進路は、
幅広い選択肢から選びたいです。

大学受験の時、自分の将来を考えなければならない場面で、
私は明確なイメージを描くことができませんでした。
そこで、進路に関して、なるべく多くの可能性を秘めている大学・学部を探し、
見つけたのが、慶應薬学部でした。
私はここで「楽しい」と思える研究に出会い、博士課程へ進んでいます。

薬学研究科 薬学専攻 博士課程2年

肥沼 佳菜(コイヌマ カナ)

(2023年3月現在)

肥沼 佳菜(コイヌマ カナ)

薬の代謝を阻害する成分を果汁の中から探し出す研究に取り組む。
実験は、時間や労力をかければ成果が出るわけではないところが大変。

私が所属している臨床薬物動態学講座(※)では、薬物を代謝(薬物の化学構造を変換し、多くの場合、効き目を失わせる反応)する際に関わる酵素の働きに着目し、その働きを阻害する成分を果汁の中から見つけ出す研究を行っています。
簡単に言うと「薬との飲み合わせ」で、「グレープフルーツジュースで薬を飲んではいけない」とよく言われますが、これはグレープフルーツに含まれる一部の成分が薬の成分と相互作用を引き起こし、消化管内における薬の代謝を阻害することで体内に必要量以上に薬物を取り込ませるからです。私たちは、グレープフルーツ以外にも飲み合わせに関与しそうな果汁の成分があるのではと考え、さまざまな果物を対象に調査しています。
どんな研究にも共通して言えることですが、実験は、必ずしも時間や労力をかけた分だけ成果が出るわけではないので、なかなか思うような調査結果が出ない時は苦しいです。行き詰まった時は、講座主任の大谷先生や、周りの先輩方に相談しています。この研究室は、どんなことも気軽に相談できるやわらかい雰囲気があるので、とてもありがたいですね。

※2023年4月からは臨床薬学講座に改称

肥沼 佳菜 (コイヌマ カナ)画像1

学部生の頃に発表できた論文から自信を得て、博士課程へ。
今の研究室(講座)を選んだのは、先輩方から「研究は楽しい」が感じられたから。

私が博士課程に進もうと決めた大きな理由の一つが、まだ薬学部生だった頃に論文を発表できたことだと思います。論文のテーマもやはり酵素で、薬物を排泄する際の代謝酵素の寄与についてでした。私だけではなく、数名の共同研究で、大変なことを乗り越えるやりがいを感じましたし、最終的には「研究は楽しいもの」と思うことができました。私にとって貴重な体験だったと思います。
臨床薬物動態学の研究室(講座)を選んだ決め手になったのは、先輩方が皆仲が良くて、研究を楽しみながら取り組んでいるように感じられたことです。旅行やBBQパーティーなど、講座内のイベントも多く、とても良い雰囲気です。

肥沼 佳菜 (コイヌマ カナ)画像2
講座内で留学生を受け入れた時の様子

18歳の時点では、将来どんな仕事がしたいのかを明確にできなかった。
だから、進路に多くの可能性を秘めている慶應薬学部が魅力的に映った。

慶應薬学部薬学科を選んだのは、将来の進路が幅広いからです。化学や生物は好きで得意でしたから、関連する大学・学部に行くところまでは決めたものの、どんな職業に就きたいかを考えてもわからない...18歳の時点では、自分の将来のイメージを明確に描くことなどできませんでした。ただ私は、興味のあることは何でもやってみようとするタイプです。ですから、幅広い学びができて、進路に多くの可能性を秘めている学部を選ぼうと考えました。
慶應薬学部は、学部を卒業した先輩方の進路がさまざまで、薬剤師に限らず、研究へ行く人、企業へ行く人、公務員になる人など、幅広い選択肢がありました。これは他の医学・薬学系大学にはない、慶應ならではの特色だと思います。
ただ、私にとっては、薬学科の「薬剤師の資格が取得できること」が魅力に映り、最終的には薬科学科ではなく薬学科を選びました。「研究がしたい」と考える人の条件とは必ずしも一致していませんが、私にとっては、より多くの可能性が担保されていることの方が重要でした。ちょっと欲張りなのかもしれません。

吹奏楽サークルで他学部の人たちとも交流。
アルバイトでは、街の薬剤師として働き、貴重な経験を培っている。

大学生活は入学前から楽しみでしたし、実際、楽しめていると思います。学部生時代は日吉キャンパスの吹奏楽サークル「アンサンブルファミーユ」に入会し、薬学部以外の学生とともに活動しました。担当楽器はフルートです。
演奏会にも参加できて、楽しかったですね。課外活動に割ける時間は、文系の学生に比べれば少なめだと思いますが、4年間マイペースで続けることができました。こうやって自分とは全然違う領域で学んでいる学生と交流できる点は、総合大学の慶應ならではの魅力だと思います。
アルバイトは街の調剤薬局で週1回、博士課程1年から働いています。
アルバイトとは言え実際に薬剤師として働き、研究と薬剤師を両方経験できていることは、自分にとってとても貴重だと思っています。

肥沼 佳菜 (コイヌマ カナ)画像4