2022年度

【海外アドバンスト実習】

アイオワ大学 2022年9月6日~10月7日

大上 愛由(薬学部薬学科6年*当時)

私は、アイオワ大学で5週間、海外アドバンスト実習に参加しました。病院内での実習だけでなく、現地の薬学生が受ける講義への参加、薬剤師が携わる様々な地域の施設見学を行いました。

実習を通して得た収穫は大きいです。まず、アメリカの医療の仕組みや薬剤師のあり方についての知識を自分のものにできました。日本とあらゆる点で異なる仕組みが導入されているアメリカの臨床現場を実際に体感すること、医療以外の社会環境や人々の価値観を合わせて学べることにより、「ただ知っている」だけでなく、「自分で考えられる」知識を得ました。さらに、繰り返し体験すること、実際に働いている薬剤師さんから臨床現場の裏側まで聞けることは実習という特性ならではの魅力だったと思います。

さらに、自分のものにできた知識をもとに、医療の仕組みや薬剤師のあり方に関して、モヤモヤしたことも大きな気づきです。薬学部に6年間所属していると、誰しも多かれ少なかれ、医療・薬剤師のあり方に対して、自分なりの意見が持っていると思います。私は、自分の中の意見が徐々にクリアになってきているように感じていて、当初は実習を通して、その意見がより強固になることを期待していました。しかし、実際は、今までの意見が必ずしも正しいとは思えなくなり、逆に頭の中が混乱する結果となりました。この経験を通して、自分は狭い世界で意見を完結させようとしていたことに気づかされ、頭がクリアになってきた時こそ危険であり、自分の視野を広げる努力をしなければいけない時期なのだと学びました。

本実習は、アメリカで薬剤師として働かない限り、長期間、学生という立場で臨床現場の中に入れてもらえるのは、他で経験しようとしてもなかなかできない貴重な機会だと思います。将来の進路や英語の得意不得意等に関わらず、どんな人にもおすすめしたいプログラムでした。

大上 愛由01

大上 愛由02

アイオワ大学 2022年9月6日~10月7日

千島 陽奈(薬学部薬学科6年*当時)

私はアメリカ・アイオワ州にあるアイオワ大学で5週間の実習をさせていただきました。
渡航する前から入念に希望を聞いてくださり、コロナ対策が求められる状況にも関わらず、病院、薬局、さらには在宅点滴サービスなど多岐にわたる医療施設を訪問させていただきました。病院実習では薬剤師と薬学生だけでのディスカッションの機会もあり、よりフランクに意見交換をすることができて刺激になりました。アメリカの薬学生は在学中からファーマシーテクニシャンとして働くことができ、その実践力の高さに驚かされました。患者さんの相談に一人で対応する薬学生などを目の当たりにして、日本で薬剤師として働くときは調剤室内での業務のみに甘んじていてはいけないと強く感じました。

また、アイオワの人々のおおらかさも、医療現場の内外を通して印象的でした。さまざまな外見や話し方の人がいて、固定されたものを前提としない文化を感じました。ダウンタウンの店先には路面に絵が描いてあったり、休日には音楽が聞こえたりととても雰囲気が良かったです。また、薬学生の皆さんは本当に親切で、不慣れな私たちに毎日のように町を案内してくれました。

異国の地での実務実習は少なからず勇気の要ることだと思います。私自身、日本語の伝わらない現場で薬剤師の卵としてうまく立ち回れるか心配でした。しかし、外国のことですから知らないことだらけで当然です。途中からはそうしたことを臆せず質問することが最大の学びにつながると気づき、知らないことに直面しただけ儲けものだと思うようになりました。幸いにも、実習では沢山の質問の機会を設けていただきました。是非、少しでも興味があるという人は挑戦してみることをおすすめします。絶対に挑戦して損にはならないと思います!

