2024年9月5日から7日にかけて、慶應義塾大学先端生命科学研究所(IAB)-薬学研究科(薬研)合同リトリート「統合システム適塾」を、慶應義塾大学鶴岡タウンキャンパス(山形県鶴岡市)で開催しました。本プログラムは2019年に開始され、今回は2022年以来2年ぶり4回目の開催となります。薬学研究科からは、学生20名(大学院生および大学院進学が決定している学部生)と教職員5名が参加し、IABに所属する学生・教職員、起業経験を有する医学部教員と交流を行いました。
本プログラムは「異分野ネットワークの構築を目指した「統合システム適塾」」として2024年度未来先導基金公募プログラムに採択され、同基金の助成を受けて実施されています。
2001年にIABが鶴岡に開設されて以来、同研究所では異分野融合研究が進み、IABから生まれたベンチャー企業は9社を数えます。一方、薬研では基礎科学から臨床応用まで幅広く研究が進められていますが、研究科として他のキャンパスや研究科と交流する機会は多くありません。薬学部ではアントレプレナーシップに関する講義も開設されていますが、大学院生向けの取り組みには課題が残されています。
このような現状を踏まえ、本リトリートでは他分野の学生・教員との交流を通じて、互いの知的好奇心を刺激し、セレンディピティの創出と学問分野の垣根を越えた融合研究の発芽を企図することとしました。
【初日:9月5日】
薬研参加者は空路で移動し、昼過ぎにIABに到着しました。IABと薬研の学生はほぼ全員が初対面ということもあり、アイスブレイクとして自己紹介を兼ねたピッチトークおよびポスターによる研究発表の時間を設けました。学生はユーモアを交えつつ発表に臨み、ポスターセッションが終了する頃には、互いに打ち解けた様子が見られました。
その後、本リトリートの恒例行事である冨田 勝 名誉教授(IAB前所長)の講演が行われました。IABを作り上げてきた先導者の90分にわたる貴重なお話に、参加者は一様に聞き入っていました。
講演終了後は、最終日に行われる「仮想ベンチャープレゼンテーション・目指せ!鶴岡サイエンスパーク10番目のスタートアップ企業」の班分けを公開し、その後は各班で交流の場が持たれました。
【2日目:9月6日】
午前中は、鶴岡発ベンチャーの創設者やIAB教員による招待講演が行われました。午後は招待演者を囲んだパネルディスカッションが設定されました。こちらは本リトリートの特色とも言える名物イベントとなっており、その面白さはぜひ参加して確かめてください。
その後、薬研の参加者はIABの施設を見学し、各自が希望した研究室を訪問しました。夕方からは冨田名誉教授を含む全参加者が集結して、交流会を盛大に挙行しました。参加者が会場のあちこちで熱心に議論する姿が見受けられました。
【最終日:9月7日】
「仮想ベンチャープレゼンテーション・目指せ!鶴岡サイエンスパーク10番目のスタートアップ企業」の報告会が行われました。各班とも入念な準備を重ねた成果を惜しみなく披露しました。IABと薬研の知識を融合することで生み出されたアイデアも多く、審査員からはそれぞれの発表に対し高い評価と的確なコメントが寄せられました。
リトリート終了後に参加者を対象に行ったアンケートでは、回答者全員がリトリートを通じて、他学部・他研究科との交流が進んだ、将来のキャリアを考えるうえで役立ったと回答しています。今までの自分にはなかった視点を取り入れることができたという意見も多数ありました。一方でグループワーク時間の確保や、さらなる交流の促進、今後の交流継続についての要望も寄せられています。
学問分野を超越した研究の発展に向けて、本プログラムは改善を図りつつ今後も継続してまいります。
9/5 ポスターセッションの様子
9/5 冨田名誉教授による講演
9/6 パネルディスカッションの様子
9/6 交流会の様子
9/7 プレゼンテーションの様子
9/7 集合写真