*所属・学年は学会当時の情報です。

        

*第7~8回、第10〜13回は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、申請なし。

第15回助成

日本薬学会第143年会(2023年03月25日~28日)(北海道札幌市)

私は、北海道大学にて開催された日本薬学会第143年会 (札幌) に参加し、「MPN原因遺伝子産物JAK2V617F変異体によるDDX5を介した発がん誘導」というテーマで口頭発表を行いました。
慢性骨髄増殖性腫瘍 (Myeloproliferative neoplasm : MPN) の原因遺伝子産物として、チロシンキナーゼJAK2の点変異体(V617F)が同定されています。私はこれまでに、JAK2V617F変異体が誘導する細胞の形質転換には、RNAヘリカーゼ DDX5の発現が必須であることを見出しており、本学会ではDDX5阻害剤であるFL118のMPN治療効果に関して発表しました。FL118は、低濃度でJAK2V617F変異体発現細胞におけるDDX5の発現を抑制し、さらにJAK2V617F変異体発現細胞のアポトーシスを誘導しました。また、ヌードマウスにおけるJAK2V617F変異体による腫瘍形成に対しても、FL118は高い抗腫瘍効果を示しました。以上より、FL118は、MPNの新たな治療薬となる可能性が示唆されました。
本学会において、他の研究者達とのディスカッションを通して、DDX5の発現制御の詳細なメカニズム解明、および既存薬と比べたFL118の治療効果や、副作用に関して、今後さらなる検討が必要であると考えられました。本学会に参加するにあたり、多大なるご支援を賜りました佐藤製薬株式会社様に深く感謝申し上げます。

(薬学研究科 博士課程1年/武田 健吾)

日本薬学会第143年会(2023年03月25日~28日)(北海道札幌市)

北海道大学で開催された「日本薬学会第143年会(札幌)」に参加し、ポスター発表を行いました。
B型肝炎ウイルス(HBV)の肝細胞への侵入には、HBVのエンベロープ中に存在するタンパク質LHBsのPreS1ドメインと、肝細胞膜中に存在する胆汁酸トランスポーターNTCPの相互作用が必須で、両者の相互作用を阻害する化合物は新規B型肝炎治療薬の開発基盤となることが期待されます。PreS1に結合することでPreS1とNTCPの相互作用を阻害する化合物として、oolonghomobisflavan C(OHBFC)が知られています。OHBFCはepigallocatechin gallate(EGCG)を部分構造として有していますが、EGCGにHBV感染抑制能はなく、OHBFCのHBV感染抑制メカニズムは明らかとなっていません。本研究では、PreS1とOHBFC、EGCGの相互作用を等温滴定型カロリメトリー(ITC)や核磁気共鳴法(NMR)を用いて解析し、PreS1とOHBFCの相互作用メカニズムを解明することを目的としました。そして本学会では、OHBFCのPreS1に対する相互作用がEGCGよりも強いことを実験的に示すとともに、PreS1とOHBFCがそれぞれ複数の相互作用部位を有していることについて発表しました。
学会に参加したことで、本研究テーマに関連する重要かつ最新の知見を聴くことができ、自分の研究に対する考察をより深めることができました。そして発表当日では、終始多くの先生方に発表を聴いていただき、活発に議論を行うことができました。本学会に参加したことは、非常に貴重で刺激的な経験になりました。最後になりましたが、本学会発表におきましては、佐藤製薬株式会社様からご支援をいただきました。厚く御礼申し上げます。

(薬学研究科 博士課程4年/石場 智彬)

第61回NMR討論会(2022年11月08日~10日)(高知県高知市)

私は高知県高知市で開催されました第61回NMR討論会に参加し、「14-3-3ζによる転写因子FOXO3aの阻害メカニズムの解明」という演題でポスター発表を行いました。
転写因子FOXO3aは、正常細胞ではがん抑制的に働きますが、がん細胞ではリン酸化された後、高発現するタンパク質14-3-3ζと結合して標的DNAから解離し、転写活性を失うため、これが持続的ながん細胞の増殖につながります。これまで、14-3-3ζがどのようにFOXO3aからDNAを解離させるのかは明らかにされていませんでした。そこで我々は、NMRを用いてリン酸化FOXO3a / 14-3-3ζ複合体形成時のリン酸化FOXO3a上、14-3-3ζ上それぞれの相互作用部位を推定し、本学会で14-3-3ζがリン酸化FOXO3aからDNAを競合的に解離させるモデルについて発表しました。発表においては、様々なNMRの研究者の方々とディスカッションを行う中で、新たな視点を得ることができました。また、自ら発表する以外にもポスター発表や口頭発表を聴講することで、最先端のNMR研究の知見を学ぶとともに、今後の研究に対する刺激を得ることができました。特に本学会は、長いコロナ禍で普段交流する機会のなかった同年代の方々と対面で意見を交わす場となり、本学会に参加できたことは、私にとって非常に貴重な経験となりました。
最後になりますが、本学会への参加は、佐藤製薬株式会社様からのご支援により実現いたしました。この場をお借り厚く御礼申し上げます。

(薬学研究科 修士課程2年/桑山 知也)

日本薬学会第143年会(2023年03月25日~28日)(北海道札幌市)

私は2023年3月25日から3月28日に北海道大学にて開催された第143回日本薬学会年会に参加し、「近位尿細管有機アニオントランスポーターを介したメチルマロン酸の輸送の評価」というタイトルでポスター発表を行いました。
新生児マススクリーニングの対象疾患の1つであるメチルマロン酸血症は、新生児から乳幼児期に発症し、発症後診断例では国内最多の有機酸代謝異常症です。この疾患における腎障害は患者の予後に大きく影響する症状の1つですが、現在の医療ではその治療法は確立していません。本研究は、腎毒性の発生の原因となる可能性がある、近位尿細管上皮細胞へのメチルマロン酸の取り込みについて、関与する担体を検討したものであり、輸送機構の解明の足掛かりとなるデータを示すことができました。
本学会には、同じく薬物輸送に関する研究をされている方も多く参加されていたため、貴重なご意見を賜ることのできる有意義な時間となりました。さらに、異なる分野を専門とする学生や先生方ともディスカッションできる機会は、発表したデータや今後の研究の進め方に対する新たな視点を得ることができ、学びの多いものでした。
最後になりますが、本学会への参加は、佐藤製薬株式会社様からのご支援により実現いたしました。この場をお借りして御礼申し上げます。ありがとうございました。

(薬学部薬学科 6年/小林 咲央里)

日本薬学会第143年会(2023年03月25日~28日)(北海道札幌市)

北海道大学で行われた「日本薬学会第 143 年会」に参加し、「Ultrafine bubble が Caco-2 細胞単層膜における薬物の受動拡散に及ぼす影響」という演題でポスター発表させていただきました。Ultrafine bubble (UFB) は直径 約 1 µm 以下の気泡であり、特徴的な性質から様々な分野で応用されていますが、医薬分野での使用は限られています。例えば、消化管内液に UFB が含まれていた場合、薬物の消化管吸収が変化するかについては検討されていません。そこで本研究では、ヒト大腸がん由来培養上皮細胞 (Caco-2 細胞) 単層膜を用いて、経細胞経路マーカーである propranolol および傍細胞経路マーカーである polyethylene glycol の膜透過性に対する UFB の影響を検討しました。
 学会では、先生方から研究結果に関する貴重なご意見・ご質問をいただき、新たな視点から研究内容について多角的に考え、議論することができました。今回勉強させていただいたことは、今後の課題として更なる検討を重ねていきたいと考えています。また、様々な分野の研究発表を拝見し多くの知識を吸収できたことは、非常に貴重な経験となりました。
 最後になりますが、本学会に参加するにあたり、多大なるご支援を賜りました佐藤製薬株式会社様に心より感謝申し上げます。

(薬学部薬学科 6年/古原 里奈)

日本薬学会第143年会(2023年03月25日~28日)(北海道札幌市)

私は札幌で開催された日本薬学会 第143年会において、「ラット 肝、腎、小腸組織におけるトランスポーター絶対発現量解析とイリノテカン曝露の影響」という演題で口頭発表を行いました。

我々はモル質量に基づいたタンパク質の定量が可能な定量的標的プロテオミクス (QTAP) 法を用いて、これまでにほとんど明らかになっていなかったラット肝臓、腎臓、小腸組織における網羅的なトランスポータータンパク質発現量を評価するとともに、それらの発現量がイリノテカン投与によりどの程度変動するかを明らかにしました。ラットにおけるトランスポーターの網羅的発現分布を明らかにしたことは、医薬品開発時においてヒトにおけるトランスポーター基質薬の体内動態や相互作用を予測する上で重要な知見を提供すると考えています。またイリノテカン投与によるトランスポーター発現量の変動は、臨床上においてトランスポーター基質の動態変動に留意する必要がある可能性を示唆しています。
本発表における質疑応答の場面では、主にトランスポーター発現量変動のメカニズムについて、薬物動態分野でご活躍されている先生方と活発な議論をすることができました。先生方からいただいたご質問、ご意見をもとに自身の研究をさらに発展させていく所存です。

また、他の研究者の方々や先生方、同年代の発表者の発表や講演を聴き、最先端の研究に触れることで非常に刺激になりました。

最後になりますが、今回の学会参加にあたり多大なるご支援を賜りました佐藤製薬株式会社様に、この場を借りて深く御礼申し上げます。

(薬学研究科 修士課程2年/邉田 桃子)

日本薬学会第143年会(2023年03月25日~28日)(北海道札幌市)

私は、日本薬学会第 143 年会にて、「ラットにおける axitinib の消化管吸収に対する curcumin の影響」という演題でポスター発表させていただきました。
チロシンキナーゼ阻害薬 axitinib は、国内外で広く使用されている腎細胞がん治療薬です。P 糖タンパク質 (P-gp) 及び breast cancer resistance protein (BCRP) の基質であることが示唆されており、また、ウコンに含まれる curcumin は P-gp 及び BCRP 阻害作用があります。本研究では、ラット ex vivo 反転腸管法および in vivo 試験により、axitinib の消化管吸収および全身動態に対する curcumin の影響を評価しました。CUR は ex vivo において、axitinib の消化管吸収を増大させることが示唆されましたが、in vivo においては、吸収量に対する影響は小さく、また、消化管吸収を遅延させるという結果を発表しました。本研究結果は、axitinib の相互作用を理解する上で重要なエビデンスとなると考えております。
本学会において、他の先生方などからご質問、ご意見をいただき、新たな視点で本研究を考察することができました。また、類似した研究や、分野の異なる研究をしている方の発表を拝聴することで新たな知見を得ることができ、大変貴重な経験となりました。今回得た経験を今後にも活かしていきたいと思います。
最後になりますが、この度本学会に参加するにあたり、佐藤製薬株式会社様にご支援賜りましたことを厚く御礼申し上げます。

(薬学部薬学科 6年/安永 真帆)

日本薬学会第143年会(2023年03月25日~27日)(北海道札幌市)

私は北海道で開催されました日本薬学会第143年会に参加し、「タリノロールの消化管吸収に対するクランベリージュースの影響」という演題でポスター発表を行いました。
クランベリージュース (CJ) は消化管に存在する取込みトランスポーターである organic anion transporting polypeptide (OATP) 1A2 および 2B1 を阻害することが明らかになっています。しかし、OATPs は分子種間で基質認識性が異なり、かつ、それぞれに複数の基質結合部位が存在することから、CJの影響は、基質によって異なる可能性があります。そこで本研究では、マウスを用いて、OATPs 基質であるβ遮断薬タリノロールの消化管吸収に対する CJ の影響を評価しました。
学会では、様々な分野の方々から多くの質問やコメントをいただき、意見交換を行うことができました。自身だけでは気づくことができなかった視点からの考察をお聞きすることができ、大変勉強になりました。また、多くのシンポジウムを聞く機会があり、研究内容のみならず相手に伝わりやすい発表方法も学べた良い機会となりました。本学会を通じて学んだ知識や経験を今後に生かしていけるよう精進していきたい所存です。
最後になりましたが、このような貴重な機会を与えてくださった佐藤製薬株式会社様に厚く御礼申し上げます。

(薬学部薬学科 6年/吉田 奈央)

日本薬学会第143年会(2023年03月25日~27日)(北海道札幌市)

今回私は、日本薬学会第 143 年会にて、「クランベリージュース中のフラボノイド類による OATP1A2 および OATP2B1 阻害活性の解析」という演題でポスター発表をさせていただきました。
消化管に発現する OATP1A2 および OATP2B1 は薬物の吸収を担う取り込みトランスポーターです。これまでにクランベリージュースは、in vitro において、OATP の基質輸送を阻害することが明らかとなっており、その阻害成分としてフラボノイド配糖体である avicularin が同定されていま す。しかし、CJ 中の avicularin 含量では CJ の阻害活性を説明するには十分ではないことから、本研究では、クランベリー果実に含まれる他のフラボノイド類である quercetin、hyperoside、 isoquercetin、quercitrin、reynoutrin について OATPs 阻害活性を評価し、構造と阻害強度について定量的に評価しました。
当日は自分の発表に対して、想像以上に多くの方からコメントや質問、アドバイスをいただき、自分の考えを深めるとともに視野を広げることができました。内容の説明や質問に対する回答を思うように伝えることができないことも多々ありましたが、自身の改善点、反省点を見直す良い機会となりました。今回初めて学会に参加させていただいた自分にとって、全ての光景が新鮮であり、他の参加者 の発表から学ぶ点も多く、とても貴重な経験をすることができました。
最後になりますが、本学会に参加するにあたり、ご支援いただきました佐藤製薬株式会社様に厚く御礼申し上げます。

(薬学部薬学科 6年/山本 朱莉)

日本薬学会第143年会(2023年03月25日~28日)(北海道札幌市)