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ノースカロライナ大学 2022年9月12日~10月7日

木村 枝里香(薬学部薬学科6年*当時)

ノースカロライナ大学病院で、4週間の病院実習を行いました。実習では病院薬剤部以外にも小児チームや各ICUチームなどの様々な医療チームを見学することができ、病院薬剤師の業務だけでなく、薬剤師と他職種との関わり方についても学ぶことができました。

医療チームのラウンドではチーム全員で患者のベッドサイドを回り、患者を交えて今後の治療方針などを話し合っている様子を見学しました。日本でも患者の意見は重要視されていますが、アメリカでは患者ファーストの姿勢がより徹底されているように感じました。
また、アメリカでは電子処方箋が広く使われており、薬剤師がパソコン上で処方の安全性・妥当性を確認してからテクニシャンが調剤をするなど、ITの活用により効率的に業務が行われていることを実感しました。日本でも電子処方箋が導入されるため、今後の日本の医療現場の変化について考えるきっかけとなりました。
一方で、アメリカには日本のような皆保険制度がないことから、患者の収入などに応じて受けられる医療に違いがあることなどを知り、日本の医療制度の優れた部分を再確認する機会にもなりました。

実習が休みの日はノースカロライナ大学の学生と交流したり、現地のスーパーマーケットや薬局に行ったりと、アメリカの文化を肌で感じることができました。ノースカロライナ大学の学生に野球観戦に連れて行ってもらったりホームパーティーに呼んでもらったりと、友人として接してもらえたことがとても嬉しかったですし、今でも大切な思い出です。
もちろん、卒業研究と並行して実習準備をしたり、専門用語を使った議論を英語でしたりと大変なこともありましたが、それ以上に本実習でしかできないとても貴重な経験が得られました。

私は海外経験が全くなく、語学力やコミュニケーションに不安を持ちながらの実習でしたが、周りの方々の協力もあり無事に実習を終えることができました。もし、興味はあるけど同じように不安があるという方がいたら、ぜひ前向きに挑戦してほしいと思います。

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木村 枝里香02

【海外臨床特別研修】

ノースカロライナ大学 2022年9月12日~10月7日

大野 由紀子(薬学専攻博士課程2年*当時)

私が本プログラムに参加したのは、少しでも多くの経験を積んで、広い視野を持った薬剤師になりたかったからです。元々は2020年に渡航予定でしたが、コロナ禍で断念せざるを得ませんでした。しかし、院進して幸運にも再挑戦する機会を頂けました。

私が訪れたのはノースカロライナ大学 (UNC) 病院です。4週間の実習中、ほぼ日替わりで異なる診療科を周り、多くの薬剤師やテクニシャンをシャドウイングしました。
UNC 病院はアメリカの中でも先進的な病院で、国の違いだけでなくレベルの高さからも多くの学びがありました。特に印象的だったのは全外来部門に薬剤師が配置されていた点と、教育や研究に力を入れていた点です。

また、日本とアメリカで出来る業務内容や文化に違いはあっても本質的な部分は変わらないことに気づけたことが実習に参加して一番よかった点です。機械の導入など、日本の薬剤師の業務内容にも変化が訪れていますが、その中でも変わらず、薬の専門家として在ること、他の医療スタッフや患者さんとの向き合い方が大切であると痛感しました。この気づきは卒業後の私の薬剤師としての指針になることでしょう。

本プログラムを希望する方へ、アメリカでは自己主張すること、ポジティブな表現をすることが好まれます。疑問に思うことや自分がやりたいことはぜひ積極的に発信してみてください。そして感謝やポジティブな気持ちをたくさん伝えることをお勧めします。
英語に不安を感じる方も多いと思いますが、準備期間もありますし、最後は「伝えたい!」という強い気持ちを持って言葉を重ねたら意外と何とかなります。得難い機会なので、ぜひ挑戦してみてください。

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2021年度

アイオワ大学 2021年9月13日~10月1日

石橋 春奈(薬学部薬学科6年*当時)

アイオワ大学での海外アドバンスト実習は、日本の医療制度や薬剤師の職能を新しい視点で見直し、より深く理解するために非常に有意義な経験でした。

日本で生活する中で当たり前の制度や、薬剤師の働き方が、世界で共通のものではないと学んでいましたが、実際にアメリカの医療現場に伺ったことで、各国の医療の違いには、社会的な背景や文化の差異が大いに関係していると実感することができました。海外の先生や学生と、お互いの環境について教えあい、それぞれの医療制度の課題や、理想的な薬剤師の在り方を議論できる機会は他に無く、海外アドバンスト実習の魅力だと感じました。また、自由時間には、アメリカンフットボール観戦やアイオワ大学の周辺地域の散策などアメリカの文化を体験できたことも、良い思い出になりました。

