膨らみ続ける医療費の削減は、現在の日本の最重要課題だと言えます。 国も自治体も財政ひっ迫を訴える今、解決策として注目されているのがセルフケア。 予防や早期発見に努める、軽医療はOTC医薬品(市販薬・大衆薬)で済ませる、といった習慣が個人に 根づけば、医療費を本当に必要な人々に回すことが可能になります。 こうしたセルフケアによる健康維持、もしくは健康寿命の延伸において、 啓発役として最もふさわしいのが、薬局です。 慶應義塾大学薬学部には「健康サポート薬局」として認定された附属薬局があり、 地域住民の健康増進と薬学部生にとっての実践教育という二つの役割を果たしています。
効能・効果が承認された薬は、世に出て患者さんの服用例が増えていきます。 薬の服用例が増え、そのデータが蓄積すると、使用にかかわるデータを調べることで 薬による良い影響、悪い影響を評価することができるようになります。 そこで、病気の程度や体質の違う患者さんによる薬の効果の違いを考慮しつつ、 安全性や有効性を評価するのが「薬剤疫学」です。 この領域の第一人者である漆原 尚巳 教授はどのような方法を使って研究を進めているのでしょうか。
座談会には収録しきれなかった在学生からの質問に、卒業生・教員が答えました。 英語の勉強に苦労しているという在学生が、 グローバルに活躍する先輩方に勉強の時期や方法を伺いました。
慶應薬学部薬学科(6年制)の学生にとって、薬剤師は関心の高い進路です。 今回の座談会の進行役である郷さんは、 現役薬剤師・元薬剤師のお二人に病院薬剤師と薬局薬剤師の違いについて、訊いてみました。 その答えには、患者さんとのそれぞれの向き合い方が反映されていました。 また、「失敗を怖がりすぎてはいけない」という一言から、 参加メンバーの失敗談トークへ。その結論は、勇気をもらえる内容でした。
座談会には収録しきれなかった在学生の質問に卒業生・教員が答えました。 人生の岐路に立った時、自分の考えとは異なるアドバイスをもらった時、 先輩達はどうやって道を切り拓いてきたのでしょうか? そこには、在校生の価値観を広げる答えがありました。
慶應義塾大学薬学部・大学院薬学研究科の学生数の内訳は、 男子46%に対し女子54%(※2024年4月現在)。少しですが、女子学生の方が多くなっています。 このような現状を踏まえて今回、女性の卒業生・教員・在学生の皆さんに 女性の視点から薬学部出身者のキャリアパスについて、さまざまな角度から話し合っていただきました。 また、後半では、在学生からの関心が高い結婚・出産といったライフイベントが話題となりました。
幼い頃から現在までずっと弾き続けているピアノは、いわばライフワーク。 これからも自分の人生に寄り添ってくれると思いますが、 ピアニストを職業としては選択しませんでした。 ピアノとは別の進路について考え続けているうちに、 自分が人体の仕組みへの興味を持っていることに気づき、慶應薬学部へ。 興味はいつしか研究の種へとつながり、 現在は2つの観点から研究を続けています。 将来は医療の現場で臨床的知識を吸収し、アカデミアの世界へ還元できればと思っています。
薬剤師は、患者さんとの会話から困りごとに気づいて、それを解決する仕事。 ですから、日常の業務の中で小さな異変を感じ取ったり、 「これは何だろう」「どうしてこうなるのだろう」と疑問に思うことが重要です。 私が論文に書いた「リネゾリドと吐き気の関連性」は、 日常の疑問を深く掘り下げていった結果、生まれたものだと思います。 皆さんもどうか、頭に浮かんだ疑問をそのままにしないで、 自分で調べる習慣を身につけることをおすすめします。 そういう姿勢が薬剤師という仕事にきっと活きてくると私は信じています。
「まだ誰も見たことのない構造をもった分子をデザインしたい」。 そんな分子は今までにない機能を備えている可能性があります。 見た目が美しく、機能も持ち合わせた、新しいものを創り出すことが 小林さんの研究テーマです。
大学受験の時、自分の将来を考えなければならない場面で、 私は明確なイメージを描くことができませんでした。 そこで、進路に関して、なるべく多くの可能性を秘めている大学・学部を探し、 見つけたのが、慶應薬学部でした。 私はここで「楽しい」と思える研究に出会い、博士課程へ進んでいます。
*この記事は、『塾』SUMMER 2023(No.319)の「塾員山脈」に掲載したものです。
私は、幼少期から多くのことに興味を持ち続け、 大学受験の際もどんなことを専門的に学びたいのか、絞りきれずにいました。 そんな自分にとって、慶應薬学部の薬科学科はとても向いていると思っています。 その理由は、化学、生物学はもちろん、物理学や数学など 複数分野について幅広く学べる学科だからです。 自分の新しい可能性を見つけられ、きっと将来の選択肢が数多く得られるはずです。
前職の製薬会社では臨床開発として画期的な新薬に関わることができ、 転職後の現在は「適切な医療への案内役」として事業開発に取り組んでいます。 仕事の内容は変わっても、大学の病院実習を通じて抱いた 「新薬で救われる人を少しでも多く増やしたい」という思いは変わりません。 今は、子育てと仕事の両立の真っ最中ですが、 育児休職後も、健康づくりに大きな変革をもたらす事業に関わっていたいです。