私は、日本薬学会第 143 年会にて、病名抽出システムを用いて薬剤管理指導記録を分析した研究についてポスター発表いたしました。
近年、自然言語処理技術によって診療記録の文章から病名といった患者臨床情報を抽出できるようになってきましたが、これまでに開発されたシステムは概ね医師記録を対象としていました。このシステムで副作用情報が豊富に含まれる薬剤管理指導記録を分析できれば、シグナル検出や副作用の早期発見の実現が期待されます。
そこで、本研究では、医師記録を想定した病名抽出システムを薬剤管理指導記録に適用できるか検証しました。SOAP 形式で記載された薬剤管理指導記録にシステムを適用したところ、いずれの項目からも病名・症状の抽出は可能でした。特に A 情報に対しては医師記録と近い性能でシステムは動作しましたが、A 情報以外の項目での性能は十分でなく、薬剤管理指導記録をシステムに学習させてシステムの性能を向上させる必要があることが示唆されました。
医療分野での自然言語処理の研究が未だ発展途上にあり、数が限られている中で、今回の発表を通して、多くの薬学関係の先生方に研究内容を発信し、興味を持っていただくことが出来ました。また、多くのご意見やご質問も賜り、本研究の将来的な可能性についても深めることが出来ました。
最後に、学会発表に際しまして多大なるご支援を賜りました佐藤製薬株式会社様に厚く御礼申し上げます。

(薬学研究科 博士課程2年/大野 由紀子)

日本薬学会第143年会(2023年03月25日~28日)(北海道札幌市)

日本薬学会第143年会に参加し、「LM1010高速液体クロマトグラフとLC-MS/MS法によるボリコナゾール濃度測定値の比較検討」という演題でポスター発表を行いました。
治療薬物モニタリングでは安全な薬物治療のために迅速な薬物血中濃度測定が望まれますが、測定を外部機関に依頼すると結果の入手までに数日かかる場合もあります。日立ハイテクサイエンス社が開発したLM1010高速液体クロマトグラフ(LM1010)は医療機関向けHPLC機器であり、簡便、迅速に多品目の薬物を測定できるという特徴を持ちますが、承認から日が浅く使用実績がまだ少ないです。
本研究ではLM1010の性能検証のために、VRCZを投与された患者の血液残余検体をLM1010を用いて測定し、外部機関でLC-MS/MS法によって測定された報告値と比較しました。その結果、両者の間には良好な直線関係が得られ、測定結果が同等であることがわかりました。この発表が、医療機関が薬物血中濃度測定機器を導入する際の参考となり、安全な薬物治療の一助になればと考えております。
私は今回が初めての学会参加でしたが、臨床で活躍されている医療従事者の方や医療機器メーカーの方々から意見をいただくことで自分の研究内容を別の視点から見ることができ、大変勉強になりました。また、他の発表者の方々の発表や講演を聞くことで、最新の知見に触れることができました。
最後になりますが、この度本学会に参加するにあたり、佐藤製薬株式会社様にご支援賜りましたことを厚く御礼申し上げます。

(薬学部薬学科 6年/木村 枝里香)

日本薬学会第143年会(2023年03月25日~28日)(北海道札幌市)

北海道札幌市で開催された、「日本薬学会第143年会」に参加し、「転倒・転落と新規作用機序睡眠薬の関連性についてのシステマティックレビュー」という演題でポスター発表を行いました。高齢者の転倒は、寝たきりや要介護状態につながるため、医療安全管理上の予防が重要です。新規作用機序の不眠治療薬であるラメルテオンやスボレキサント、レンボレキサントは、筋弛緩作用が少なく転倒のリスクは少ないと考えられていますが、データが不十分であり現在のガイドラインでは推奨には至っていません。そこで、新規作用機序睡眠薬と転倒•転落の関連性を明らかにするため、システマティックレビューを行いました。
学会では、様々な分野の先生方から多くの質問やコメントをいただき、議論を交わすことができました。その中には、検索語や症例の抽出方法、他の研究との相関性など、新たな観点からの貴重なご意見をいただき、それらを今後の研究につなげていきたいと考えております。
また、初めて学会に参加し、ポスター発表を経験することで自身の研究を見直す良い機会となりました。他の研究者の発表を聴講することで、知識だけでなく、資料の作成の仕方やわかりやすい発表方法など多くのことを学ぶことができました。本学会を通じて得た経験を今後に活かしていけるよう、より精進したいと思います。最後になりましたが、学会に参加するにあたり、多大なるご支援を賜りました佐藤製薬株式会社様に心より感謝申し上げます。

(薬学部薬学科 6年/桑原 里佳)

日本薬学会第143年会(2023年03月25日~28日)(北海道札幌市)

この度、北海道札幌市にて開催された日本薬学会第143年会にて「抗ヒスタミン薬の鎮静作用に関する系統的レビュー」という演題でポスター発表いたしました。
抗ヒスタミン薬(抗ヒ薬)は脳内ヒスタミンH1受容体占有率により鎮静性、軽度鎮静性、非鎮静性に分類されます。鎮静性抗ヒ薬は鎮静作用やその持ち越しが懸念されていますが、この分類に基づいて網羅的に行われた系統的レビュー、メタ解析は殆どありません。本研究では、鎮静性・軽度鎮静性抗ヒ薬と非鎮静性抗ヒ薬の鎮静作用を比較するため系統的レビューとメタ解析を行いました。結果、非鎮静性抗ヒ薬は鎮静性・軽度鎮静性抗ヒ薬に比べて眠気の発生リスクが低く、有効性は同程度であることが示されました。また、主観的な眠気の程度も非鎮静性抗ヒ薬でより低い可能性があると考えられることを発表しました。
本学会は薬学に携わる人々が広く集まる学会であり、ポスターセッションでは臨床や他の分野からの視点に基づいた多様なご意見を頂きディスカッションを行うことができました。また、基礎薬学を含め多彩な発表を聴講し、今後の研究にあたっての課題が明確になったほか、自身が目指す薬剤師像をより深く考えることもできました。今回得た知見を基に、さらに本研究を発展させていく所存です。学会発表に際し、多大なるご支援を賜りました佐藤製薬株式会社様に厚く御礼申し上げます。

(薬学研究科 博士課程1年/鈴川 真由)

日本薬学会第143年会(2023年03月25日~28日)(北海道札幌市)

この度、北海道札幌市で開催された日本薬学会第143年会において、「入院患者の転倒・転落のリスクに対する各種睡眠薬・抗不安薬の比較」というタイトルでポスター発表を行いました。
転倒・転落は主要な院内医療事故の一つであり、介護が必要になった主な要因として、要支援者・要介護者ともに骨折・転倒が第三位であるという報告があります。また、転倒を誘発する薬剤として、睡眠薬、抗不安薬などが代表的ですが、それらの薬剤の転倒リスクを比較した報告は多くありません。そこで、本研究では、入院患者を対象に各種睡眠薬・抗不安薬と転倒との関連を調査し、転倒リスクの違いを明らかにしました。
ポスター発表の際には、多くの先生方にご意見やご質問を頂きました。本研究と似たテーマの研究をされている先生と意見交換ができたのは、私にとって貴重な経験となりました。先生方とのディスカッションを通して、新たな知識を得られただけでなく、今後本研究の内容をさらに深めていくにあたってどのようなアプローチができるのかを学ぶことができました。
初めて学会に参加しましたが、発表の仕方などを学ぶことができ、非常に良い経験となりました。この経験を、今後社会人になってから学会発表をする際に役立てていきたいと考えています。
最後になりますが、この度は本学会に参加するにあたり御支援を賜りました佐藤製薬株式会社様に心よりお礼申し上げます。

(薬学部薬学科 6年/髙野 有紀)

日本薬学会第143年会(2023年03月25日~28日)(北海道札幌市)

この度、北海道札幌市で行われました日本薬学会第143年会に参加し、「服薬指導記録から症状に関する患者表現を抽出するAIシステムの構築に関する予備的検討」についてポスター発表を行いました。
本研究では、服薬指導記録の患者の発話に関する記録(SOAP形式ではS情報)から症状の抽出が可能なシステムを構築し、病名抽出のための既存の日本語病名抽出システムMedNER-Jとの性能を比較しました。各システムの違いとしては、教師データ(AIが学習するための正解データ)におけるS情報の有無であり、S情報を含まないMedNER-Jは症状の抽出への汎用性が低かった一方、S情報を含んだ本研究で作成したシステムでは、相対的にその性能に向上が見られました。この結果から対象データを用いた学習が有用であることが示唆されました。
発表時には、さまざまな先生方によりご意見を頂戴し、議論を交わすことができました。またS情報の質の担保についてやデータを抽出する際のバイアスについてなど、これまでとは異なる観点からのご意見も頂戴し、今後研究をさらに進めていくにあたりぜひ参考にさせていただきたいと思いました。
最後になりますが、本学会に参加するにあたり、多大なるご支援を賜りました佐藤製薬株式会社様に心より感謝申し上げます。

(薬学部薬学科 6年/藤木 玲奈)

日本薬学会第143年会(2023年03月25日~28日)(北海道札幌市)

この度は、佐藤製薬株式会社Research Encouragement Awardにご採用いただきまして、心より感謝申し上げます。研究奨励資金は2023年3月25~28日開催の日本薬学会第143年会の参加費用に全額充当させていただきました。
私は「ASEAN各国における医薬品安全性監視制度の実態調査」という題目で英語による口頭発表を行いました。そもそも初めての経験である口頭演題を英語で発表することは私にとって大きな挑戦でした。また、当日使用する資料の作成や発表練習を進めるなかでも日々自身の英語力の不足を痛感し、発表直前まで不安を感じていました。本番では練習通りに説明を終えることができ、質疑応答ではアジア圏から参加されていた方からご質問をいただけたことで、かねてから目標にしていた英語による研究のディスカッションを実現することができました。反面、新たな課題も見つかりました。それは、英語の聞き取りができなかったがために頂いた一部の質問の意図を理解できず、適切な回答ができなかったことです。今回の学会参加を通じて自身の英語力に一定の成長を確認できたことから、これまでの自らの頑張りを認めつつ今後は本発表で至らなかった点を真摯に受け入れ、さらなる成長に向け努力していく決意を新たにしました。将来は、海外担当者とアカデミックな内容やビジネスに関するディスカッションを気後れすることなく英語でできるよう、論理性と英語力の双方を向上さていきたいです。このように、今後の糧となる大切な気付きを得られたのも佐藤製薬株式会社の皆様よりご支援いただけた賜物と存じております。
最後になりますが、この場をお借りして佐藤製薬株式会社の皆様のご厚情に深い感謝と共に御礼を申し上げます。

(薬学部薬学科 6年/杉田 千晶)

第14回日本臨床試験学会学術集会総会 in 金沢(2023年2月9日~10日)(石川県金沢市)

この度は佐藤製薬株式会社Research Encouragement Awardに採択していただきまして、心より感謝申し上げます。研究奨励資金は第14回日本臨床試験学会学術集会総会 in 金沢の参加費用に全額充当させていただきました。
私は自身の研究テーマである「SGLT2阻害剤の重要な潜在的リスクに関する評価」のポスター発表の演者として学会に参加させて頂きました。DeSCヘルスケア株式会社が所有する大規模レセプト特定健診データベースを用い、比較対照群を設定し相対リスクの評価を行うことで、SGLT2阻害剤と重要な潜在的リスクの関連について明らかにしました。
自分の成果を他者に伝える非常に大切な機会となりました。質問者とのディスカッションでは自身の考えをより深めることができ、新たな気付きを得ることもできました。
そして自分が発表するだけでなく、2日間にわたり臨床試験の現状についてのシンポジウムを拝聴できる貴重な経験を得ることができました。製薬企業や大学の方々などバックグラウンドの異なる研究者との交流の場は刺激的であり、プレゼンテーションの仕方など学ぶことばかりでした。今回の学会で吸収した知識を今後に活かしていけるよう、より精進したいと思います。
最後になりますが、この度、学会参加に係る経費を補助いただきました佐藤製薬株式会社様に心より御礼申し上げます。

(薬学研究科 修士課程2年/前川 拓也)

日本薬学会第143年会(2023年03月25日~28日)(北海道札幌市)

私は北海道札幌市で行われた日本薬学会第143年会に参加し、「乳がん細胞に対するドキソルビシン担持一酸化炭素結合型ヘモグロビン-アルブミンクラスターの有用性評価」という演題で口頭発表しました。
ドキソルビシンは乳がんをはじめとする多種多様ながんに抗腫瘍効果を示すことから、今日のがん薬物治療において汎用されている抗がん剤です。しかし副作用として蓄積性かつ用量依存的な心毒性があり、総投与量の制限やがん治療後のQOLの低下が懸念されています。そこで本学会では、これまでに私が設計・創製してきた新規ドキソルビシン製剤であるドキソルビシン担持一酸化炭素結合型ヘモグロビン-アルブミンクラスターが乳がん細胞に対して有効であること、また、心毒性の誘発を軽減することを発表しました。
質疑応答では、製剤設計や一酸化炭素の作用点、安全性に関するご質問を頂き、今後、創薬研究を進めていくうえで考慮すべき視点や課題を再確認することができました。また、相手の質問に対して的確に把握し回答することの難しさや、付随した基礎情報も提供することで質問者に発表内容をより深く理解してもらう上で重要であると感じ、プレゼンテーション力を向上するために精進する必要があると実感しました。さらに多岐にわたる分野の発表や同世代の学生による発表を聴講し、最新の知見を収集できたと同時に良い刺激を受ける貴重な機会となりました。本学会で得られた知識や経験をもとに、今後の研究に真摯に取り組む所存です。
末筆ではございますが、本学会発表は佐藤製薬株式会社様からの多大なるご支援を賜り、実現することができました。心より御礼申し上げます。

(薬学研究科 博士課程2年/伊藤 千尋)

日本薬学会第143年会(2023年03月25日~28日)(北海道札幌市)

日本薬学会第143年会にて、骨格筋萎縮による敗血症および免疫病態について口頭発表を行いました。
骨格筋が萎縮した状態は、感染症や敗血症に罹患しやすく、また、罹患した際の死亡リスクは約2倍に上昇するとわかっています。しかしながら、現時点では、骨格筋萎縮と敗血症予後の因果関係を実験的に示した報告はなく、そのため、骨格筋の萎縮がどのように敗血症の予後を増悪させるのかわかっていません。本学会の口頭発表では、マウスを用いたin vivo実験を用い、骨格筋萎縮と敗血症予後の因果関係を実験的に証明し、骨格筋萎縮下では特に敗血症病態の遷延や重症化が問題となり、それに過度な獲得免疫系の抑制状態が関与している可能性を見出したことを発表しました。本発表内容は、骨格筋萎縮下における敗血症増悪機序の解明や治療戦略の構築に寄与する重要な知見であり、本学会において意見交換や質疑応答、他の研究発表を見聞きしたことで、自身の研究をより発展していくための発想を得ることができたと思っております。
この度は、本学会に参加するにあたってご支援を賜りました、佐藤製薬株式会社様に心より御礼申し上げます。