私は、「失敗を恐れずに積極的に挑戦すること」が海外アドバンスト実習に参加するうえで最も重要であると感じています。私は海外での居住経験や留学経験が無く、語学力に全く自信がありませんでした。しかし、実際に渡航してみると、先生方も学生達も、「完璧な英語で話すこと」ではなく、「私自身の考えを伝えようと努力すること」を期待していると分かりました。最初は緊張していましたが、過ごしていくうちに徐々に会話に慣れ、コミュニケーションをとることが楽しくなりました。この実習に参加したことで、初めて気づいたことや学んだことは渡航前に想像していた以上にとても多くありました。私のように、海外での実習に興味があるが、語学力に不安のあるという方は、ぜひ勇気を出して挑戦してほしいと強く感じています。

石橋 春奈01

アイオワ大学  2021年9月13日~10月1日

坂井 真衣子(薬学部薬学科6年*当時)

私がアドバンスト海外病院実習に参加してよかったことは、大きく分けて2つあります。
1つ目は、海外の医療現場の実情を間近で感じられたことです。私が実習をおこなったアメリカでは、日本よりも薬剤師にできることが多いと感じました。特に印象に残ったことは、薬剤師や講習を終えた薬学生が薬局などでワクチン接種を行っており、新型コロナウイルスのワクチン接種のほとんどを薬学生が行っていたことです。また、ピッキングなどの対物業務はテクニシャンが行い、その分アメリカの薬剤師は対人業務に時間を割くことができていると感じました。私はアドバンスト海外病院実習に参加したことで、5年時の病院実習だけでは機会がなく学べなかったことや、日本と海外の違いも学ぶことができました。

2つ目は、海外の文化を肌で感じることができたことです。私が実習をおこなったアイオワ大学は町の中心地に近く、実習の帰りにカフェに寄ったり買い物をしたりが気軽にできました。また、実習先の大学・病院の先生方や滞在していた家のオーナーには親切にしていただき、休みの日には町の案内やスポーツ観戦に誘っていただくこともありました。3週間の滞在で出会ったすべてが新鮮で、貴重な経験でした。

私がアドバンスト海外病院実習に参加する上で一番不安だったことは英語力でしたが、参加を決めてから実習まで時間があり、実習の前に事前授業もあるため、しっかり準備することができます。また、実習中でも空いた時間に復習などを行うことで、より多くのことを学べたと思います。そのため、少しでも興味があれば参加してみることをお勧めします。きっと、他ではなかなか得られない経験になると思います。

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2019年度

ワシントン大学  2019年5月29日~6月28日

木城 美保(薬学部薬学科6年*当時)

ワシントン大学附属病院の1つであるNorthwest Hospital and Medical Centerにて2019年6月に約1ヶ月間の実習に参加しました。渡航前にオンラインで教育プログラムを受講し、「Pharmacy Assistant」(現地の薬剤師の監督のもと、限られた業務を行える資格をもつ)として、救急病棟専属の薬剤師とともに、主に抗菌薬や血液凝固阻止剤といったリスクのある薬の用量、栄養剤に含まれる成分の種類や割合を決定するといった業務を行いました。アメリカは州によって法律が異なり対応が違うため、実習先の要件に合わせて準備が必要ですが、周りの方々のサポートもありますし、準備も含めて良い経験となりました。

日本では薬の用法用量に関して、薬剤師はあくまで医師への「提案」はできますが、決定権はありません。アメリカでは、薬剤師の決定権が日本と比べて大きく、自分が設計した用法用量がそのまま患者さんの治療に直結します。責任は大きいですが、病状が良くなっていく患者さんを見るのは本当に嬉しいですし、医師や他職種と「チーム」として働く一体感を強く感じることができました。
実習は平日の7時から15時までで、実習後や週末はステイ先のホストファミリー、現地の学生達と一緒にシアトルの街を満喫しました。特にホストファミリーは本当に親切な方々で、今でもメールのやり取りをするなど交流があり、素敵な出会いとなりました。

渡航前は語学力や実習内容に関して、自分にできるだろうかと自信が持てず、不安なこともありましたが、ずっと憧れていたプログラムに参加でき、本当に貴重な経験となりました。迷っている方はぜひ、挑戦してみてください!

