がんの新しい診断・治療法開発をめざしたトランスレーショナルリサーチ

本講座では、基礎研究成果を臨床応用したり、診療の現場から出てきた疑問を基礎研究によって解明するトランスレーショナルリサーチを展開します。新規診断法の確立、薬物代謝、新規医薬品・治療法の開発を通じて「病める人を救う薬学研究」をテーマとします。
例えば、急性白血病や悪性リンパ腫患者の多くは治癒しますが、多発性骨髄腫などの難治性造血器腫瘍に対してはいまだ治療法が確立されておらず、新しい診断・治療法の開発が切望されています。我々は、多発性骨髄腫において、骨髄腫瘍血管新生やM蛋白の糖鎖構造がその病態に重要な役割を果たしていることを突き止めています。この知見をもとに、血管新生作用を有するサリドマイドや独自に見出したその新規誘導体を用いて、動物実験も含めて新しい治療法を確立します。その過程で、新規薬剤の標的分子の遺伝子クローニングなどにもチャレンジします。また、M蛋白の糖鎖構造に基づいた正確な治療効果判定や病勢の評価法も確立してゆきます。これらは、塾理工学部、医学部や他大学等との共同研究として遂行してゆきます。さらに、塾医学部血液内科と共同で、多発性骨髄腫や骨髄線維症などに対する医師主導臨床研究・試験も展開してゆきます。また、糖鎖の構造は、細胞接着やがん化の過程で変化することが知られています。近年、難治癌の治療法として注目されている免疫療法の開発もテーマとしています。白血病を初めとする様々な腫瘍に発現している新規癌抗原の同定、臨床応用への検討を行っています。

骨髄腫細胞
骨髄腫瘍血管新生