(薬学研究科 博士課程4年/長 邑花)

日本薬学会第143年会(2023年03月25日~28日)(北海道札幌市)

この度、北海道大学で開催された日本薬学会第 143 年会におきまして「慢性腎臓病モデルマウスを用いた遠隔臓器線維化誘導モデルの検討」という演題で口頭発表を致しました。
慢性腎臓病 (CKD) は多くの合併症が問題となる疾患であり、腎臓以外の臓器においても線維化が進行しますが、その詳細について検証した報告は少ないです。そこで本研究では、CKDモデルとして6分の5腎摘 (5/6Nx) モデル、片側尿管結紮 (UUO) モデル及び右腎の3分の2の摘出と左腎の尿管の結紮を組み合わせた (2/3Nx+UUO) モデルの3つを作成し、腎臓、心臓、肝臓および肺の線維化に関して組織学的、生物学的に評価しました。その結果、2/3Nx+UUOモデルにおいて、肝臓および心臓において線維化の誘導が認められました。従って、2/3Nx+UUOモデルは、既存のCKDモデル (5/6 NxまたはUUO) に比べ、早期より他臓器の線維化を誘導可能なCKDモデルとなる可能性を明らかにしました。本学会では、専門家からの様々な視点に基づいた意見を頂き、自身の研究を見つめなおす貴重な機会になりました。また、医療従事者から研究者に渡る幅広い分野の先生方の発表を聴講する機会に恵まれ、大変刺激になりました。
末筆ではございますが、この度は佐藤製薬株式会社様から多大なるご支援を賜りましたことを厚く御礼申し上げます。

(薬学研究科 博士課程2年/本間 杏花)

日本薬学会第143年会(2023年03月26日~28日)(北海道札幌市)

私は北海道・札幌市の北海道大学で行われた日本薬学会第 143 年会に参加し、題目「非小細胞肺がん患者におけるアファチニブの有害事象と薬物動態及び遺伝子多型との関連性」でポスター発表を行いました。
EGFR チロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)であるアファチニブは非小細胞肺がん治療に用いられる一方で下痢及び皮膚障害等の有害事象が問題となっています。アファチニブの血中濃度及び遺伝子多型が有害事象コントロールの指標として期待されております。本報告ではアファチニブ服用中の非小細胞肺がん患者に対して有害事象の聞き取り、アファチニブの血中濃度測定及び遺伝子多型解析を行い、有害事象と血清中濃度及び遺伝子多型解析との関連性を検討しました。その結果、既報と同様に重度の有害事象が高いトラフ値・AUC と関係している傾向にありました。また、アファチニブや他EGFR-TKI で有害事象や薬物動態に関連が報告されている ABCG2 遺伝子多型及び EGFR 遺伝子多型と有害事象との関係性が確認されました。
質疑対応の時間では多くの方に興味を持って頂き、有意義な議論を交わすことが出来ました。その中で、アファチニブの EGFR に対する結合様式や受容体占有率に着目し、有害事象発生及び薬物動態との関連について議論したことは本報告の更なる考察、また今後の研究において重要な視点を得ることが出来ました。
この度は、佐藤製薬株式会社様のご支援により貴重な経験を得ることが出来ました。最後になりますが、この場をお借りして御礼申し上げます。

(薬学部薬学科 6年/千島 陽奈)

第14回助成

第95回日本生化学会大会(2022年11月08日~11日)(愛知県名古屋市)

私は第95回日本生化学会大会において、「融合型チロシンキナーゼNPM-ALKによる発がん誘導におけるSTAT3のアセチル化の機能解析」という演題で口頭発表および、ポスター発表を行いました。
未分化大細胞リンパ腫 (ALCL) では染色体転座により、融合型チロシンキナーゼNPM-ALKが発現します。発現したNPM-ALKは恒常的に活性化し、転写因子STAT3のリン酸化を誘導することで、細胞増殖や腫瘍形成を誘導することが報告されています。私達は、NPM-ALK発現Ba/F3細胞において、NPM-ALKの活性依存的に、STAT3の685番目のリジン残基がアセチル化されることを新たに見出しました。今回、私達は、STAT3をノックダウンしたNPM-ALK発現Ba/F3細胞に、野生型STAT3あるいはアセチル化を阻害したSTAT3変異体(K685R)を再構成することにより、STAT3のアセチル化の生理的意義を解析しました。その結果、STAT3のアセチル化は、NPM-ALKによるSTAT3のリン酸化を抑制し、NPM-ALKが誘導する細胞増殖や腫瘍形成に対して、抑制的に働くことを明らかにしました。
今回、生化学大会で発表の機会をいただき、さまざまな領域の研究者の方から、新たな視点からのご指摘やご質問をいただき、今後の研究の発展につながるディスカッションをすることができました。また、他の研究領域の発表や最新の研究知見に触れることで、研究へのモチベーションを高めることができ、大変貴重な経験になりました。
佐藤製薬株式会社様からの多大なるご支援を賜り、学会発表を行うことができ、心から感謝申し上げます。今後、さらに真摯に研究に向き合っていきたいと思います。

(薬学研究科 修士課程1年/向來 朗)

第95回日本生化学会大会(2022年11月09日~11日)(愛知県名古屋市)

私は、愛知県名古屋市にて開催された第95回日本生化学会大会に参加し、「エリスロポエチンによるSTAT5非依存的な細胞増殖誘導の分子機構の解析」というテーマで口頭発表およびポスター発表を行いました。
これまで、造血性サイトカインであるエリスロポエチン (Epo) による赤血球の分化・増殖の誘導には、転写因子STAT5が必要であると考えられてきました。しかし私達は、STAT5の活性化を誘導しないEpo受容体の変異体 (EpoR-HM) 発現細胞においても、Epo刺激による細胞増殖が誘導されることを見出しました。そこで、DNA microarrayにより、EpoR-HM発現細胞における遺伝子発現解析を行い、EpoによりSTAT5非依存的にプロトオンコジーンであるc-Mycの発現が誘導されることを明らかにしました。また、Epoが、転写因子STAT3、及びMEK-ERK経路の活性化を介してc-Mycの発現を誘導する分子機構を明らかにしました。
本学会において、他の研究者達とディスカッションを行ったことで、さらなる詳細なメカニズムの解明、および赤血球の分化に及ぼす影響の評価が今後の課題であると考えられました。特に、同年代で活躍する研究者との交流は、今後の自身の研究に対する大きなモチベーションにつながりました。本学会に参加するにあたり、多大なるご支援を賜りました佐藤製薬株式会社様に厚く御礼申し上げます。

(薬学研究科 博士課程1年/武田 健吾)

第95回日本生化学会大会(2022年11月08日~11日)(愛知県名古屋市)

この度、愛知県名古屋市で行われた第95回日本生化学大会にて「NPM-ALKによる発がん誘導におけるSTAT3のリン酸化の役割の解明」についてポスターおよび口頭発表いたしました。
 未分化大細胞リンパ腫の約半数の患者では、遺伝子転座t(2;5)(p23;35) により、融合型チロシンキナーゼであるNPM-ALKが発現します。NPM-ALKは、恒常的に活性化しており、転写因子STAT3を介して発がんシグナルを誘導することが知られているが、その詳細な分子機構は不明です。
私は、 sh-RNAを用いてSTAT3の発現を抑制したNPM-ALK発現Ba/F3細胞(STAT3-KD細胞)に、野生型STAT3、あるいは、リン酸化を抑制したSTAT3変異体(Y705F、S727A)を再構成することにより、NPM-ALKによる発がん誘導におけるSTAT3のY705、S727のリン酸化の生理的意義を検討しました。その結果、NPM-ALKは、STAT3のY705のリン酸化を介して細胞増殖や腫瘍形成を誘導することを明らかにしました。さらに、NPM-ALKがSTAT3のY705のリン酸化を介して発現を誘導する9種類の遺伝子を同定しました。以上の研究を通して、NPM-ALKによる発がん誘導機構の一端を明らかにすることができました。
今回、学会での発表を通して、多くの研究者の方からご質問、ご意見をいただき、今後、研究を進める上で、非常に参考になりました。また、他の研究者の発表を聴講し、自身の知見を広げられる貴重な経験になりました。
最後になりますが、この度、佐藤製薬株式会社様から研究奨励資金により、学会で発表する機会をいただきましたことを厚く御礼申し上げます。

(薬学研究科 博士後期課程3年/林 昕)

第95回日本生化学会大会(2022年11月09日~11日)(愛知県名古屋市)

私は第95回日本生化学会大会において、「コーヒーによる神経炎症の抑制分子メカニズムの解析」というタイトルで口頭発表及びポスター発表を行いました。疫学調査により、コーヒーの飲用はアルツハイマー病やパーキンソン病といった神経変性疾患の発症や進行を抑制することが明らかになっていますが、その詳しいメカニズムは不明です。そこで本研究では、これらの疾患の病態形成に関与する神経炎症に着目し、コーヒーが神経炎症に与える影響を検討すると共に、神経炎症を抑制するコーヒー含有成分の同定を行いました。マウスミクログリアであるBV2細胞と、神経炎症モデルマウスを用いた実験により、コーヒーには神経炎症を抑制する活性があることを明らかにしました。また、コーヒーに含まれるピロカテコールが、その活性成分であることを明らかにしました。
今回、生化学会において研究成果を発表したことで、様々な研究分野の先生方から多数の質問や助言、ご指摘をいただくことができました。新たな視点から本研究の意義を再確認することができ、今後、取り組むべき課題を明確にすることができたと考えております。
最後になりますが、学会への参加に際し、多大なるご支援を賜りました佐藤製薬株式会社様に、この場をお借りして心から感謝申し上げます。

(薬学研究科 修士課程2年/村田 大典)

International Human Microbiome Consortium 2022(2022年11月08日~10日)(兵庫県神戸市)

私は、日本は神戸で開催された International Human Microbiome Consortium 2022に参加し、"γδT17 cells in Peyer's patches acquire the encephalitogenic phenotype through the activation by commensals"というタイトルでポスター発表を行いました。
本学会は、腸内細菌学やヒト腸内細菌学に関する最先端の研究を行う研究者が集い、研究成果を共有・議論することを目的とした学術集会です。腸内細菌叢は、免疫系・神経系・代謝系など幅広い宿主の生理機能に影響を及ぼすため、幅広い分野の研究者が集いました。普段、免疫学の研究を行っている私にとっては、自身の知識が広がるだけでなく、他分野の研究者と議論を交わす良い機会となりました。
学会期間中には、Yale Universityで腸内細菌と免疫系の相互作用を研究している Noah Palmと個人的に議論を交わすことができました。自身の研究成果を共有し、更なる発展につながるようなアドバイスをいただくことができました。
本学会発表は、佐藤製薬株式会社様から研究奨励資金をいただき実現いたしました。この場を借りて御礼申し上げます。

(薬学研究科 後期博士課程1年/込山 星河)

第51回日本免疫学会学術集会(2022年12月07日~09日)(熊本県熊本市)

私は、第51回日本免疫学会学術集会において、"Development of the tolerogenic nanoparticle to induce antigen-specific regulatory T cells"という演題にて、口頭発表を行いまいした。
現状のアレルギー疾患に対する治療法の多くは医薬品を用いた対症療法ですが、服薬を中断すれば症状は再燃します。アレルギー疾患根治のためにアレルゲン免疫療法がありますが、当療法に用いられる医薬品には、安全性や効率面においてまだまだ課題が残っています。
本研究は、食物抗原や腸内細菌等の様々な異物に常時曝されており、不要な免疫反応を起こして炎症を起こさないように免疫寛容性となっている腸管の環境を利用して免疫系の再教育を行い、アレルギー疾患を根治することを目的としています。そのために、九州大学の片山研究室と共同で研究し、樹状細胞への免疫寛容性リガンドであるmannanに抗原タンパクを架橋したナノ粒子の開発を行っています。本学会では、このナノ粒子の作用機序の概略や、それを実証するための実験結果、今後の課題を発表しました。
私が振り分けられたセクションは分子生物学の中でも基礎研究に近い発表内容が多く、質疑応答や他の先生方の発表を通して、自分に足りない発想や研究手法を学びましたので、さらなる研究の発展につなげたいと思います。最後に、佐藤製薬株式会社様からのご支援により、本学会で発表を行うことができました。この場をお借りして御礼申し上げます。

(薬学研究科 修士課程1年/鳥海 広暉)

The International Human Microbiome Consortium 9th Congress(2022年11月08日~10日)(兵庫県神戸市)

兵庫県神戸市で開催されました The International Human Microbiome Consortium 9th Congressに参加し、"Dietary factors facilitate the differentiation of follicular helper T cells in Peyer's patches"というタイトルでポスター発表を行いました。
濾胞性ヘルパーT(Tfh)細胞は、小腸の主要なリンパ組織であるパイエル板に多く存在し、胚中心反応を促進してIgA産生を促します。Tfh細胞の分化誘導には腸内細菌が必要である一方で、現在までにTfh細胞誘導細菌として知られているのはマウスの腸内細菌であるセグメント細菌のみであり、ヒトにも共通して存在するような因子は見つかっていません。我々はこれまでに、マウスにおいて食餌中に含まれる大豆粉がパイエル板Tfh細胞の分化誘導を行うことを発見しました。さらにこれが腸内細菌依存的であることを明らかにし、現在は大豆粉によるTfh細胞誘導効果をもたらす責任細菌の同定を進めています。
本学会では、腸内細菌や皮膚細菌に関わる研究を行っているという点を共通項として、免疫のみならず多様なバックグラウンドを持つ研究者と交流し、さまざまな視点からのアドバイスをいただき有意義な意見交換をすることができました。シンポジウムには豪華な演者が集まり、最新の研究内容を詳しく聞くことができ大変興味深かったです。この経験を活かして自身の研究にさらに邁進していきたいと思います。本学会発表は、研究奨励資金をご出資いただいた佐藤製薬株式会社様により実現いたしました。厚く御礼申し上げます。

(薬学研究科 博士課程3年/室井 きさら)

17th International Conference on Bioactive Lipids(2022年10月28日~11月4日)(アメリカ・ニューオリンズ)

