者が一同に会し、最先端の研究成果について討論・意見交換することを目的としています。私は、グリア細胞であるミクログリアと免疫チェックポイント分子であるLAG-3について発表を行いミクログリアの専門家や、T細胞やマクロファージの専門家、がん分野の専門家の方々と討論することができました。その結果、普段の研究生活では得ることのできない幅広い観点からのご指摘やアドバイスを得ることができ、今後の研究課題や可能性についてより深く考える機会となりました。また、口頭発表を通じて私自身のプレゼン能力の向上につながるよい経験をすることができました。しかし、頂いた質問に対して端的かつ正確に答えられない場面もあったため、その点を今後の課題としていきたいと思いました。
さらに本学会では「日本薬理学会若手会員(学生・ポスドク)と大学等研究室や製薬企業等とのマッチングイベント」にも参加しました。製薬企業の方々と意見交換を行うことで、私の研究に対する臨床的な観点からの考えを知ることができました。
最後になりますが、この度佐藤製薬株式会社様より研究奨励資金として多大なご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。

(薬学研究科 修士課程1年/大島 基希)

第10回日本細胞外小胞学会学術集会(2023年10月22日~24日)(北海道札幌市)

私は第10回日本細胞外小胞学会学術集会において、「肺上皮細胞におけるCOPB2の細胞外小胞への分泌機構の解明」と題してポスター発表を行いました。
近年、細胞外小胞(Extracellular Vesicles: EV)の持つ生理学的機能について注目が集まっています。特にがん細胞由来のEVが周囲の細胞にEVを通じて変化を与え、がんが生存しやすくなるような環境を構築することが明らかになりつつあります。以前に私の所属講座が参加した研究でCOVID-19患者の血清中EVにCOPB2というタンパク質が含まれることが明らかになりました。COPB2は肺がん細胞の生存に重要であることが知られており、私は肺がん細胞由来のEVにもCOPB2が含まれていて、肺がん細胞生存に寄与しているのではないかと考え、その研究成果を発表しました。
日本中からEVについて研究している専門家が集まる学会で議論に参加することで、自分の知識をアップデートすることができました。また、細胞のフローサイトメトリーと同じようにEVを1粒子ずつ分析できる技術を試してみることができるサービスを紹介している企業があったので、COPB2と蛍光タンパク質の融合タンパク質を細胞に発現させることで、EV中COPB2を定量できるシステムを構築できるかも知れないという、新たな着想を得ることができました。
最後になりますが、佐藤製薬株式会社様には、この度の学会参加をご支援いただきありがとうございました。研究成果でご恩返しができるよう、今後も励んでまいります。

(薬学部薬科学科 4年/檀 裕治)

Federation of the Asian and Oceanian Physiological Societies Congress (FAOPS)(2023年11月01日~04日)(韓国・大邱)

韓国 大邱で開催されたThe 10th Federation of the Asian and Oceanian Physiological Societies Congress (FAOPS 2023) におきまして、「Relationship between microgravity and myoblast proliferation」の演題でポスター発表いたしました。
地上における寝たきりやギプス固定、宇宙飛行中に起こる廃用性筋萎縮は、活動性の低下や微小重力によって惹起されますが、活動性の低下を感知するメカニズムや重力が筋の恒常性にどのように寄与するかは依然不明です。本研究は、宇宙飛行で課題となる筋萎縮のメカニズムを明らかにすることにより、将来的には筋萎縮抑制法の開発につなげることを目的としています。今回は、微小重力下における筋芽細胞の増殖能について細胞内Ca2+濃度との関連に着目し、模擬微小重力装置を用いて検討を行いました。結果として、模擬微小重力下で培養した筋芽細胞は、地上重力下で培養した場合と比較して増殖能が有意に低下し、細胞内 Ca2+濃度も有意に低下することを明らかにしました。今後は細胞内Ca2+濃度低下と増殖能低下との関連をより詳細に検討することを計画しています。
本学会は、アジア・オセアニアの生理学研究者が集う国際学会であり、筋細胞の研究や細胞内Ca2+動態に関わる研究も多くありました。ポスター発表の際には、そのような研究者の方々と自国・他国問わず交流することができ、研究発表自体が初の場であった私にとって学びの多い経験をさせていただきました。
最後になりますが、本学会参加に際してご支援賜りました佐藤製薬株式会社様に厚く御礼申し上げます。今回の経験を糧に、今後さらに研究に励んでまいります。