木城  美保01

木城  美保02

アイオワ大学  2019年9月1日~10月6日

冨沢 佳弘(薬学部薬学科6年*当時)

本記事をご覧になっている皆様、はじめまして。2019年度の海外アトバンスト実習で、米国アイオワ大学へ留学しました冨沢佳弘と申します。私が本プログラムを修了して感じた、本プログラムの特徴や学んだことなどについてお話しいたします。

海外アトバンスト実習の特徴は、ウェブサイト等で紹介されている通り、見学型ではなく参加・体験型の実習であるという点です。実習先の病院では、実際に現地の薬学生と共に医療チームの中に入り、カルテからの情報収集、患者さん・薬剤師等の医療従事者とのコミュニケーションなどを行います。現地の学生や医療従事者と共に行う臨床実習は、非常に刺激的で、勉強になりました。また、プログラムの中では、実習先に渡航する前に、現地のプリセプターを日本に招き、数週間程度の講義を共にする機会もあります。そこでは、海外のガイドラインや医療制度などを事前に学ぶ事ができ、これからお世話になるプリセプターと事前にコミュニケーションすることができたため、海外経験がない自分にとって大きなプラスでした。

海外アトバンスト実習で学んだことは多々ありますが、その中でも特に大きな学びは、国際的な視野を持てた点です。皆様もご存知の通り、日本とアメリカの医療システムはいくつかの点で差異(例えば、Pharmacy TechnicianやPhysician Assistantといった日本にない医療専門職の存在、薬剤師によるワクチン接種など)があります。それらがどのような背景で違っており、結果として患者・患者家族、医療従事者といったステークホルダーにどのような影響を及ぼすのか、理想的な医療提供を実現するためには、日本はどの点を学ぶ事ができるのか、といった点に対して、他国の現状や考え方を知ることにより、自分の視野が拓けた実感があります。製薬業界やヘルスケア業界は、決して日本国内に完結するものではないため、こういった国際的な視野は、仕事をしていく中で特に役に立っています。

最後に、本プログラムに興味を持っている方、応募を迷っている方へメッセージです。本プログラムは全国の薬学部の中でも先端的なプログラムの1つだと思いますし、ここでの約1ヶ月間の経験はかけがいのないものになります。しかし、多くの日本人が「留学」と聞いたときに最初に懸念するのが言語上の問題かと思います(私もそうでした)。特に、医療現場では、対医療従事者向けの専門的なコミュニケーションと対患者向けのカジュアルなコミュニケーションがあり、日本語でも自信のないものを英語でできるのか、と身構えてしまう方も多いと思います。実は海外の臨床実習において、薬学生は既にメリットがあるのをご存知でしょうか。それは、医薬品名(一般名)は世界共通という点です。日本語でも英語でも、高血圧治療薬であるアムロジピンはAmlodipineですし、脂質異常症治療薬のロスバスタチンはRosuvastatinです。もちろん一部例外はありますが、私が滞在先の病院のカルテで見た医薬品はほぼ日本と同じ名前でした。これは医薬品名の知識が豊富な薬学生の特権で、言語上の問題はほぼ解決かと思います。

慶應義塾では、国際担当の教職員の方や海外アトバンスト実習に参加した先輩など、多数の方が皆様をサポートしてくれます。是非とも、参加を検討する中で、様々な方から情報収集し、納得のいく選択をしていただければと思います。私も、一人の塾員として応援しています。

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ノースカロライナチャペルヒル校  2019年9月9日~10月4日

山本 響子(薬学部薬学科6年*当時)