私はアメリカ・ニューオリンズで開催された17th International Conference on Bioactive Lipidsに参加し、「DHA-derived 19,20-EpDPE suppressed hepatic crown-like structure formation and the progression of liver fibrosis in mice」というタイトルでポスター発表を行いました。私の発表ではω3脂肪酸の一つDHAが非アルコール性脂肪肝炎(NASH)において内在的にどのような活性脂質代謝物へ変換され、どのような分子機構で病態進行抑制作用を発揮するかを発表しました。私の研究では活性脂質の生理機能に注目するだけでなく、それがどの細胞のどの酵素でどのタイミングで産生するかにも焦点を置いています。私は遺伝子改変マウスを用いてその細胞や酵素、受容体を欠損したマウスを用いた遺伝学的なアプローチによって上記の機構を解明したことを発表すると、発表時間終了後も1時間以上質問などをしてくれる方がおり白熱した議論が行われるとても良い雰囲気の学会でした。さらにそれらの質問や議論などから自分たちの研究のユニークなポイントや足りない部分がわかり、現在の自分たちの研究が世界的にどういった位置付けであるのかが理解することができました。さらに世界中の研究者と多様な会話をする機会が多く、将来的に留学をしようと考える上での興味深い知見を得ることができたのは大変助かりました。
本学会の参加・発表は、佐藤製薬株式会社様から研究奨励資金をいただいたことによって実現することが叶いました。この場をお借りして御礼を申し上げます。

(薬学研究科 博士課程4年/青木 秀憲)

17th International Conference on Bioactive Lipids in Cancer, Inflammation and Related Disease(2022年10月28日~11月4日)(アメリカ・ニューオーリンズ)

私は、アメリカ・ニューオーリンズで行われました17th International Conference on Bioactive Lipids in Cancer, Inflammation and Related Diseaseにて" Cyp4f18-deficient mice develop psoriasis-like dermatitis through dysregulated n-3 PUFA metabolism"という演題でポスター発表を行いました。本研究は、免疫細胞におけるω3脂肪酸代謝経路が皮膚の恒常性維持に重要であることを示したものです。
本学会は、世界中で生理活性脂質を研究対象としている研究者が集まり、最先端の脂質研究に触れることができる学会です。ノーベル賞受賞者をはじめとして、これまで脂質研究を牽引してきた著名な研究者の方々の講演を拝聴できただけでなく、今まさにこの業界を引っ張っている若手研究者の発表も数多く聴講することができ、多くの刺激を受けました。
ポスター発表では非常に多くの方が発表を見にきてくださりました。英語でのディスカッションでしたが、2回目の国際学会ということもあって臆せず活発に議論を交わすことができ、研究者間のネットワークを広げることができました。また、他の参加者のポスター発表やその後の交流を通して幅広く脂質研究に関する知見が深まり、大変有意義な時間となりました。本学会で得られた貴重な経験を、残りの大学院生活及び卒業後の研究活動に活かしていきたいと思います。
最後になりましたが、本学会発表では佐藤製薬株式会社様の多大なるご支援を賜りました。この場をお借りして、厚く御礼申し上げます。

(薬学研究科 後期博士課程3年/吉田 美桜)

第9回助成

第68回日本化学療法学会総会(2020年09月12日~14日)(兵庫県神戸市)

兵庫県神戸市で行われました第68回日本化学療法学会総会に参加し、「Clostridioides difficile感染症に対するメトロニダゾールとバンコマイシンの有効性及び安全性評価」という演題で口頭発表を行いました。
日本のClostridioides difficile感染症 (CDI) 診療ガイドラインでは非重症例に対してメトロニダゾール (MNZ)、重症例に対してバンコマイシン(VCM)が第一選択薬とされていますが、米国では重症度に関わらず VCM、フィダキソマイシンが第一選択薬となっています。
本研究では、CDIに対するMNZおよびVCMの有効性及び安全性について、後方視的に評価を行いました。その結果、MNZとVCMの有効性に差はありませんでした。安全性は嘔気の発現率のみMNZで高く、その発現率は女性で高く、嘔気が発現した年齢は非発現群に比べて低い結果となりました。よってMNZを非重症例の第一選択薬とする国内のガイドラインは支持でき、MNZにより嘔気が発現する可能性がある場合には、VCMの使用を考慮すべきであると示唆されました。
この日本化学療法学会は感染症の治療や研究に関わる人が多く集まる学会であり、臨床現場の視点や他の研究からの視点で様々な意見をいただきディスカッションをする貴重な機会となりました。また、他の研究者や臨床の先生方の発表や講演を聴くことで、最新の知見を得ることができました。この経験を今後の研究の糧としていきたいと思います。学会に参加するにあたり、多大なるご支援を賜りました佐藤製薬株式会社様に心より感謝申し上げます。

(大学院薬学研究科 博士課程1年/三澤 可奈)

第68回日本化学療法学会総会(2020年09月12日~14日)(兵庫県神戸市)

私は第68回日本化学療法学会総会において、「マウスにおけるテジゾリドの薬物動態解析」というタイトルで口頭発表を行いました。
近年、多種薬剤耐性菌による感染症が日本を含む全世界範囲で増加傾向にあり、この中で、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の治療が特に困難で死亡率も高いという報告があります。テジゾリド (TZD) はリネゾリドと同等の有効性を示し、血小板減少などの副作用が軽減された新規MRSA感染症治療薬です。しかしその有効性に関するpharmacokinetics/pharmacodynamics (PK/PD) 評価は未だ不十分です。そこで本研究では、好中球減少マウス大腿部MRSA感染モデルを用いてTZDのPK/PD評価を行い、テジゾリドのさらなる適正使用のためのエビデンスを充実させました。
今回日本化学療法学会総会様から発表の機会を頂いて、この多くの臨床で活躍されている医療従事者や感染症の専門家が集まった学会で、我々の研究結果を現場の方や研究者達に発信することができました。またこの学会で、我々の研究について様々な研究者と議論することで、新しい視点を吸収し、また別の分野の先生方からご指摘を賜ることで、研究のさらなる発展につなげました。
最後になりますが、この場を借りて多大なるご支援を賜りました佐藤製薬株式会社様に心から感謝申し上げます。

(大学院薬学研究科 博士課程2年/劉 小茜)

第68回日本化学療法学会総会(2020年09月12日~14日)(兵庫県神戸市)

この度、兵庫県神戸市で行われた第68回日本化学療法学会総会にて Cefditoren のPK/PD 解析について口頭発表いたしました。
Cefditorenはバイオアベイラビリティが低く、タンパク結合率が高いものの、通常投与量は1日300mgと注射用の抗菌薬と比べると少なく、耐性菌の発現などが懸念されている第三世代経口セファロスポリン系抗菌薬です。しかし、ガイドラインではインフルエンザ菌による肺炎などに対して第一選択薬として推奨されており、PK/PD理論を用いた科学的根拠に基づいた投与法の構築が求められています。
私は、肺炎球菌大腿部感染マウスに対するCefditorenのPK/PD試験を行い、インフルエンザ菌や肺炎球菌に対してin vitroで高い抗菌活性を有すること、in vivoでは、一般的には濃度依存的に薬効を示すβ-ラクタム系薬であるにも関わらずAUC/MIC/τに相関が見られ、薬効を発揮するには頻回投与で、かつ総投与量が高くなるように投与設計する必要があることを発表しました。
本研究結果は抗菌薬の適正使用を推進するための重要なエビデンスとなると考えております。また、他の先生方の発表を聴講することで、独創的な発想や研究技術を学ぶことができ、視野が大きく広がったとともに、今後の課題や重点的に取り組みたい研究を明確にすることができたと実感しております。
最後になりますが、この度は佐藤製薬株式会社様からの多大なる御支援を賜り、無事に学会発表を行うことができたことをこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。

(大学院薬学研究科 博士課程2年/五十嵐 裕貴)

第68回日本化学療法学会総会(2020年09月12日~14日)(兵庫県神戸市)

私は兵庫県で開催されました第68回日本化学療法学会総会に参加し、一般演題で「好中球減少マウス大腿部感染モデルを用いたESBL産生大腸菌に対するflomoxefのPK/PD評価」、シンポジウムで「オキサセフェム系抗菌薬」の口頭発表を行いました。
ESBL(extended-spectrum beta-lactamase)産生大腸菌感染症は検出率が高く世界で大きな脅威となっている耐性菌感染症です。私はオキサセフェム系抗菌薬であるflomoxef(FMOX)に注目し大腿部感染マウスモデルを用いてESBL産生大腸菌に対するpharmacokinetics/pharmacodynamic(PK/PD)研究を実施しました。本研究によりFMOXのESBL産生大腸菌に対する最適なPK/PDパラメータ及び目標値を明らかにしました。シンポジウムでは「オキサセフェム系抗菌薬」という演題でFMOXを含むオキサセフェム系抗菌薬の特徴、使用方法さらに本研究結果に基づくESBL産生大腸菌感染症に対する人におけるFMOXの具体的な用法用量を含む新規治療法を発表させていただきました。
臨床現場の医師、薬剤師の先生方から多くのご質問、ご意見を賜り本研究の意義、さらに今後の展開を再確認できました。先生方から頂いたお言葉を糧にさらに本研究を発展させていく所存です。また他の先生方の発表を拝聴し感染症についてさらに知見を広げられたことも貴重でした。 学会発表に際しまして、研究奨励資金をご出資いただいた佐藤製薬株式会社様に厚く御礼申し上げます。

(大学院薬学研究科 博士課程2年/田代 渉)

第6回助成

Next Generation Immunology 2020(2020年2月1日~2020年2月7日)(イスラエル・レホボト)

私は、イスラエルのワイツマン科学研究所にて行われたNext Generation Immunology 2020 conferenceに参加し、"Mucin O-glycans facilitate symbiosynthesis to maintain immune homeostasis"というタイトルでポスター発表を行いました。
本学会は免疫学の他、腸内細菌や代謝、癌、計算生物学、single cell解析といった関連分野を牽引する研究者が集まり、免疫学を新たなフロンティアへ押し進めることを目的とした学会です。その趣旨に違わず、豪華なシンポジウム演者や多数の若手研究者が集まり、活発な議論が行われました。
本学会ではオンラインにおける質問募集や長めの休憩時間、常に提供されるドリンクや軽食、広く開放的な交流スペースといった、議論や交流を活発にするための様々な配慮や工夫がされていたことも印象的でした。
そのおかげで、学会期間中に上記の研究について議論することや、国外の若手研究者たちと交流をすることはもちろんのこと、single cell解析分野の専門家と自身のデータについて議論を交わすことができました。これらの経験は今後の研究に確実に活きることと思います。
本学会発表は、佐藤製薬株式会社様から研究奨励資金をいただき実現致しました。この場をお借りして御礼を申し上げます。

(大学院薬学研究科 博士課程3年/山田 恭央)

第5回助成

The 5th International Symposium for Japanese Kampo Medicine (ISJKM)(2019年9月4日~11日)(ドイツ・ハンミュンデン)

ドイツ・ハンミュンデンにおいて、"Prediction of traditional clinical diagnostic patterns, deficiency-excess and cold-heat patterns, in Japanese Kampo medicine: A multicentre prospective observational study"という演題で口頭発表を行いました。
国際疾病分類第11回改訂版(ICD-11)が2019年5月のWHO総会にて承認されました。このICD-11では、主に日本、中国および韓国等、東アジアで確立された伝統的な医学を含む「伝統医学」の章(第26章 伝統医学の病態-モジュールI)が追加されました。このような背景の中、私は現在、漢方専門医でない医師や漢方薬・生薬認定薬剤師でない薬剤師でも、簡便に患者の「証」を見極め、漢方薬の選択あるいは処方監査を可能とする機械学習を用いた支援システムの開発を行っております。本報告では、日本国内の漢方専門医療施設6施設から集積したデータを用い、患者の問診結果から、漢方の証である虚実と寒熱を予測する式の作成、予測式に寄与度が高い問診項目の抽出を行い、発表しました。得られた予測式に寄与度が高い問診項目は、先行研究において挙げられていた問診項目とは異なり、ICD-11の証の定義と一致しました。
質疑応答の一例としては、海外で漢方を用いている医師から、得られた証予測式が、東アジア系人種以外でも同様に証を予測することが可能であるかなど、多くの有益な議論を行うことができました。
最後に、今回多大なるご支援を賜りました佐藤製薬株式会社に厚く御礼申し上げます。

(大学院薬学研究科 博士課程3年/前田 絢子)

Neuroscience2019(2019年10月19日~23日)(アメリカ・シカゴ)

シカゴで開催されたNeuroscience 2019、3日目 (10月21日) のposter sessionに「Postnatal elimination of slow-type motor neurons induces late-onset neuromuscular deficits in mice: red muscle atrophy, posture abnormality and kinetic tremor」という題目で参加しました。
本学会は神経系の学会として世界最大規模であり、多様なバックグラウンドの研究者が参加します。Poster、exhibition、symposiumではそれぞれ非常に多くの演題が存在し、そのどれもが非常に刺激的でした。最先端の神経科学を肌で感じることができたように思います。
自身の発表では非常に多くの研究者の方々が私の研究に興味を持ってくださり、活発な議論を行うことができました。専門分野に関わらず研究者の方々のアドバイスは的を射たものが多く、今後の研究に活かしていかなければならないと思います。また、「この研究はとても興味深いから頑張って」や「この内容はいつ論文になるの?」といった励ましの言葉をいただくこともあり、これまでの努力が肯定されたように感じました。
しかし、私の語学力が至らないばかりに議論を深めるチャンスを逃してしまう場面がありました。語学力さえ足りていれば自身の研究をさらに良いものにできるチャンスがあったと考えると非常に悔しいです。研究力ばかりでなく語学力も向上させ、次回はより一層有意義な議論を行うことができるよう精進したいと思います。
このような非常に貴重な経験をさせていただいたのはひとえに佐藤製薬株式会社様のご支援によるものです。この場をお借りして深く感謝申し上げます。

(大学院薬学研究科 修士課程1年/神島 海)

The Asian Federation for Pharmaceutical Sciences (AFPS) Conference 2019 in conjunction with the 4th International Conference on Advance Pharmacy and Pharmaceutical Sciences (ICAPPS)(2019年10月23日~27日)(インドネシア・バリ)