(薬学部薬学科 5年/市原 彩夏)

第21回あわじ感染と免疫国際フォーラム(2023年09月03日~06日)(長野県軽井沢町)

私は、長野県で開催された第21回あわじ感染と免疫国際フォーラムに参加し、"Bidirectional interactions between gut microbes and the host under artificial hibernation"というタイトルで口頭発表及びポスター発表を行いました。
近年DREADDシステムを用いてQ神経を刺激することで、体温低下と酸素消費量の低下を特徴とする人工冬眠様状態を誘導できることが明らかになりました。本研究では、人工冬眠様状態における腸内細菌叢変化と腸内細菌叢が宿主代謝機能に与える影響を調べ、その成果を発表させていただきました。
本学会は、最先端の細菌学あるいは免疫学研究に携わる研究者が世界中から集まり、感染免疫学の推進を図ることを目的とした学会です。シンポジウムやポスター発表では、分野を超えた活発な議論が行われていました。学会期間中は上記の研究成果を発表し、異なる分野の研究者の方々と活発な議論を交わすことができました。様々な分野の研究者の方々から多くの意見をいただき、研究成果に対して新しい視点を得ることができました。これらの経験は、今後の研究活動を発展させる上で非常に有意なものであったと確信しております。
最後になりましたが、本学会に参加するにあたり、佐藤製薬株式会社様に多大なご支援を賜りましたことを厚く御礼申し上げます。

(薬学部薬科学科 4年/宮島 伶奈)

Asian Federation for Pharmaceutical Sciences 2023(2023年11月07日~12日)
(ベトナム・ハノイ)

私は2023年11月8日から11月10日にVietnam, Hanoi, Foreign Relations Hotelにて開催されたAsian Federation for Pharmaceutical Sciences (AFPS) 2023に参加し、「Enhanced invasion of extravascular trophoblast cells by human vascular endothelial cells and its effect on gene expression.」との演題で、口頭発表を行いました。AFPSは2007年に発足した、アジアを中心として薬剤学に関連する個人会員や日本薬剤学会などの学会が会員登録する薬科学連合です。今回は7回目となる学術会議が開催されました。
妊娠高血圧腎症は、妊婦の高血圧や臓器機能不全、胎児の発育不全を呈する重篤な疾患ですが、現在のところ発症原因が未解明であり根本的治療法は確立していません。発症機序として、子宮血管壁を構成する細胞が、内皮細胞から栄養膜細胞に置き換わる過程の異常が提唱されています。この過程では栄養膜細胞が内皮細胞に向かって浸潤するため、浸潤を促す分子機構の解明は、新たな治療ターゲットとなる可能性があります。そこで本研究では、内皮細胞モデルとの共培養による栄養膜細胞モデルの浸潤能および遺伝子発現変動を明らかにすることを目的とし、RNA-seqによる網羅的mRNA発現データを用いて栄養膜細胞モデル内の細胞外基質に関わる遺伝子の発現変動により浸潤が促されることを明らかにしました。
薬剤ターゲット分子の同定を目指す本研究を、幅広い薬学研究者が集う国際学術会議において発表することで、今後の研究戦略を考える上で示唆に富む意見を得ることができ、有意義な機会となりました。さらに、海外で活躍される研究者と交流できたことは、自身の研究に対するモチベーション向上に繋がりました。
最後になりますが、本学会への参加は、佐藤製薬株式会社様からのご支援により実現いたしました。この場をお借りして御礼申し上げます。ありがとうございました。

(薬学研究科 修士課程2年/原田 裕香子)

