最新の薬学の成果およびその象徴である新薬を、薬事規制や国際ハーモナイゼーションなどを駆使し、社会において最も安全かつ有効な形で活用されるための方法を科学的に究明する

医薬品は生命関連製品であることから、医療の場で広く活用されるためには必ず薬事法に定める製造販売承認を得なければなりません。これはどのような画期的な新薬でも同じです。では、その製造販売承認を得るためには、どのような情報について、何の目的で、どのような方法で研究し、何時どのように解析し、何を明らかにすればよいのか、これらは未だ科学として十分に体系化され、評価法が定まっているとはいえません。一方、近年の分子生命科学やヒト遺伝子関連科学の急速な進展を背景に、新薬開発の手法は大きな変容を遂げており、これら日進月歩の科学技術の成果を社会に置くため、その方法論や考え方の確立に取り組むレギュラトリ-・サイエンス、及び医薬品の評価系(技術・基準)の開発と確立、制度化への応用を指向した医療技術評価法の発展が望まれています。加えて医薬品や薬物療法の安全性は患者・社会の最大の関心事項の一つであり、集団において科学的評価に足るエビデンスを創出するための学問、薬剤疫学及び臨床研究の研究者養成は、今後の日本の健康・医療戦略上、喫緊の課題であります。
医薬品開発規制科学講座は平成25年4月開講の若い講座ですが、以上の課題に対し薬学の立場で、科学的かつ国際性のあるアプローチで取り組むこととしています。また医薬品と社会の動的な関わりを理解し、その上に医薬品開発や安全対策、規制と審査などについて、最新の科学を応用した医薬品にふさわしい新たな提案のできる学生を育てることを目標にしています。