1:腸内細菌や食事による免疫・代謝制御メカニズムの解明

ヒト腸管には40兆個もの細菌が棲息しています。このように、腸内微生物と宿主細胞が友好的に共存している状態を『腸内共生』と呼ばれています。本研究室では、腸内細菌や栄養シグナルが腸管免疫系に与えるインパクトと、その制御メカニズムの解明に取り組んでいます。

具体的な研究テーマ

  • 腸内代謝物による免疫調節機構の解明
  • 炎症や肥満を抑える新規代謝物の探索
  • 絶食によるリンパ球動態制御の解明
  • 腸内細菌を標的とした創薬

2:腸内細菌や腸管免疫異常による疾患メカニズムの解明

腸内細菌の異常は、炎症性腸疾患、がん、肥満、糖尿病といった様々な疾患の原因となりますが、その病態形成メカニズムは不明です。そこで、マイクロバイオーム、トランスクリプトーム、エピゲノムなど各種オミクスデータの解析を通じて、『病は腸から』の解明を目指します。

具体的な研究テーマ

  • 帝王切開による新生児腸内細菌異常とアレルギー感受性の増加
  • 腸内代謝物による過敏性腸症候群(IBS)発症メカニズムの解明
  • リーキーガットによるIgA腎症発症メカニズムの解明
  • 胎児免疫寛容機構の解明

3:特殊上皮M細胞を起点とした微生物―宿主相互作用の解明

腸管や呼吸器の粘膜には抗原となる物質が大量に存在します。体内へとこれらの物質が勝手に入らないように腸管にはバリアが存在します。しかし、『M細胞』は逆に抗原を取り込むことで免疫を活性化します。この取り込み機構は、炎症やアレルギーと深く関わります。本研究ではM細胞の機能を明らかにし、免疫の制御機構の理解を目指しています。

具体的な研究テーマ

  • 花粉症における呼吸器M細胞の役割
  • 多発性硬化症の発症におけるM細胞の役割
  • M細胞の分化制御と粘膜免疫系の発達