第16回助成

23rd Tetrahedron Symposium 2023(2023年06月25日~07月02日)
(スウェーデン・イェーテボリ)

私はスウェーデンのイェーテボリにて開催されたTetrahedron Symposium 2023に参加し、"Oxygen-Embedded Quinoline Oligomers: A New Entry to Macrocycles" という題目で発表しました。
 具体的には、3あるいは4ユニットのキノリン環を酸素原子にて架橋した多座配位子oxa-TriQuinoline (o-TQ) / oxa-TEtraQuinoline (o-TEQ) のデザイン・合成、ならびにそれらの物理化学的特性について発表いたしました。これらの新規C3/S4対称環状分子は、多官能性ユニット2-fluoroquinolin-8-olを基質とするSNAr反応にて簡便に合成可能です。これらのX線結晶構造解析によると、各窒素原子の配位する方向が互い違いとなるコンフォメーションが最も安定であると考えられましたが、特定の金属塩を添加することで大幅なコンフォメーション変化を伴って対称型金属錯体が得られました。特にo-TQは銅(I)錯体の形成によってボウル型コンフォメーションが優位となり、そのカチオン性湾曲π面は、フラーレン(C60)関連分子群や大環状π分子シクロパラフェニレンとの超分子錯体形成能を獲得しました。また、o-TQ/Cu(I)の半剛直な構造特性により、典型的な凝集誘起発光 (AIE) 特性も顕します。銅(I)への4座目の配位子を種々変更することで、その発光波長は緑、黄、橙、赤色に変調可能であり、最大量子収率24%の室温発光を示しました。さらに、剛直三座配位子としてのo-TQは銅/カルベンまたは銅/ナイトレン形成機構を経る種々の反応の触媒として機能することを見出しました。
 テンプレート様効果、o-TQのキラリティー制御や発光特性などについて、多様なバックグラウンドをもつ海外の研究者と議論を深めることができ、また、多数の著名な海外研究者の講演を拝聴し非常に良い刺激を受けました。末筆にはなりますが、この度は佐藤製薬株式会社様からの多大なるご支援を賜り、このような貴重な機会をいただけましたことを、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

(薬学研究科 博士課程3年/小林 透威)

第96回日本生化学会大会(2023年10月31日~11月02日)(福岡県福岡市)

私は、10/31から11/2にかけて、福岡国際会議場・マリンメッセ福岡B館にて開催された第96回日本生化学会大会に参加し、「カンプトテシン誘導体FL118が示す骨髄増殖性腫瘍細胞に対する抗腫瘍活性の分子機構の解析」というテーマでポスター発表を行いました。
私は、カンプトテシンと比較して、 FL118が低濃度で慢性骨髄増殖性腫瘍細胞のアポトーシスを誘導することを見出しました。トポイソメラーゼIの活性を測定した結果、FL118は、カンプトテシンと同程度のトポイソメラーゼI阻害活性を示すことが確認されました。したがって、FL118は、トポイソメラーゼI阻害活性に加えて、カンプトテシンにはない『何らかのMPN細胞のアポトーシスを誘導する活性』があると考えられました。今回、私は、MPN細胞における各種シグナル分子の活性化に及ぼすFL118の影響を検討しました。その結果、FL118が、慢性骨髄増殖性腫瘍の原因遺伝子産物であるチロシンキナーゼJAK2V617F変異体の活性化を抑制することを新たに見出し、本学会で発表しました。
現在、FL118がどのようにJAK2V617F変異体の活性を制御するかは未だ不明であり、その解明が今後の課題です。ポスター発表では、FL118によるJAK2の活性化阻害メカニズムに関して、様々な分野の研究者とディスカッションを行うことができました。ぜひ、今後の研究に生かしていきたいと思います。また、学会に参加し、多くの講演や発表を聴講し、最先端の生化学研究を知ることができ、大変勉強になりました。
最後になりますが、本学会に参加するにあたり、多大なるご支援を賜りました佐藤製薬株式会社様に深く感謝申し上げます。

(薬学研究科 博士課程2年/武田 健吾)