インドネシア・バリで行われた The Asian Federation for Pharmaceutical Sciences (AFPS) Conference 2019 in conjunction with the 4th International Conference on Advance Pharmacy and Pharmaceutical Sciences (ICAPPS) において、「Irbesartan has lower fetal toxicity and transfer compared to olmesartan in rats」という演題でポスター発表を行った。
本研究では、その胎児毒性によって妊婦への投与が禁忌となっているAngiotensin II receptor blockerのなかで、FDA有害事象報告システムにおける羊水過少症報告率が大きく異なるolmesartanとirbesartanに着目し、胎児毒性および胎児移行性の差を調べた。また、胎児移行性の差を生み出している要因としてトランスポーターの関与を考え、OATP2B1が関与している可能性が示された。
発表時には、日本だけでなく海外の方も興味を持って下さり、発表時間を最大限使って何人もの方と議論を交わすことができた。olmesartanとirbesartanがトランスポーターに対する基質認識性が異なることに対して、構造の違いについての質問や構造活性相関についてのご助言をいただくなど、様々な分野の研究者の方が集まる学会ならではの経験をすることができた。今回の貴重な経験をもとに、より一層力を入れて研究に取り組む所存である。
末筆ではございますが、今回の学会参加にあたり、諸経費を補助していただきました佐藤製薬株式会社様に、心より御礼申し上げます。本当に貴重な経験をさせていただきました。誠にありがとうございます。

(大学院薬学研究科 修士課程2年/石川 優)

The Asian Federation for Pharmaceutical Sciences (AFPS) Conference 2019 in conjunction with the 4th International Conference on Advance Pharmacy and Pharmaceutical Sciences (ICAPPS)(2019年10月23日~27日)(インドネシア・バリ)

この度、インドネシア・バリにて開催された、薬剤学を主題とする The Asian Federation for Pharmaceutical Sciences (AFPS) Conference 2019 に参加しましたため、ご報告致します。本学会において、私は「Effect of maternofetal albumin concentration gradient in rodents on interspecies difference in fetal drug transfer between rodents and human」という題目でポスター発表を行いました。具体的には、①タンパク結合率の違いが要因となってラット胎児移行性を見かけ上低く見積もっていることを実証し、タンパク非結合型薬物濃度比で評価することで胎児移行性のラットからヒトへの外挿精度を向上できること、②本研究の成果が、妊娠期薬物治療のリスク評価において、動物データからヒトへの外挿精度を向上させるための新たな指標を提示する画期的なものであること、を発表しました。ポスター発表中の質疑応答では、英語で議論することの難しさから悔しい思いをしました。しかし、本研究の成果である新たな指標について、様々な角度からご質問やご指摘を数多く頂くことができ、これまでなかった着想が得られ今後重点的に取り組むべき課題が明確になりました。また、学会期間中には様々な研究者と交流する機会があり、同世代の学生のレベルに強く刺激を受け、大変貴重な経験であったと感じています。本学会で得られたことを今後の研究活動に活かして、より一層精進していく所存です。最後になりますが、本学会への参加は、佐藤製薬株式会社様から研究奨励金を頂くことで実現しました。この場を借りて心より御礼申し上げます。

(大学院薬学研究科 修士課程2年/野村 岳広)

第42回 日本分子生物学会年会(2019年12月2日~6日)(福岡県・福岡市)

福岡県で行われた、「第42回日本分子生物学会年会」に参加し、ポスター発表を行いました。
従来の構造解析の手法では、膜電位を形成した条件での解析が困難であり、心筋細胞の膜電位に応じて機能するhERGの開閉機構は不明でした。そこで我々は、hERGの膜電位形成時の機能状態に結合し安定化するペプチド毒素APETx1を利用することで、hERGの膜電位依存的な開閉機構を解明することを目指しました。本学会では、APETx1とhERGの変異体の電気生理学的解析を行い、両者の相互作用に関わるアミノ酸残基を同定したことを発表しました。発表においては、企業の研究者など普段は関わることのできない多くの方に聞いていただき、活発に議論を行うことができました。また、自らの発表以外にも、他の研究者の発表を聴講することで、独創的な発想や研究技術を直接学ぶことができ、視野を大きく広げることに繋がりました。本学会を通じて、今後取り組むべき課題が明確となったとともに、自分自身の興味の幅を広げることができたと感じます。今後は本学会で学んだことを最大限に活かし、自身の研究をさらに発展させるよう全力で取り組む所存です。
最後になりましたが、本学会発表は佐藤製薬株式会社様からSato Pharmaceutical Research Encouragement Awardによる多大なサポートをいただき実現致しました。厚く御礼申し上げます。

(大学院薬学研究科 博士課程3年/松村 一輝)

第66回日本化学療法学会東日本支部総会(2019年10月16日~18日)(宮城県・仙台市)

私は、第66回日本化学療法学会東日本支部総会・第68回日本感染症学会東日本地方会学術集会合同学会にて、「Clostridioides difficile感染症治療薬の有効性と安全性に関する検討」という演題で口頭発表させていただきました。
Clostridioides difficileは芽胞形成性のグラム陽性桿菌であり、医療関連の感染性下痢症を起こす代表的な菌です。国によって強毒素株の分布が異なるため、日本のClostridioides difficile感染症(CDI)診療ガイドラインと米国のガイドラインでは非重症例に対する第一選択薬が異なります。しかし、日本において重症度を分類して治療薬の有効性を調査した報告はほとんどありません。そこで日本のガイドラインの妥当性を検証するため、本研究では、CDIに対する治療薬の有効性・安全性について後方視的に検討しました。
学会では私の研究テーマと同じCDIに関する発表がいくつかなされており、自分にはない視点やテーマで研究をされていて新たな発見を知ることができました。また、シンポジウムにも参加させていただき、最新の知見を得ることができました。今回勉強させていただいたことは今後の研究に生かしていきたいと思います。学会に参加させていただき、とても貴重な経験をすることができました。
最後になりますが、本学会への参加は、佐藤製薬株式会社様からのご支援により実現いたしました。この場をお借りして御礼申し上げます。ありがとうございました。

(薬学部薬学科 6年/三澤 可奈)

第4回日本薬学教育学会大会(2019年8月24日~25日)(大阪府・豊中市)

薬学実務実習は様々な教育方略の開発が進む一方で、そのアウトカムである学習効果に関するエビデンスが少ない現状にあります。私は教育および社会心理学の観点から、学習効果を解析する研究を行っています。
実習生は様々な薬剤師業務を経験する中で、学習行動に対する自信や得意分野を認識します。我々は先行研究において、実習生の薬学専門知識に対する自己効力(自信や得意である等の心理)が学習成果に正相関することを示しました。
本発表は、誰しもに備わる「一般性自己効力」が成功体験に及ぼす影響について報告しました。一般性自己効力感は日常的な行動可否判断に対する予測精度が高い一方で、薬学教育における行動との関連は確立していません。本研究から、薬局実習生の一般性自己効力は実務実習により上昇し、学業に自信がある実習生はこの変化量が大きく、一般性自己効力は調剤、服薬指導に対する学習を惹起することで間接的に成功体験を促していたことが明らかとなりました。これらのことから、私は実習生の一般性自己効力が実務実習教育を構築するうえで有用な学習効果の予測因子であると考えています。
学会では、多方面の教育研究者から有用なご助言を頂き、さらに優秀発表賞を受賞致しました。本会で得た学びを論文投稿、継続研究に生かしていく所存です。
また、学会発表に際しまして、研究奨励資金をご出資いただいた佐藤製薬株式会社様に厚く御礼申し上げます。

(大学院薬学研究科 博士課程1年/菊山 史博)

ISPE's 12th Asian Conference on Pharmacoepidemiology and 25th Japanese Conference on Pharmacoepidemiology joint meeting(2019年10月10日~13日)(京都府・京都市)

今回私は、京都市勧業館みやこめっせにて開催されましたISPE's 12th Asian Conference on Pharmacoepidemiology and 25th Japanese Conference on Pharmacoepidemiology joint meetingにて、Identification of Background Factors Affecting the Risk of Specific Adverse Drug Reactions in Patients Receiving Dipeptidyl Peptidase 4 Inhibitorsという表題でポスター発表を行いました。自発報告データベースを利用した副作用発現の要因解析の手法として潜在クラス分析に着目し、本邦の自発報告データベースJADERにおいて糖尿病治療薬であるDPP-4阻害薬が被疑薬として報告されている副作用症例を対象に潜在クラス分析を行うことで患者背景因子の抽出が可能であるか否かについて検討した研究結果をアジアの研究者と共有しました。発表の中で、薬剤疫学分野の研究者との討論を通じて現在の研究の課題点や今後の展望の契機となるような意見をいただくことができました。また、アジアに限らず世界各地から集まった薬剤疫学の専門家による研究発表や講演を聴講することで、研究手法や利用できる医療データベースなど薬剤疫学に関して知見を広めることができました。本学会への参加は、今後研究者として成長するにあたりひとつの重要な経験となると思われます。最後になりますが、この度本学会に参加するにあたり、佐藤製薬株式会社様にご支援賜りましたことを厚く御礼申し上げます。

(薬学部薬学科 6年/加世田 大梧)

第66回日本化学療法学会東日本支部総会(2019年10月16日~18日)(宮城県・仙台市)

この度は、佐藤製薬株式会社 Research Encouragement Award に採択いただきまして、誠にありがとうございます。私は、仙台国際センターで行われた第68回日本感染症学会東日本地方会学術集会・第66回日本化学療法学会東日本支部総会 合同学会に参加し、「血液疾患患者におけるフルコナゾールの母集団薬物動態解析」という演題で口頭発表を行いました。この研究では、血液疾患患者において深在性真菌症の予防に用いられる、フルコナゾールの患者個々に応じた投与設計法の確立を目的とし、母集団薬物動態解析を行いました。その結果、体重と腎機能が薬物動態に影響することが明らかになり、解析で得られたモデル式を基に、体重と腎機能別の投与設計ノモグラムを作成しました。学会では、研究背景や血中濃度測定についてのご質問を頂き、相手に分かりやすく説明をするためには、研究テーマやその周辺の知識についてのより深い理解が必要だと感じました。また、感染症や抗菌薬を専門とする研究者や臨床の先生方の講演や発表を聴くことができ、最新の知見を深めるとともに、発表方法や質問への対応方法についても学ぶことができました。この経験を今後の研究や発表を行う際の糧として、更なる努力を重ねていきたいと存じます。学会に参加するにあたり、多大なるご支援を賜りました佐藤製薬株式会社様に心より感謝申し上げます。

(薬学部薬学科 6年/磯野 ひかる)

第66回日本化学療法学会東日本支部総会(2019年10月16日~19日)(宮城県・仙台市)

仙台国際センターで行われた「第68回日本感染症学会東日本地方会学術集会・第66回日本化学療法学会東日本支部総会 合同学会」に参加し、「腎障害患者におけるダプトマイシンの母集団薬物動態解析」という演題で口頭発表を行いました。ダプトマイシンは主に腎臓から排泄される抗MRSA薬であり、ガイドラインでは高用量での使用も推奨されています。しかし、日本人の腎障害患者に焦点を当てた母集団薬物動態解析がないため、腎障害患者に高用量投与を行う際の有効性、安全性を担保した投与法は明らかではありません。そこで、ダプトマイシン投与患者を対象に母集団薬物動態解析を行い、腎障害患者に対して効果的で安全な投与設計法を構築しました。
今学会では、その投与設計法について発表を行い、実際に臨床現場で活躍している医師や薬剤師の方々とディスカッションを行う貴重な機会となりました。具体的には、ダプトマイシンの投与間隔について添付文書上では、クレアチニンクリアランス<30 mL/minの重度腎障害患者には、48時間ごとの投与が推奨されているのに対し、今発表の投与設計では24時間ごとの設計を行っていました。これについて、有効性と安全性の観点から議論を行うことができました。
最後に、本学会に参加するにあたり、支援をいただきました佐藤製薬株式会社様に心よりお礼申し上げます。

(薬学部薬学科 6年/伊藤 勇人)

第4回日本薬学教育学会大会(2019年8月24日~25日)(大阪府・豊中市)

私は、2019年8月24日(土)~8月25日(日)に大阪大学にて開催された第4回日本薬学教育学会大会に参加し、「倫理観を醸成するための効果的な授業形態に関する考察」という演題でポスター発表を行いました。
医療人としての倫理観を醸成するためには、積極的かつ多面的な思考力を養うことが必要であり、学修者が主体的に参加するアクティブラーニングが有効とされています。しかし、薬学教育においてアクティブラーニングによる倫理観への影響を調査した研究はほとんどありませんでした。そこで、本研究では慶應義塾大学薬学部で開講されているアクティブラーニング型授業「生命科学と倫理」の受講者を対象にしてアンケート調査を行い、この授業形態が倫理観を養うのに効果的だあることを明らかにしました。
ポスターセッションの時には、薬学教育に関わる先生方から大変貴重なご意見・ご質問をいただき、私にとって気づきや学びが多い有意義な時間となりました。先生方とディスカッションをしていく中で、新たな視点も得ることができました。また、周りで発表していた他大学の学生とも様々な意見を交わし、今後の励みにもなり、自分にとってとても充実した学会参加となりました。この経験を活かし、さらに研究活動・学業に精進して参ります。最後になりましたが、このような貴重な機会を与えてくださった佐藤製薬株式会社様に厚く御礼申し上げます。

(薬学部薬学科 6年/内藤 くるみ)

第4回助成

48th International Symposium on High-Performance Liquid Phase Separations and Related Technique(2019年6月16日~22日)(イタリア・ミラノ)

今回私はイタリア・ミラノで開催された第48回 International Symposium on High-Performance Liquid Phase Separations and Related Techniqueにて「Development of Label-free Stem Cell Separation System Using Mixed Polymer Brush Consisting of Thermo- responsive and Cationic Polymers」という演題で口頭発表させていただきました。具体的には、間葉系幹細胞の分離精製を目指した温度制御による新しい細胞分離システムの開発についての研究報告になります。間葉系幹細胞は多能性を持ち、iPS細胞と同等に再生医療において注目される幹細胞ですが、従来の分離システムにおいては蛍光色素や磁気ビーズなどによる細胞修飾が必要であり人体への悪影響や細胞の活性の低下などが懸念されております。そこで我々は温度応答性高分子PNIPAAmが32℃を境に疎水性・親水性の鋭敏な可逆的性質変化を起こすことに着目し、温度変化のみで間葉系幹細胞の平板への接着・脱着挙動制御を可能にするシステムを考案しました。また、細胞が負電荷を帯びることを利用してガラスにカチオン性高分子を修飾することで、これまでの先行研究と比較して分離精度の向上や大幅な時間短縮に成功致しました。
学会参加を通して細胞の分離という研究分野はまだ新しく研究の余地が大きいと感じました。また、発表のみならず英語での質疑応答など修士の学生としては非常に得難い体験や、海外の研究者の方との交流を通じて多くの刺激を受けることができました。今回、温かいご支援によりこのような貴重な体験を実現させて下さった佐藤製薬株式会社様に心よりお礼申し上げ、今後さらに学業と研究に励んでいく所存です。