米ノースカロライナ大学病院における約4週間の海外アドバンスト実習に参加し、薬剤部のみならず、循環器ICU、新生児ICU、TPN(中心静脈栄養)専門チーム等、多様な診療科の薬剤師業務について幅広く学ばせていただきました。各診療科で毎朝の回診に参加し、ベッドサイドで患者さんの声に耳を傾け、医師・看護師・薬剤師を含む各メンバーがそれぞれの視点から積極的にディスカッションを重ね、チーム一丸となって最適な治療方針を入念に決定していく過程を間近で学びました。このように、チーム医療における活発な多職種連携、他職種からの薬剤師への厚い信頼を肌で感じたことが最も印象に残っています。一方で、医療保険制度や薬剤師の業務範囲等、日米間での医療現場を取り巻く環境の違いを実感し、日本の薬剤師に求められる役割を客観視でき、日本の医療現場の優れた部分にも意識を向けることができました。

実習外の時間では現地の薬学部生と交流を深め、地元住民の健康管理のボランティア活動やチャリティーイベントへ参加したことも忘れられない思い出です。勉強熱心で志の高いノースカロライナ大学の薬学部生と、将来どのように薬学の知識・経験を社会に活かしていきたいかを語り合う中で刺激を受け、自分自身も奮い立たせられたことは、帰国した今でも大きな糧となっています。海外アドバンスト実習で得られたかけがえのない経験を活かし、より良い日本の医療現場に貢献することができるよう日々励んでいます。

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山本 響子02

2018年度以前

コンケン大学 2018年9月3日~10月5日

横山 由佳(薬学部薬学科6年*当時)

私は薬学部6年生の時に海外アドバンスト実習に参加し、タイ王国コンケン大学で約1カ月の病院実習を受けました。
実習では、主にコンケン大学付属病院の腫瘍科病棟にて、短期レジデントとしてタイ王国の他病院から研修に来ていた薬剤師やコンケン大学の薬学部生と共に、がん患者ケアを学びました。午前中は、コンケン大学の学生にタイ語を英語に訳してもらいながら患者さんとお話をし、午後にレジデントの方と相談しながらSOAPを作成、発表しました。また、抗がん薬の勉強会、症例報告、論文紹介のプレゼンテーション等にも参加しました。実習中はコンケン大学の学生と交流する機会が沢山あり、学生同士で意見交換ができたことはとても刺激的で貴重な経験になりました。

実習中に特に印象に残ったのは、薬剤師の患者さんに対するきめ細やかな配慮と、幅広い知識を持ち、チーム医療の中で薬の専門家として活躍する薬剤師の姿でした。抗がん薬治療を安全に効果的に行うには多職種連携が重要であると改めて実感しました。
この実習を通して、薬学生として実務実習経験を積むことができただけでなく、自分自身が将来どのような薬剤師になりたいか目標を持つことが出来ました。そして何より、国を超えて沢山の友人や尊敬する先生に出会えたこともこの実習で得た財産だと思っております。
今後も多くの学生にタイでの実習を経験していただきたいです。

横山 由佳01

横山 由佳02

ワシントン大学  2017年6月3日~7月5日

土谷 聡耀(薬学部薬学科6年*当時)

私はワシントン大学附属の病院である Northwest Hospital & Medical Center (米国シアトル) を訪ね、同級生と 2 人で 4 週間にわたる集中治療室での病棟業務実習を行いました。

実習では一貫して集中治療室に入院している患者の薬学的管理を行いました。日々入れ替わり、刻々と容態が変化する患者の薬学的管理業務に従事することで多くの知識や技能を身につけ、臨床能力を高めることができました。指導薬剤師である Lee 先生は私たちを新米薬剤師のように扱い、あらゆる業務を行わせてくれました。また、医師や患者と話す機会を積極的に与えてくださり、非常に充実感が高い実習でした。

私は海外アドバンスト実習を通して文化と医療の結びつきを学びました。例えば米国の訴訟社会という文化は抗菌薬の選択に影響していると、感染症内科医の先生が教えてくれました。また、治療費を払えないホームレス患者の入院を拒否する病院が相次いだことから救急外来における入院拒否を禁ずる法律ができたらとのことで、日本特有の文化とは何か、それが医療にどう影響しているかを考える良いきっかけとなりました。

薬剤師の職能改革を重ねてきた米国は薬剤師先進国に見えるかもしれません。しかし実習を経て、決してそうではないと思うようになりました。米国を追従するのではなく、日本の文化や社会情勢に合う制度、日本の薬剤師の長所を生かした制度を追求すべきです。限られた世界に留まっていると自らの文化や特性に対する理解の浅さに気づいていないことすら、私たちは認識できません。ぜひ海外アドバンスト実習に参加して知見を広げてほしいと思います。