International Conference on Nano Research and Development (ICNRD-2023)
(2023年12月06日~08日)(シンガポール)

私は、シンガポールで開催された International Conference on Nano Research and Development (ICNRD-2023) に参加し、「Nanosized biomimetic red blood cells as an antidote for hydrogen sulfide poisoning with long-term storage stability」というタイトルでポスター発表を行いました。
硫化水素は即効且つ致死的な毒性を示し、中毒が疑われた場合には迅速な治療開始が求められます。私は硫化水素と高い結合特性を有するメトヘモグロビンに着目し、硫化水素中毒解毒剤としてメトヘモグロビン内包リポソーム (metHb-V) を創製しました。本検討では臨床での円滑な使用を想定し、metHb-Vの硫化水素中毒解毒剤としての長期安定性について評価しました。4℃、室温、37℃の温度条件でそれぞれmetHb-Vを1年間保存した結果、物理化学特性やリポソーム内のメトヘモグロビンの凝集や断片化などは確認されず、保存前のmetHb-Vと同等でした。そこで、致死的中毒マウスにより保存metHb-Vの解毒作用を評価したところ、保存前のmetHb-Vと同等の優れた解毒能を維持していました。以上の結果から、metHb-Vは長期保存可能で速やかな治療開始に繋げられる実用性の高い硫化水素中毒解毒剤となることを発表しました。
本研究結果は承認された既存薬が無く、有望な治療法が存在しない硫化水素中毒に対する解毒剤を開発するための重要なエビデンスとなると考えております。また、グローバルな研究者達の発表を聴講することで、多角的な観点からのアイデアや独創性を学ぶことができ、視野が大きく広がりました。今後、自身の研究課題に実装していきたいと考えております。
最後になりますが、本学会への参加は、佐藤製薬株式会社様から研究奨励金を頂くことで実現しました。この場を借りて心より御礼申し上げます。

(薬学研究科 後期博士課程3年/鈴木 悠斗)

第46回日本神経科学大会(2023年08月01日~04日)(宮城県仙台市)

私は宮城県仙台市で開催された第46回日本神経科学大会に参加し、「Expression analysis of immune checkpoint molecules in microglia」という演題で口頭発表を行いました。
ミクログリアは中枢神経系に常在する免疫細胞です。多くの中枢神経系疾患において、ミクログリアの過剰な活性化と神経毒性が観察されていますが、その活性化の制御機構は未だ不明です。そこで本研究では活性化した免疫細胞を制御する免疫チェックポイント分子に着目し、ミクログリアにおける免疫チェックポイント分子の発現を解析したことを報告しました。
本学会は神経系を専門とする先生方が多く参加しており、最先端の神経科学について学ぶことができました。さらに、私の研究と先生方の研究について議論を行い、私の研究に対する客観的な意見とアドバイスを得ることができたため、今後の研究活動に活かしていきたいと思います。自身の発表では、初めての英語の口頭発表を経験することができました。しかし、私の語彙力が足りず円滑な質疑応答をすることができませんでした。そのため、本来であればさらに先生方と議論できたチャンスを逃すこととなってしまいました。今後は研究活動だけでなく英語でのプレゼン能力も向上させ、次回の発表ではさらに議論ができるようにしていきたいと思います。
最後になりますが、この度佐藤製薬株式会社様より研究奨励資金として多大なご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。

(薬学研究科 修士課程1年/大島 基希)

FASEB Science Research Conference(2023年09月17日~22日)(米国・コロラド州)