(大学院薬学研究科 修士課程1年/若山 暖乃)

The 4th Joint Conference Keio & Kaohsiung Medical University(2019年9月16日~22日)(台湾)

台湾の高雄医科大学で行われた、The 4th Joint Conference Keio & Kaohsiung Medical Universityにおいて Development of Oxidative C-C Bond Formation between Phenols and Alkenesという演題で口頭発表した。本研究は芳香族化合物であるフェノール構造と炭素--炭素二重結合を持つ化合物を酸化的な方法で反応させ、新たな炭素−炭素結合を形成するものである。
本内容を慶應義塾大学と高雄医科大学の医、理工、薬学研究者、大学院学生と討論し、演者らが見出した反応の新規性、先見性、有用性を示した。本学会において、生理活性天然物の単離・構造決定、合成、ケミカルバイオロジー、医薬化学等について討論、また貴重な助言をいただき、これからの研究への指針が得られた。とりわけカルベン配位子を用いたナノマテリアルへの応用や、海洋由来の天然物の単離・構造決定の研究は普段聞くことのできない内容であり、非常に有意義であった。また、英語による口頭発表の機会や海外研究者らとの討論は日常生活では得られない貴重な経験であった。
本研究は、生理活性天然物の合成のみならず、芳香族化合物の新しい合成方法論の開発を視野に入れたものである。種々の有機化合物の効率的合成的供給が実現すれば、有望な医薬の創出に応用可能であり、薬学分野の発展に大きく寄与すると考えている。
最後に、本発表は佐藤製薬株式会社Sato Pharmaceutical Research Encouragement Awardにより実現した。ここに深く感謝申し上げます。

(大学院薬学研究科 修士課程2年/出口 裕己)

American Society of Pharmacognosy 2019 Annual Meeting(2019年7月12日~19日)(アメリカ・ウィスコンシン)

ウィスコンシン州マディソンにて開催されたAmerican Society of Pharmacognosy 2019 Annual Meetingに参加し、"ASolubility-Enhancement of Berberine-Baicalin Complex by Crocins"というタイトルでポスター発表を行いました。
本研究では、漢方薬黄連解毒湯を煎じる過程で起こる成分間相互作用を解析しています。これまでにベルベリンとバイカリンが水中で形成する沈殿に対し、処方を構成する生薬のサンシシに含まれるクロシン類が、ある程度の溶解性を示すことを明らかにしています。今回は、各クロシン単体での溶解活性の測定結果およびMSとNMRによる溶解機序の解析結果について発表致しました。
研究に至った背景や、沈殿形成および溶解過程でのメカニズムについて専門分野を問わず多くの方とディスカッションを行いました。その結果、成分間相互作用と沈殿の溶解性向上という現象の間にある未解決な点や、内容をわかりやすく伝えるために説明すべきポイントなどを明確にすることができました。加えて、漢方薬にみられる、複数の生薬を組み合わせて使用するという特質に注目している海外の研究者がいるということを、直接知ることができました。また、天然物の分析法に関するポスター発表での質疑応答や、接する機会の少ない海産および菌由来天然物がテーマの講演を見聞きしたことなど貴重な経験を多く積むことができ、充実した学会参加となりました。この経験を最大限生かし、今後の研究に一層力を入れて取り組む所存です。
この度の学会参加に伴う費用を助成していただきました佐藤製薬株式会社様に、心より御礼申し上げます。

(大学院薬学研究科 博士課程3年/大越 一輝)

2019 Asian Association of Schools of Pharmacy Conference(2019年7月2日~5日)(韓国・ソウル)

私は現在、CYP2C19変異型分子種における 基質特異性の比較と CYP2C19 阻害剤に対する阻害特性の比較を行っています。昨年、我々のグループはCYP2C19変異型分子種において、OPZ 代謝活性が大きく変動し、また CYP2C19.23 (I331V, G91R) における代謝活性の変動は2つあるアミノ酸変異のうち、G91Rに起因する可能性が高いことをつきとめ、報告しました。そして今回韓国で行われた「2019 Asian Association of Schools of Pharmacy Conference」においてポスター発表を行いました。
初めての海外の学会で思うようにコミュニケーションが取れず悔しい思いをすることもありましたが大変良い刺激となり、次の機会には今回よりもさらに多くのことを得られるように頑張ろうという気持ちになりました。
最後に、今回の学会発表において多大なるご支援、ご協力をいただいた佐藤製薬株式会社様に深くお礼を申し上げます。

(大学院薬学研究科 修士課程1年/渡辺 大智)

48th International Symposium on High-Performance Liquid Phase Separations and Related Techniques(2019年6月16日~22日)(イタリア・ミラノ)

この度、ミラノにて開催された48th International Symposium on High-Performance Liquid Phase Separations and Related Techniquesに参加し、New cell separation method using the thermoresponsive surface modified with cell adhesion peptidesと題したポスター発表を行いました。近年、新たな医療モダリティーとして体外で培養した細胞や組織を人体に移植する再生医療に注目が集まっていますが、生体から必要な細胞を採取・培養する際の安全性・コストには未だ課題が集積しており、簡便かつ非侵襲的に必要な細胞を分離する技術が望まれています。本発表では、温度変化により性質が変化する特殊な高分子と細胞外マトリックス由来の細胞接着性ペプチドを修飾した温度応答性培養皿を用いることで、特定の細胞のみを捕捉し非侵襲的に回収することのできる可能性が示されたことを報告しました。
幅広い分野の多くの方にポスターを見ていただき、様々な視点から客観的な意見をいただいたことでこれまでになかった発想が得られ、今後の研究の指針や改善点が明確となりました。また多数のユニークな研究発表を拝聴し、他の研究者の柔軟な発想力に感心するとともに新しい知見が得られました。国際学会ということで世界のレベルの高い研究から多くの刺激を得ることができ、貴重な経験であったと感じています。本学会で得られたことを最大限に活かし、今後の研究にもより一層精進していく所存です。
最後になりますが、この度佐藤製薬株式会社様より研究奨励資金として多大なご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。

(大学院薬学研究科 修士課程2年/志村 昌紀)

第61回日本脂質生化学会(2019年7月4日~5日)(北海道・札幌市)

私は,7月4日(木)〜7月5日(金)に北海道大学にて開催された「 第61回日本脂質生化学会 」に参加し,口頭発表を行いましたため,報告させていただきます。
本学会は著名な脂質の専門家の先生方が全国から集まる学会です。学会当日までは自分の研究をいかにわかりやすく伝えるかと試行錯誤の日々でしたが,発表の際には三連四重極型LC-MS/MS を用いた包括的な脂質解析をはじめとした1つ1つのデータに興味を持っていただくことができ,準備期間の努力が報われたと感じました。さらに,発表後の質疑応答の際には今まで私が読んでいた論文の著者本人である著名な先生方から様々な質問やアドバイスをいただくことができ,自分の研究のさらなる向上のために必要なことや,自分の研究の強みに気づくことができました。また,これまでの自分の研究をたくさんの方に興味を持っていただけたことや,認めていただけたことが嬉しく思い,更なる研究の発展に尽力したいと感じました。さらに,著名な先生方の今までの研究の背景や現在の最新データを発表する姿,自分と同い年の他大学の学生が発表する姿を目の当たりにし,強く刺激を受け,今後の研究活動の励みになる貴重な経験ができました。
最後になりましたが,学会参加を通して研究の発展だけでなく,自分の成長につながるような機会を与えて下さった,佐藤製薬株式会社様に心より御礼申し上げます。

(大学院薬学研究科 修士課程1年/平野 愛美)

第22回日本医薬品情報学会総会・学術大会(2019年6月29日~30日)(北海道・札幌市)

私は、第22回日本医薬品情報学会総会・学術大会にて、「静注データを用いない絶対バイオアベイラビリティ推定法の推定精度検証」という演題でポスター発表を行いました。
経口投与医薬品の絶対経口バイオアベイラビリティ (BA) を求めるためには、原則として経口投与試験のデータとともに静脈内投与試験のデータも必要です。今までに、静注データがなくても BA を算出できることを理論的に示し、実際の医薬品で精度の検証を行いましたが、検証に使用できるだけのデータが揃っている医薬品の数が少ないのが現状です。そこで、母集団薬物動態シミュレータ (SimcypTM) を用いて、モデル薬物でin silicoシミュレーションを行うことで BA 推定法の精度を検証いたしました。
学会では、医薬品情報をはじめとした様々な分野の方々から多くの質問やコメントをいただき、議論を交わすことができました。その中には、今まで考えもしていなかった視点からの考察や意見もあり、自分自身の視野を広げることができました。また、学会参加にあたり、自身のこれまでの研究を深く見つめ直すことで、新たな気付きも得ることができました。
今回の学会参加で得られた知見を活かし、今後の研究活動に努めたいと思います。
最後になりましたが、このような貴重な機会を与えてくださった佐藤製薬株式会社様に厚く御礼申し上げます。

(薬学部薬学科 6年/岩田 夏美)

医療薬学フォーラム2019 / 第27回クリニカルファーマシーシンポジウム(2019年7月12日~14日)(広島県・広島市)

私は広島県で行われた、医療薬学フォーラム2019第27回クリニカルファーマシーシンポジウムに参加いたしました。演題は「CYP3A4各種遺伝的バリアントの代謝活性に対するpH の影響」として、ポスター発表を行いました。
In vitro薬物代謝試験はヒトの細胞外液pHであるpH7.4で行われています。しかし肝細胞内のpHは7.0との報告もあり、pH 環境による代謝活性への影響は不明です。本研究では基質にmidazolamを用いて、CYP3A4の代謝活性に対するpHの影響を野生型および4種のバリアント間で比較検討しました。本研究によって、pH はいずれのバリアントにおいても、主に最大反応速度Vmaxを変化させることで代謝活性に影響をもたらすこと、代謝活性に対するpHの影響の程度は、バリアント間で大きく異なることを見出しました。
発表後には、薬物代謝酵素を用いた研究を行っている先生方と有意義なディスカッションをすることができました。私個人では考慮していなかった観点からの貴重なご意見をいただき、それらを今後の研究につなげていきたいと考えております。また、多くのポスター発表やシンポジウムを聞く機会があり、研究内容のみならず相手に伝わりやすい発表方法も学べた良い機会となりました。この経験を今後の学生生活に活かせていければと思います。
最後になりますが、本学会への参加は、佐藤製薬株式会社様からのご支援により実現いたしました。この場をお借りして御礼申し上げます。ありがとうございました。

(薬学部薬学科 6年/江尻 里奈)

第3回助成

Keystone Symposia Microbiome : Chemical Mechanisms and Biological Consequences(2019年3月10日~14日)(カナダ モントリオール)

モントリオールで行われた、 Microbiomeを主題とするKeystone Symposiaに参加しましたのでご報告致します。本学会において、私は「抗肥満作用を示す腸内細菌由来の新規代謝物の探索」をテーマにポスター発表を行いました。具体的には、①α-グルコシダーゼ阻害剤と特定の抗生物質を組み合わせることにより、肥満に対して強い抵抗性を示すマウスの作製に成功したこと、②このマウスを用いて、16S rDNAシークエンスによる腸内細菌叢解析や、CE-TOFMSによるメタボローム解析を行い、肥満や耐糖能の悪化と負の相関を示す腸内細菌種や代謝物を見出したこと、③この腸内細菌種や代謝物が抗肥満作用を有することが明らかになったこと、を発表しました。発表においては、英語でディスカッションすることの難しさを感じながらも、海外の細菌学研究者や企業で活躍される多くの方々が興味を持ってくださり、様々な角度からの貴重なご意見を数多くいただきました。また、自らの発表以外にも、他の研究チームのユニークなアイディアや研究手法を直接見聞きした他、海外で研究する同世代の学生のレベルの高さからも良い刺激を受けました。本学会を通して、視野が大きく広がっただけでなく、今後重点的に取り組むべき課題も明確となりました。今後は本学会で学んだことを最大限活かし、現在取り組んでいる研究をより豊かなものにできるよう全力で取り組んでいく所存です。
本学会発表は、佐藤製薬株式会社様から研究奨励資金をいただき実現致しました。厚く感謝を申し上げます。

(大学院薬学研究科 博士課程3年/関 夏実)

第4回日本骨免疫学会ウィンターセミナー(2019年1月24日~26日)(長野県北佐久郡軽井沢町)

今回私は、第4回日本骨免疫学会ウィンターセミナーにて、「腸内細菌由来の酪酸によるコラーゲン誘導性関節リウマチ発症抑制メカニズムの解明」という表題で口頭およびポスター発表を行いました。具体的には、①酪酸はコラーゲン誘導性関節炎症状を改善すること、②酪酸は腸管関連リンパ組織内で濾胞制御性T細胞(Tfr)を増加させて胚中心反応を抑制すること、③それにより酪酸は自己抗体の産生を抑制すること、④酪酸は、Tfr細胞の機能遺伝子であるBcl-6およびCxcr5のプロモーター領域のヒストンアセチル化を促進し、遺伝子発現を高めることでTfr細胞の分化を促進することを見出したことを報告しました。発表後、骨代謝学や免疫学分野の研究者との相互交流や密な討論を通し、現在の研究への新たなご指摘を頂きました。そして、基礎・臨床問わず、最先端の研究をしている多くの研究室による研究発表を聴講することで免疫学に関する最新の研究手法を学ぶことができました。加えて、著名な研究者より、論文執筆のポイントについての教育講演があり、今後の論文執筆の上で非常に役立つ経験を得ることができました。本学会への参加は、これまでの研究をさらに発展させ、研究者として成長する上で非常に重要な機会となりました。最後になりますが、この度は佐藤製薬株式会社様からの御支援を賜り、無事に学会発表を行うことができたこと、多くのことを学ぶことができたことをこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。

