薬学部は、生命科学、有機化学、物理化学の基盤領域と、医療に結びつく実践領域とがコンパクトに融合した研究・教育環境が特徴です。このような学際的な教育・研究環境からは多くの学びや気づきがあり、多角的な視野からの探究心が育まれ、10年20年先を見据えた高度薬学教育が可能になります。また、医療現場や行政・アカデミアなど幅広い領域で活躍して未来を先導する人材を輩出し、いわゆる「基礎・臨床一体型」の教育から薬剤師の活躍の場を広めるための活動を推進しています。

大学院では、日々の研究活動からライフサイエンスの最先端がどこにあるのかを知り、重要なクエスチョンから実直にサイエンスと向き合うプロセスを通して、グローバルかつフェアな視点で科学的な判断や行動ができる人材を育成します。自然が作り出した生命の仕組みは実に合理的で美しく、日々の研究活動を通してその本質の一端に触れ、息を呑むような体験をすることで、学生が飛躍的に成長する場面を幾度となく見てきました。そのためにも、学生が元気で研究が楽しいと思える環境を整え、オリジナルで革新的な研究成果を発信し、幅広い分野での薬学研究科の存在感を高めることが重要です。

慶應義塾大学薬学部は、磨けば光る逸材を多く抱える学部として、医療系を含む多様な分野で活躍するポテンシャルが高い人材を育成・輩出するチャンスに恵まれています。超高齢化社会における健康増進、自然との共生関係や持続可能な開発目標SDGsなど、今後グローバル社会の要請に応えるための科学技術イノベーションを担う多様な人材を、慶應薬学部・薬学研究科より輩出していくべきであると思います。そのために今何ができるのか、なすべきなのか、理念・哲学を持って実行、進化を続けてまいります。

薬学部長 有田 誠 薬学部長
有田 誠

薬学研究科委員長 三澤 日出巳 薬学研究科委員長
三澤 日出巳


薬学部長の横顔PDF(『三田評論』2023年11月号より転載)

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