本研修を振り返り、事前学習を通してタイの医療・教育制度を軸に視点を広げることができました。また、現地では様々な施設の見学、先駆的な先生方や現地学生との交流があり、短い期間で多くの経験と学びを得ました。このような研修に参加できたことに感謝申し上げます。
諸制度を学ぶ機会は大学授業にて多くありますが、タイの薬学教育は世界的にも大変進んでいると伺ったので、研修を通して実際を知りたいと思っていました。特に印象に残っていることは、病院でインターンをする学生から、患者ケアに対する考え方や、実践しながら適切な治療を学ぶことの大切さを伺ったことです。国ごとに制度の違いはあっても、薬剤師の価値観や目標は各国で共通点があることを実感できました。一方、タイでは九州大学の学生と研修を共にする機会も得ましたが、日本国内でも薬学教育について様々な違いがあると意識することもできました。
研修中にタイの薬剤師国家試験の委員長をなさっている先生との夕食会もあり、日本の薬剤師の働き方やタイの医薬分業の今後など様々なお話を直接伺い、海外からの日本の薬剤師の見え方を知ると同時に、これから超高齢化社会や老々介護などの問題が大きくなる中で、患者に対してどのように向き合っていきたいか考えることができました。タイの様々な施設を見る中で、医療施設が身近でない環境では、セルフメディケーションにおける薬が、人々の生活に欠かせず、希望をもたらすことを実感しました。本研修等を通して、卒業研究では薬を直接患者さんに届ける出口をより勉強したいと思い、今は医療薬学・社会連携センター医療薬学部門で、アプリを用いた効果的な薬物治療を研究しています。
渡航前には訪日したコンケン大学薬学生との交流機会があり、現地の学生の雰囲気が分かってから渡航できるので、安心して参加できることも特色だと思います。学生の間に他国の医療現場を直接見られる良い機会はあまり無いため、薬学を学ぶ上で貴重な経験を得られたと感じています。