(大学院薬学研究科 修士課程2年/江川 愛子)

第92回 日本薬理学会年会(2019年3月14日~16日)(大阪府大阪市)

私は第92回日本薬理学会年会の3日目(3月16日)、「免疫・炎症・アレルギー2」の oral sessionにて、「Macrophage-selective inhibitory effect of Kikyo-to, a Japanese traditional kampo medicine, on the viability of mouse macrophage RAW264.7 cells.」 の題で口頭発表を行いました。
私達は漢方薬の1つである桔梗湯の抗炎症作用に関する研究を行っていました。その過程で、桔梗湯煎液が複数の非マクロファージ由来細胞株の生存率に影響を与えることなく、マクロファージ由来細胞株のRAW264.7の生存率のみを選択的、濃度依存的かつ時間依存的に低下させることを見出し、臨床使用上簡便なエキス顆粒製剤でも同様の効果が得られることを確認しました。さらに、構成生薬の1つである甘草がその効果に寄与している可能性を見出しました。これらはこれまでに報告されていない新知見であり、将来、桔梗湯がマクロファージの過剰な免疫応答により引き起こされる病気の1つである腸管GVHDの治療にも応用できる可能性が期待されます。今後は動物実験なども含めさらに検討していくことを報告させていただきました。質疑応答では、「免疫・炎症・アレルギー2」の oral sessionでの発表ということもあり、免疫(マクロファージ)に関する質問や、複数の構成生薬からなる漢方薬の効果に関わる質問を受けました。どちらの質問もこの研究を進めていくにあたり極めて重要な質問であったため、その点も今後の研究につなげていきたいと思います。
そして、私自身初めて学会に参加するということもあり、自身が発表するだけでなく、他の研究者の発表を見聞きすることで、知識だけでなく発表の仕方なども学べ、卒業前にとても貴重な経験ができたと感じています。この学会で得られた経験を活かして、今後の研究に励んでいこうと思います。
最後になりますが、この度、学会参加に係る経費を補助していただきました佐藤製薬株式会社様に心より御礼申し上げます。

(薬学部薬学科 6年/関 健吾)

第92回日本薬理学会年会(2019年3月14日~16日)(大阪府大阪市)

私は、第92回日本薬理学会にてポスター発表を行いました。演題名は、「悪性中皮腫の新規マーカーHEG1に対するモノクローナル抗体の作製」です。共同研究先である神奈川県立がんセンターでは、中皮腫に対して特異的に結合するモノクローナル抗体SKM9-2を樹立し、その抗原HEG1を同定しました。また、SKM9-2がHEG1のシアル化糖鎖を含む領域に対して結合する事が分かっています。そして、そのシアル化糖鎖修飾が中皮腫のみに存在している事が予想されました。しかし、mRNAレベルではHEG1の発現が心臓や精巣などの通常組織に確認されています。そこで、本研究では、通常組織におけるHEG1の発現を確認するため、糖鎖に依存せず結合する抗HEG1抗体の作製を目的としました。
初めてのポスター発表を経験し、自身の研究を見直す良い機会となりました。本学会には、非常に多岐にわたる分野の研究者が集まります。そのため、他分野の方でも理解しやすくかつ学術的に魅力的なポスター作りを心がけました。実際に、ポスターを見て自分のテーマに興味を持ってくれた方が、発表を聞きに来てくださりました。その方とのディスカッションを通じて、発表の楽しさや難しさを実感しました。また一方で、自分とあまり馴染みのない分野における発表を聞き、自分の視野を広げることも出来ました。2日間のみの参加ではありましたが、非常に密な時間でした。今後の研究活動も、より一層力を入れて取り組みたいと考えております。
この度、本学会に参加するにあたり、佐藤製薬株式会社様にご支援頂きましたことを、厚く御礼申し上げます。

(大学院薬学研究科 修士課程1年/加藤 嵩大)

日本薬学会第139年会(2019年3月20日~23日)(千葉県千葉市)

日本薬学会第139年会にて、「抗てんかん薬によるスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)および中毒性表皮壊死症(TEN)発症のリスク評価」の題で口頭発表を行いました。SJS/TENは、主に医薬品に起因して発症し、皮膚、粘膜の障害をきたす重篤副作用疾患です。SJS/TENの被疑薬としては抗てんかん薬の報告が多いですが、発生頻度の低さゆえ、薬剤ごとにリスクを推定した研究は本邦では行われておりませんでした。近年、希少な副作用のリスク推定に、大規模な医療情報データベース(DB)が利用されつつあります。しかしながら、SJS/TENは誤診されやすい疾患であるため、DB研究を実施する際に病名コードを用いてケースを特定すると、結果にバイアスが生じえます。そのため、本研究ではまず医学部皮膚科学教室と共同で、電子カルテデータからSJS/TENを妥当に特定するためのアルゴリズムを開発しました。その後、これを用いて分析疫学研究を実施し、各種抗てんかん薬の使用によるSJS/TEN発症の定量的なリスクを推定しました。
本学会では、新規の研究で使用を予定しているケース・クロスオーバーデザインを用いたDB研究の発表を聴講する機会に恵まれ、大変刺激になりました。今後も学会発表や論文を通じて、薬剤使用の適正化に貢献する情報を発信できるよう努める所存です。
最後になりますが、この度、学会参加に係る経費を補助いただきました佐藤製薬株式会社様に心より御礼申し上げます。

(大学院薬学研究科 修士課程2年/深澤 俊貴)

第92回日本薬理学会年会(2019年3月14日~16日)(大阪府大阪市)

私は大阪で行われました第92回日本薬理学会でポスター発表をさせていただきましたので報告させていただきます。
私は今回、「発達初期スロー運動神経を選択的に除去したマウスは進行性の筋萎縮と運動時振戦をもたらす」という題で発表させていただきました。内容としては、運動ニューロンサブタイプ特異的な細胞死をマウスに導入することでこのマウスは様々な症状を起こします。その中でも筋萎縮や筋線維タイプの変化に着目した発表をさせていただきました。
ポスター発表では、進んで研究内容を聞きに来てくださる方が多く、自分が行なっている研究の重要さを再確認するとともに、様々な意見をもらい新たな可能性を知ることができました。企業の方々に声をかけていただき、研究室内では体験できない自分が行なっている基礎研究の医療社会への応用を感じることができました。より詳細なデータが欲しいと言ってくださる方もおり、より研究意欲が増しました。
また参加させていただいたシンポジウムの内容はどれも素晴らしく、研究意欲の湧く良い刺激になるとともに、とても参考になりました。企業が行なっているシンポジウムでは、最先端の医薬品開発の情報を知る事ができ、とても有意義な時間を過ごさせていただきました。
最後になりますが、このような素晴らしい学会に参加するにあたり支援をいただきました佐藤製薬株式会社様に厚く御礼申し上げます。これから学会での経験を活かし、研究に励みたいと思います。

(薬学部薬科学科 4年/小山 天渓)

日本薬学会第139年会(2019年3月20日~23日)(千葉県千葉市)

今回、幕張メッセ・ホテルニューオータニ幕張で開催された日本薬学会第139年会において、『名古屋市の学校における臨時休業情報に基づくインフルエンザ流行動向調査』という演題でポスターによる発表を行わせていただきました。インフルエンザに対する学校の臨時休業の効果を科学的に示しているデータは限られており、日本国内でも学校内のインフルエンザ流行と臨時休業の関連を調べた研究は存在するが、地域全体のインフルエンザ流行と学校の臨時休業の関連を調べた研究はありません。そこで本研究は、愛知県名古屋市を対象に2015年/2016年インフルエンザシーズンの週別インフルエンザ定点報告数と公立小学校・中学校における臨時休業実施数を区単位に集計し、関連を調べました。
本学会では専門分野を問わず多くの方々からフィードバックをいただき、有意義な討論を行うことができました。同時に自身のプレゼンテーション力不足を実感する場面も多くあり、今後精進していかなければならないと痛感しました。また、自分が行った研究以外にもインフルエンザ流行を調べた研究が多く、学会期間中は非常に充実した時間を過ごせました。
最後にはなりますが、佐藤製薬株式会社Sato Pharmaceutical Research Encouragement Awardに採択いただきありがとうございました。本学会への参加はかけがえのない経験となりました。
佐藤製薬株式会社様にはこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。

(薬学部薬科学科 4年/末宗 拓馬)

日本薬学会第139年会(2019年3月20日~23日)(千葉県千葉市)

この度は佐藤製薬株式会社Research Encouragement Awardに採択していただきまして、心より感謝申し上げます。研究奨励資金は日本薬学会第139年会の参加費用に全額充当させていただきました。
私は自身の研究テーマである「地域在住高齢者におけるポリファーマシーと抗コリン作動薬及び鎮静作用薬が身体・認知・精神に与える影響の評価:The Kawasaki Wellbeing Project」のポスター発表の演者として学会に参加させて頂きました。
説明に多々苦労することがありましたが、自分の成果を他者に伝える非常に大切な機会となりました。質問者とのディスカッションでは自身の考えをより深めることができ、新たな気付きを得ることもできました。また、他の研究成果を聴講することで自身の研究分野である高齢者研究の現状理解も深まり、今後の研究につなげていきたいと強く思いました。今回の学会で吸収した知識を今後に活かしていけるよう、より精進したいと思います。
最後になりますが、佐藤製薬株式会社の皆様のご厚情この場をお借りして深い感謝と共に御礼を申し上げます。

(薬学部薬学科 6年/田中 あさひ)

日本薬学会第139年会(2019年3月20日~23日)(千葉県千葉市)

千葉県幕張メッセにおいて開催された、日本薬学会第139年会に参加し、「平成28年度診療報酬改定前後における湿布薬の使用実態調査」という演題で、ポスター発表させていただきました。診療報酬改定による湿布薬の処方制限の設定が、実際の湿布薬の処方動向にどのような影響を与えたかを調査し、その結果を発表いたしました。当日は多くの参加者の方にポスターを見ていただき、また、多くの質問をいただきました。薬局勤務の方から製薬企業の方、病院薬剤師の方、流通に携わっている方など、質問してくださった方の職種も様々でした。
実際に薬局や病院などの現場で活躍されている薬剤師の方ともお話をさせていただきましたが、現場においては改定の前後で大きな変化があったようには感じられない、とのことでした。本研究においては、全国展開している薬局チェーンのレセプトデータベースを用いて解析を行いましたが、現場において変化が感じられなくても、数字では結果が出ており、この研究をやってよかったと感じることができました。
処方制限がなされたにも関わらず、改定後にも上限の70枚を大きく超える処方が確認されている理由についての質問や、改定が処方動向に与えた影響に関する質問が、多かったように感じられました。
最後になりますが、この度は第3回 佐藤製薬株式会社 Research Encouragement Awardに採択いただいたこと、この場を借りて深く感謝申し上げます。

(薬学部薬学科 6年/古畑 汐梨)

日本薬学会第139年会(2019年3月20日~23日)(千葉県千葉市)

この度は第3回佐藤製薬株式会社Research Encouragement Awardに採択していただきまして、心より感謝申し上げます。研究奨励資金は日本薬学会第139年会の参加費用に充てさせていただきました。
私は「高齢者における潜在的不適切処方に関する医薬品使用実態調査」というテーマで、ポスター発表の演者として学会に参加いたしました。高齢者が心身ともに良好な状態を保ち、QOLを維持できるよう健康寿命を延長する必要がありますが、多剤併用や身体機能・認知力の衰えから服薬コンプライアンスの低下や薬剤に対する感受性の増大が問題となっています。その問題点に対し、処方適正化のために、大規模データベースを用いた高齢者における薬剤の使用実態調査を行いました。
学会では、本研究について様々な専門家の先生や学生から興味を持っていただき、多くの質問をいただき、議論を交わすことができました。その中で、自身だけでは気づくことができなかった視点からの考察や、データ研究の結果から今後の医療のより良い在り方について意見交換をする機会があり、大変勉強になりました。本学会を通じて学んだ知識や経られた経験を今後に生かしていけるよう精進していきたい所存です。
最後になりますが、この度、学会参加の機会を与えてくださった佐藤製薬株式会社様に厚く御礼申し上げます。

(薬学部薬学科6年/易 蓉静)

第2回助成

第60回 American Society of Hematology Annual Meeting(ASH年次集会)(2018年11月30日~12月5日)(アメリカ合衆国、カルフォルニア州、サンディエゴ市)

造血器腫瘍の中でも白血病やリンパ腫などでは、薬物治療による治療が可能となってきましたが、一方で、多発性骨髄腫(MM)は未だ根治困難な難治性疾患であります。近年、Lenalidomide(Len)などの新規治療薬の登場により、MMの予後は著しく改善しています。しかし、Lenの適応拡大に伴いLen抵抗性患者が増加し、治療の障壁となっています。その解決を目指して、私はLen耐性機構の解明と克服薬の開発についての研究を展開し、今回の発表に至りました。
まず、Len耐性MM細胞を3種樹立し、細胞株ごとにLen耐性機構が異なることを見出しました。具体的には、CRBNの発現減少やIKZF1の発現上昇が耐性の原因であることを発見しました。また、新規化合物TC11は、これらのLen耐性株に対しても細胞死を誘導したことから、Len耐性を克服する候補化合物として期待されます。
私の発表に対して、多くの研究者から質問・コメントをいただきました。例えば、「どうして耐性株ごとに耐性機構が違うのか?」といった想定外の質問や「TC11の臨床試験の際には薬物動態に注意が必要だ。」といった治験を意識したコメントもありました。ASHのような大きな国際学会への参加は、私が今後、企業の臨床開発職として働いていく上で極めて重要な経験であったと思います。
このような貴重な機会をお与えくださいました佐藤製薬株式会社様には、心よりお礼申し上げます。

(大学院薬学研究科 修士課程2年/宇於崎 涼)

第1回助成

第17回次世代を担う若手ファーマ・バイオフォーラム 2018 (2018年8月31日~9月2日)(熊本県熊本市)