私は、米国コロラド州で開催されたFASEB Science Research Conferenceに参加し、" Purified diet feeding affects the morphology and functions of intestinal epithelial cells through the gut microbiota"という演題でポスター発表を行いました。これまで私は、様々な動物実験において汎用されている精製飼料が、腸上皮細胞機能に与える影響について研究を行ってきました。その結果、標準飼料に比べ、精製飼料を摂餌させたマウスでは腸上皮細胞の増殖や抗菌ペプチド産生、糖鎖修飾といった、上皮バリア維持に重要な分子の発現が抑制されていることを見出しました。更に、精製飼料による腸上皮バリア機能抑制は、腸内細菌叢の変動によって誘導されることを明らかにしました。そのため精製飼料を実験に使用する際には、腸上皮や腸内細菌叢に与える影響について考慮する必要があると考えられ、これらのデータをまとめて学会にて発表しました。
本学会は、基礎研究者や臨床医、大学院生などが数多く参加し、腸上皮細胞研究における最新の実験データを発表・議論することを目的とした学会です。学会期間中は発表時間中だけでなく、多くの研究者と共に食事をしながらそれぞれの研究について活発に議論する時間が設けられていました。そこでは研究室内のディスカッションだけでは得られなかった新たな視点からの指摘やアドバイスを数多くいただきました。頂いたコメントを参考にし、今後論文投稿に向けて準備を進めるとともに、更に研究を発展させたいと考えております。
本学会発表は、佐藤製薬株式会社様から研究奨励資金をいただき実現致しました。この場をお借りし、厚く御礼申し上げます。

(薬学研究科 博士課程4年/白鳥 弘明)

第82回日本癌学会学術総会(2023年09月23日)(神奈川県横浜市)

私は第82回日本癌学会学術総会において、「IDH1変異を有するヒト胆道がんに対するMCL-1阻害剤の有用性の可能性:患者由来ヒト胆道がんオルガノイドを用いた解析」という演題でEnglish oral sessionに参加しました。
胆道がんは悪性度が高く、膵臓がんに次いで予後不良のがんであることが知られています。IDH1変異は肝内胆管がんの15%で認められ個別化医療における治療標的として適切です。IDH1変異はグリオーマや急性骨髄性白血病等においても高頻度で認められますが、変異アレルが異なることから胆道がんにおけるIDH1変異が与える影響の解明や新たな治療法の開発が求められています。
私は、患者組織から樹立されたヒト胆道がんオルガノイドのメタボローム解析を行い、先行研究で報告されているようにIDH1変異株において2-HGの蓄積およびATP産生量の低下の確認を報告しました。そしてMCL-1阻害剤がIDH1変異株の細胞増殖を特異的に抑制すること、その効果にはBCL-2 familyタンパク、特にMCL-1およびBCL-XLの発現量が関与していることを発表しました。
日本癌学会学術総会は日本全国から全身のがんの研究や治療に関わる先生方が多く集まる学会であり、他の研究者の視点からの意見をいただきディスカッションをする貴重な機会となりました。また、他の先生方の発表を拝聴し特に胆道がんや膵臓がんについてさらに知見を広げることができました。
最後になりますが、この度は佐藤製薬株式会社様からの多大なるご支援を賜り、無事に学会発表を行うことができたことをこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。

(薬学研究科 修士課程1年/鈴木 志帆)

第35回バイオメディカル分析化学シンポジウム(2023年07月27日~29日)
(北海道札幌市)

北海道大学にて開催された第35回バイオメディカル分析化学シンポジウムに参加し、学会で初めて口頭発表(10分)を行いました。これまでポスター発表をした経験がありましたが、蛍光プローブにも理解のある学会にて口頭発表をしたかったことから学生も口頭発表しやすい本学会の参加を希望しました。
本学会では、「ねじれ型分子内電荷移動」を蛍光制御原理として、酵素活性を検出する蛍光プローブの新たな分子設計法の確立を発表しました。ローダミン類の分子構造の特定部位に立体的に嵩高い酵素基質部位を導入することで蛍光を消光させることに成功しました。また標的酵素であるニトロレダクターゼによる反応によって酵素基質部位が外されることで分子内の立体的反発が解消され、蛍光上昇を示しました。
本学会には、蛍光プローブなどの可視化プローブを開発する物理・分析系薬学の研究者が多く参加していたため、先生方から研究結果に関する貴重なご意見やご質問をいただくことができました。例えば、阻害剤添加によって生じるミトコンドリアの脱分極の可能性や、蛍光色素が細胞内で凝集する可能性など、今後の研究展開について考える良い機会となりました。佐藤製薬株式会社様のサポートにより、北海道大学まで自分で希望した学会に参加し口頭発表を行うことができ、大変ありがとうございました。
改めて最後となりましたが、学会発表に際して多大なるご支援を賜りました佐藤製薬株式会社様に厚く御礼申し上げます。