(土谷君の体験談は『ファルマシア外部サイトへリンク』Vol. 55, NO. 12, 2019. p1160-1161 に掲載されました)

土谷 聡耀01

土谷 聡耀02

米国食品医薬局(US Food and Drug Administration (FDA))
2018年9月4日~9月28日

難波 祐樹(薬学部薬学科6年*当時)

私は慶應義塾大学薬学部を代表し、2018年にFDA研修に参加いたしました。約1カ月間の研修期間を通じて、主に「米国における医薬品の開発・審査プロセス」、および「FDAから患者さん、医療従事者、企業に対する情報提供の仕組み」について学びました。具体的には、副作用報告に対する電話対応補佐、医薬品開発関連の公聴会への参加、FDA局員による薬学生向け講義への参加、新薬の臨床試験をテーマにした輪講、日本の承認制度・市販後調査に関するプレゼンテーションを実施しました。また、米国の薬学生と同じ土俵で、日々ビジネスやサイエンスにおける専門性の高い議論を行いました。バックグラウンドが全く異なる学生との議論を通じて、文化や視点の違いから生まれる気づきを多く得ることができました。同時に、私自身も自分なりの視点から英語で意見を発信し、討議していく刺激的な時間を過ごさせていただきました。

大学卒業後は新薬開発の世界に進むことを決めていた私にとって、規制当局の視点から医薬品開発に触れることができるFDA研修は、私の将来のキャリアにおいても大きなアドバンテージになることを当時から確信しておりました。そして、現在私は実際にビジネスサイドから新薬開発に関わっております。FDA研修での貴重な経験は、医薬品開発における自身の役割、キャリアの展望を俯瞰的な視点から考えていくうえで、非常に重要な判断指標となっています。



On behalf of Keio University Faculty of Pharmacy, I participated in the Food and Drug Administration (FDA) Pharmacy Student Experiential Program in 2018. Through the training period of about a month, I mainly learned about the "drug development and review processes in the United States (US)" and "how the FDA provides information to patients, healthcare professionals, and the industry."

Specifically, I experienced: shadowing of adverse event report calls, participating in public meetings related to drug development, student lectures offered by FDA staffs, Journal Club presentation of an article about a study of recent FDA approved drug, and a presentation about the approval system and post-approval assessment in Japan. In addition, with the US pharmacy students, I had discussions about highly specialized topics of business and science every day. Through discussions with students from completely different backgrounds, I had a lot to learn from the differences in culture and perspectives. At the same time, I had an exciting time to express my opinions in English from my own perspective.

For me, who had decided to join the industry of drug development after graduating from university, I was convinced from that time that this FDA program, which gives me exposure to drug development from a regulatory perspective, would be a great advantage for my future career. And now I am actually involved in drug development from the business side. These valuable experiences in the FDA program are now a very important indicator for me, in terms of understanding my role in the drug development industry and deciding my career plans from a wider point of view.

海外協定校プリセプターより

アイオワ大学部薬学部
薬学実務実習科長
ジェイ・カリー教授

We look forward to hosting and working with student pharmacists from Keio University Faculty of Pharmacy. Since beginning our exchange nearly twenty years ago, over thirty Keio students have traveled to Iowa to learn about the US health system, pharmacy, and life in the middle of America.
We have developed a unique experience allowing the students to get the feel of an American university while at the same time learning in an environment that is supportive of international visitors' language and educational needs.

Students spend much of their experience working side-by-side final-year Iowa student pharmacists completing clinical rotation experiences in the Iowa City area. A mix of inpatient and ambulatory care settings are included. Prior to attending clinical rotations, students meet with college faculty to receive preparation for the experience and the clinical approaches they will observe.

Currently, students from Keio visit in the fall which aligns with our normal fall semester, so Iowa students are on campus and a full calendar of events, activities, and major college sports are available. Students stay in a home-based Bed & Breakfast near campus.

Jay D. Currie,
Pharm.D., FCCP, FAPhA
Clinical Professor and Chair
Department of Pharmacy Practice and Science
College of Pharmacy
University of Iowa