熊本大学薬学部 大江キャンパスで行われた,2018年9月1日 (土),2日 (日) の2日間に渡る「 第17回次世代を担う若手ファーマ・バイオフォーラム 2018 」(日本薬学会生物系薬学部主催) に参加しましたので報告させて頂きます。
本フォーラムは2001年に設立された,10分間の口頭発表に対して,10分間もの質疑時間を有するユニークな学会です。若手研究者の育成に焦点を当てており,各セッションごとに座長とは別に多くのアドバイザーを配置することで,様々な分野で活躍する先生方の多視点からの批判や質問を促します。こうした仕掛けにより発表学生と聴衆の深い議論を加速させ,学生の質疑能力及び知識の向上,さらには研究の発展を図ります。今回,日本各地の生物系研究室から,助教からB4まで幅広い立場の若手研究者が発表に臨みました。また,学生の52演題に対し,それより多い69名もの先生方が学生の成長を望んで,評価を行って下さいました。
本フォーラムにおいて私は,初日の9月1日に口頭発表を行いました。10分間の著名な先生方との議論を通し,自分の研究の至らぬ点や強みを様々な角度からご指摘して頂きました。また,企業の研究者の方々もお見えになり,貴重な企業目線の意見を頂くことが出来ました。さらに,充実した時間を過ごすことができただけでなく,最優秀発表賞をいただくことができました。これまでの研究を認めていただけたことを嬉しく思うと同時に,今後の研究の発展に尽力していきたいと強く感じました。
このような貴重な経験が出来たのも研究奨励をして下さった佐藤製薬株式会社様のご協力があってこそでした。この場を借りて感謝申し上げます。

(大学院薬学研究科 修士課程1年/飯野 雄大)

第33回JSSX/MDO国際合同学会 (2018年10月1日 ~5日)(石川県金沢市)

私は、第33回JSSX/MDO国際合同学会にて、LC-MS/MSを用いた定量的標的プロテオミクスによる妊娠進行に伴うMDR1とBCRPの発現量変動解析についてポスター発表を行いました。聞きに来てくださった方の多くが、本研究のタンパク質の解析手法に興味を持ってくださり、サンプル調整方法やLC-MS/MSを用いたタンパク質解析法について実りある意見交換を行いました。
他の研究者で興味深かった発表演題は、金沢大学薬物代謝安全性学講座の中島美紀先生の「Significance of post-transcriptional regulation of drug-metabolizing enzymes: Perspective insight into future pharmacotherapy」です。ご講演では、中島先生のグループが発見されたnon-cording RNAによるCYPやUGTのタンパク質発現制御機構についてお話くださいました。RNAのAがIになるRNA editingやRNA adenosineがメチル化するRNA methylationによってアミノ酸シークエンスが変化し、タンパク質発現量が変化することは新しい知見であり、大変興味深かったです。
本学会では、他大学の大学院生が多く参加されており、学生主催のシンポジウムでオーガナイザーとして活躍されている姿やシンポジストとして堂々と発表されている姿を拝見し、とても刺激を受けました。知識不足のために理解が難しい演題も多くありましたが、興味があったことはさらに自分でも勉強をし、学んだことや頂いたご意見を研究活動に活かし、研究内容を向上させます。
最後になりましたが、このような機会を与えてくださった佐藤製薬株式会社様に厚く御礼申し上げます。

(大学院薬学研究科 博士課程4年/植田 有美)

第91回 日本生化学会(2018年9月23日~26日)(京都府京都市)

この度は、第1回 佐藤製薬株式会社Research Encouragement Awardに採択いただきまして、心より感謝申し上げます。
現在、私は、未分化大細胞リンパ腫の原因遺伝子として同定されたNPM-ALKの発がん機序について研究をしております。NPM-ALKは細胞質と核内に局在しているのですが、これまでの研究は、細胞質におけるNPM-ALKの機能を解析したものが主でした。私は現在までに、NPM-ALKは、活性依存的に核小体に局在することを見出しており、NPM-ALKの核小体への局在の分子機構および核小体でのNPM-ALKの機能について明らかにすることをめざしています。
今回は、NPM-ALKの核小体への局在には、核内タンパク質であるNPMが必要であることを明らかにしました。また、核小体画分を調製し、NPM-ALKの結合分子を同定することにより、核小体におけるNPM-ALKの機能を明らかにすることをめざしました。今回の第91回 日本生化学会では、本研究成果に関して、口頭発表およびポスター発表を行いました。
学会に参加することにより、多くの研究者の方々との意見交換ができ、核小体研究に関する知見や実験技術を学ぶことができました。今回賜りましたご支援により、今後さらに一層研究に打ち込んでいきたいと思います。

(大学院薬学研究科 後期博士課程2年/内原 脩貴)

第77回日本癌学会学術総会 (2018年9月27日~30日)(大阪府大阪市)

今回第77回日本癌学会学術総会にて、"The Tumor Suppressor microRNA-34a Suppresses Organoids Derived from Human Cholangiocarcinoma."という表題でポスター発表を行い、肝内胆管がん患者由来のオルガノイドにおけるmicroRNA-34a (miR-34a) のがん抑制効果を報告しました。
近年増加傾向を示す胆管がんは難治性がんの代表であり、予後治療も極めて悪く、根治の難しいがんと言われています。私たちは肝内胆管がん患者由来オルガノイドを樹立し、長期培養することに成功しました。また以前の研究において、肝内胆管オルガノイド及び正常胆管オルガノイドにおけるDNAの網羅的解析を用いて、肝内胆管がんにおいてがん抑制遺伝子である miR-34aの発現が抑制されていることを明らかにしました。
さらにその要因がmiR-34aのCpGアイランドのメチル化異常であることも示しました。miR-34aをオルガノイドにおいて強制発現させると、miR-34aのターゲット遺伝子の発現低下及びオルガノイドの増殖抑制を引き起こしました。これらの結果よりmiR-34aは難治性がんにおいて重要なターゲット遺伝子となり得ることが示唆されました。さらに画期的な個別化医療の開発を目指すために miR-34aを内封した温度応答性ポリマーを作成し、37℃でオルガノイドに曝露したところ、 miR-34aのターゲット遺伝子の発現が低下し、このポリマーの有用性が示唆されました。
ポスター発表では①miR-34aには37℃という環境は悪影響を及ぼさないのか、②5-azaなどのDNAメチル化阻害剤との効果の差はどうなのか、という質問を受けました。これらの問いに対して私は、①miR-34aには影響は及ぼさず、きちんとがん抑制効果も出ているので大丈夫である、②そこは検討課題であり、今後確かめていきたいところである、と答えました。研究報告することで、新たな知識や視点を得ることができ、自身の研究を多角的に見ることができました。
この度は佐藤製薬株式会社様からの御支援を賜り、無事に学会発表を行うことができたこと、多くのことを学ぶことができたことを深謝致します。

(大学院薬学研究科 修士課程2年/北原 綾)

第24回日本薬剤疫学会学術総会 (2018年10月13日~14日)(宮城県仙台市)

この度は佐藤製薬株式会社Research Encouragement Awardに採用していただきまして、心より感謝申し上げます。研究奨励資金は2018年10月13日~14日の第24回日本薬剤疫学会学術総会の参加費用に全額充当させていただきました。
私は自身の研究テーマである「大規模病院情報データベースを用いた小児患者における抗悪性腫瘍薬の適応外使用に関する実態調査」のポスター発表の演者として学会に参加させて頂きました。自身の研究成果を他者に分かりやすく説明することに難しさを感じながらも、フィードバックを頂けることで研究の進展の大きな助けになると実感いたしました。また他の研究成果を聴講することで、自分が実施している研究以外にも「大規模病院情報データベース」の様々な活用方法の可能性を学べる機会になったと感じております。
そして自分が発表するだけでなく、2日間にわたり導入されたばかりの臨床試験法の現状や、最新の治験についてのシンポジウムを拝聴できる貴重な経験を得ることができました。製薬企業や大学の方々などバックグラウンドの異なる研究者との交流の場は刺激的であり、プレゼンテーションの仕方など学ぶことばかりでした。今回の学会で吸収した知識を今後に活かしていけるよう、より精進したいと思います。
最後になりますが、佐藤製薬株式会社の皆様のご厚情この場をお借りして深い感謝と共に御礼を申し上げます。

(薬学部薬学科 6年/黒田 万由子)

2018 International Meeting on 22nd MDO and 33rd JSSX(2018年10月1日~5日)(石川県金沢市)

石川県金沢市にて開催された2018 International Meeting on 22nd MDO and 33rd JSSXに参加し、Synthesis and biological evaluation of novel nevirapine analogs designed to avoid metabolic activationと題したポスター発表を行った。本研究は、代謝活性化 (metabolic activation) により毒性を示すと考えられている抗HIV薬ネビラピンに着目し、その構造を変化させることで代謝活性化を回避した安全性の高い医薬品の創出を目的としている。今回は、ネビラピン類縁体の合成と代謝活性化の評価を行い、これまで注目されていなかったメカニズムがネビラピンの代謝活性化に寄与しうることを発表した。ディスカッションの場では代謝活性化の評価方法やネビラピンの代謝活性化経路に関する質問が多くなされ、充実した議論を交わすことができた。
シンポジウムはいずれも素晴らしい内容であり、九州大の大村先生やConnecticut大のHalpert先生をはじめとするアカデミアの著名な先生方の講演を聴く機会にも恵まれた。中でも今回は、Pfizer社のObach氏など企業研究者の方々の講演が印象に残った。創薬の現場で感じ考えたこと、そこで求められる技術に触れることで、研究の大きな流れを把握できたと感じている。聴講する中で私の知らない研究や技術に出会うことも多かったため、もっと勉強しなければならないと襟を正す思いである。
最後になりましたが、佐藤製薬株式会社Sato Pharmaceutical Research Encouragement Awardにご採択いただき大変光栄に思います。本学会参加にご支援いただき、私にこのような貴重な機会を提供してくださいました、佐藤製薬株式会社様に厚く御礼申し上げます。

(大学院薬学研究科 後期博士課程1年/立石 泰寛)

第60回天然有機化合物討論会 (2018年9月25日~28日)(福岡県久留米市)

天然有機化合物討論会にて、天然物合成に有益な、酵素法・化学法による位置選択的変換手法の開拓という演題でポスター発表した。内容は主に、二糖配糖体における部分加水分解をはじめとした、ポリフェノール配糖体の効率的な加水分解の新たな手法、分子内に複数のエステルやヒドロキシ基を有する化合物を基質とした、リパーゼ触媒による位置選択的脱アシル化やアシル化、アシルポリフェノールの塩基性条件下におけるアシル転移である。
これらの内容について大学の医・薬・理・工・農学部、製薬化学企業の研究者と討論した。本学会の参加者に、当研究室で開拓した反応の有用性を示し、有益な情報を提供した。一方、他の研究者との討論を通じて自身の発表内容への理解が深まり、改良点や今後の課題を明確にできた。また他の研究室の発表を聞き、今までにない新たな発想や知見を得ることができた。特に天然物の全合成研究における効率的な合成経路の設計や緻密な条件検討から学ぶことは多く、非常に得難い経験をすることができた。
本発表は天然有機化合物討論会の多くの発表の中でも、特に応用を視野に入れた発表であるため、この発表は学術的な貢献に加え、工業的な活用が見込める。そのため、応用的な分野である薬学分野の発展に大きく貢献するものと考えている。
本成果は佐藤製薬研究奨励資金により実現したものであり、ここに謝意を表する。

(大学院薬学研究科 修士課程1年/橋本 理一)

第24回日本薬剤疫学会学術総会 (2018年10月13日~15日)(宮城県仙台市)

2018年10月13日~14日に、東北大学星陵会館で開催された第24回日本薬剤疫学会学術総会に参加いたしました。総会のメインテーマは「薬剤疫学研究の新たな方法論」で、一般演題32題(口演13題、ポスター19題)、招待講演1題、シンポジウム6題が発表され、活発な討議が交わされました。
私は口演にて「電子カルテデータからスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)および中毒性表皮壊死症(TEN)を特定するアルゴリズムの検討」を発表いたしました。SJS/TENは、医薬品等に起因して皮膚・粘膜の障害を呈する重篤かつ希少な副作用疾患です。近年、このような発生頻度の低い副作用の検出に、医療情報データベース(DB)を活用する試みがなされています。しかし、SJS/TENは誤診されやすい疾患でもあることから、医療情報DBを用いた疫学研究を実施する場合、その結果にバイアスが生じえます。現在、本邦において医療情報DBからSJS/TENを妥当に特定できるアルゴリズムを探索した研究はありません。そのため、本研究では慶應義塾大学医学部皮膚科学教室と共同で、同アルゴリズムの開発に取り組みました。
大変光栄なことに、総会では本研究を専門家の先生方から高く評価していただき、奨励賞を頂戴することができました。今回の受賞を励みに、薬剤疫学の発展に資する成果を創出できるよう、一層研究活動に邁進する所存です。
最後になりますが、この度、学会参加に係る経費を補助いただきました佐藤製薬株式会社様に心より御礼申し上げます。

(大学院薬学研究科 修士課程2年/深澤 俊貴)

第77回日本癌学会学術総会 (2018年9月27日~30日)(大阪府大阪市)

私は、2018年9月30日(土)に日本癌学会学術総会にて、「胆管がん及び膵臓がんオルガノイドにおけるエピジェネティック治療のもつ新たな抗腫瘍メカニズムの検討」の題で、ポスター発表を行いました。
今回、初めて学会という場で発表する機会を頂くことができ、自分の研究を幅広い分野の研究者の方々に知っていただくことができました。また、それだけではなく、研究者の方々から客観的なご意見を頂戴することで、今後はノックダウン等による経路依存性の確認をとる必要性や、より詳細なエピゲノム状態を確認する必要性が明らかになり、今後の研究の指針となりました。さらに、研究を発表するだけでなく、その他の研究者の方々の発表を見聞きすることができました。学会に参加することで、多くの幅広い知識を身に着けることができ、今後に活かしたいと思いました。
また、今回参加させて頂いた日本癌学術総会は、国際化への取り組みの一環として、発表資料の全英語化を実施しております。ポスターを英語で作ることの難しさや、研究で用いる独特の英語の表現等を学ぶ良い機会となりました。
日本癌学会学術総会に参加させていただくに際しましては、佐藤製薬株式会社様より研究奨励資金を頂きました。ここに厚く御礼申し上げます。学会参加の経験を活かして、より一層研究に励もうと思います。

(大学院薬学研究科 修士課程1年/山口 智子)