(薬学研究科 修士課程1年/杉本 瑞樹)

第33回日本医療薬学会年会(2023年11月02日~11月04日)(宮城県仙台市)

私は、宮城県仙台市で開催された第33回日本医療薬学会年会の International Session にて、"Inhibition Kinetics of Citrus Jabara Juice on CYP3A4 Activity and Identification of Its Inhibitory Components" という演題でポスター発表を行いました。
グレープフルーツジュースは薬物代謝酵素 Cytochrome P450 (CYP) を時間依存的に阻害 (mechanism-based inhibition; MBI) して医薬品との相互作用を起こすことが知られています。本研究では、日本固有種の柑橘類であるジャバラの果汁が MBI により CYP3A4 を阻害することを見出しました。さらに、ジャバラ果汁中からこれまで知られていなかった新規の CYP3A4 阻害成分を同定しました。
発表時には、国内だけでなく海外の薬剤師の先生からも質問をいただき、自身の研究内容について英語でディスカッションを行う貴重な時間を持つことができました。また、研究内容に留まらず、海外における薬剤師の役割や取り組みなどについてもお話を伺うことができ、本学会を通じて薬剤師としての視野も広がったと感じております。
最後になりますが、この度、本学会に参加するにあたり多大なるご支援を賜りました佐藤製薬株式会社様に心より感謝申し上げます。

(薬学研究科 博士課程3年/肥沼 佳菜)

第6回フレッシャーズ・カンファランス(2023年06月11日)(京都府京田辺市)

グレープフルーツジュース (GFJ) などの柑橘果汁は小腸に発現する小腸有機アニオントランスポーター (OATPs) を阻害することで、花粉症治療薬の fexofenadine (FEX) など基質薬物の消化管吸収を阻害することが知られている。一方、日本固有種の柑橘ジャバラ及びその果汁は、花粉症症状に有効であることが謳われているものの、OATPs 阻害成分 narirutin が大量に含有されておりOATPs 阻害を介した相互作用が惹起される可能性がある。本研究では、FEX の小腸吸収に対するジャバラ果汁の影響を解明することを目的に、マウスを用いた in vivo 相互作用実験及びヒト消化管上皮細胞株 Caco-2 細胞および小腸に発現する排出トランスポーター P 糖蛋白質 (P-gp) 過剰発現細胞株 LLC-GA5-COL300 細胞を用いた in vitro 単層膜透過実験を実施し、ジャバラ果汁の影響を評価した。その結果、ジャバラ果汁はマウスにおける FEX の血中濃度時間曲線下面積及び最大血中濃度を共に約 2 倍に顕著に上昇させ、in vitro においても FEX の Caco-2 細胞単層膜透過性を亢進させた。さらに、ジャバラ果汁抽出物は濃度依存的に P-gp の排出活性を阻害したことから、ジャバラ果汁は OATPの阻害よりもむしろ P-gp 阻害による FEX 吸収亢進を引き起こすことが明らかになった。本研究で得られた結果から、GFJ などの果汁飲料と異なり、ジャバラ果汁は主に P-gp のような小腸排出トランスポーターを阻害することにより、FEX の小腸吸収を上昇させるが示唆された。臨床上、ジャバラ果汁と経口薬物の併用は注意する必要がある。
本研究は "第 6 回フレッシャーズ・カンファランス" にて口頭発表し、英文学術誌 "Biological and Pharmaceutical Bulletin" Vol.46 No. 12 に掲載予定である。
本研究の発表に際し佐藤製薬株式会社のご支援をいただきました。誠にありがとうございました。

(薬学研究科 博士課程3年/韓 弘燁)