私たちの研究のテーマは「市販後の薬をいかに有効・安全に使うか」です。 具体的には、薬の効き方や副作用に関する科学的なデータをもとに、 医療現場で役立つような「情報をつくる」ことに力を注いでいます。 それは、多様で豊富な情報によって薬を育てる「育薬」に他なりません。 医薬品情報学と薬物動態学は、育薬には欠かせない学問であり、 医療現場にとって最も重要であると私は考えています。
バドミントンへの情熱をずっと持ち続けていたい。 将来は、薬の開発に携わる研究職に就きたい。 どちらも諦めたくないし、ぜひ達成したい目標だから、 自分ががんばれているのだと思います。 結果として、学業と部活を両立できているのだとしたら、 それは慶應薬学部で出会った多くの人達が支えてくれているからです。
鼻や腸など常に体の外と接している器官の粘膜面では、 細菌やウイルスに対する防御を担う免疫のしくみが発達しています。 この機能を解明することは、新しい治療薬や治療方法の開発に重要です。 実は眼にも免疫機能が存在しますが、詳細はよくわかっていません。 大谷さんはこの眼の免疫機能に注目し、研究に取り組んでいます。
病院薬剤師の経験と薬の体での作用の仕方に関する基礎研究の経験を持つ堀 里子 教授は、 現在、患者視点での情報を広く集めて生かす方法を模索しています。 患者の治療をより良くするための情報は、患者の日々の暮らしの中にも 埋もれていると考えているからです。薬とは一見関わりが無いような情報群から 薬にまつわるデータを集める意味を伺いました。
「どうして、そうなるのだろう」というメカニズムへの興味が、 私の研究者としての人生にとって、最も重要なものです。 学生のみなさんも、薬学部で学んでいくにあたって、 ぜひ「興味が持てること」「夢中になれること」を見つけてください。 そのことがきっと、みなさんの人生を豊かにしてくれます。
私はもともと好奇心旺盛な子どもで、特に理系全般に強い興味を持っていました。 その数ある興味の中から薬学との縁がつながり、 今は、研究者になるという夢をめざしています。 思えば自分は、知的好奇心をかきたてられるような楽しいことをしたい性分で、 だからこそ、新しい興味を見つけ出すために視野を広く持とうと心がけてきました。 そんな私にとって、研究とは、 自分の知的好奇心を満たす楽しい旅のようなものかもしれません。
このインタビューは、 『東進 進学情報Vol.426(2022年7月22日号)』からの転載です。 長谷耕二教授の研究内容、研究室の様子、 高校生の皆さんへのメッセージをご紹介します。
慶應義塾との縁がつながったのは、幼稚舎(慶應義塾一貫教育校の小学校)の頃です。 幼い時によく乗っていたバスの車窓から幼稚舎が見えていて、 「ここに行ってみたい」と親に言ったのだそうです。以来、小学校・中学校・高校と慶應義塾の 一貫教育校で学んできましたが、私は「自由の中にも規律がある」ことを学生達が よく知っているところに慶應らしさがあると思います。のびのびといろいろな可能性を試していく中で、 だんだん自分らしさを見つけていく。私もその過程の途中です。
ゲノムやタンパク質の網羅的な解析が進む中、脂質については、 その重要性にも関わらず網羅的解析が可能になってきたのはごく最近のことです。 そしてついに、2021年10月より慶應義塾大学薬学部が中心となって 「リピドームアトラスプロジェクト」が発足しました。 この研究を指揮する有田誠教授は、脂質の構造多様性や機能から生命の謎を解き明かそうとしています。
高校の授業で初めて知ってから、遺伝子というものにずっと惹かれています。 将来は遺伝子の研究がしたい、そのために最高水準の教育を受けたいと思い、 全国に視野を広げて、大学を選びました。 全国には魅力のある大学がたくさんありますが、地方で暮らしていると、 そういう情報はなかなか届いてこないです。でも、それではもったいないと 思いませんか?自分の将来の選択肢について、もっと情報収集してみませんか?
薬になる化合物は、植物や微生物などの生物の体内から見つかることもあります。 しかし、多くの場合は量が十分ではありません。 藤田さんはそのような化合物を効率よくたくさん作る方法や、 手に入る素材から簡単に作る方法など、薬を“つくる方法”について研究しています。
慶應薬学部では、5年生になる現在まで充実した日々を過ごしています。 授業と部活だけでは自分への刺激が足りないと感じ、 タイの国際プログラムに参加しました。 また、文化祭では広報課に所属し、副代表を務めさせていただきました。 いろいろな体験をするたびに、将来の選択肢が増えていく気がします。
講座名を「分子創成化学」とさせていただきました。 まだ世の中にない新しい分子骨格を「自らの手で創る」からです。 創りだした化合物は、性格も物性も、なにもわからない、未知のもの。 だからこそ、わたしたちの研究は「自由」であり、冒険心にあふれています。
薬剤師は、薬局や病院の中で働く仕事。 もちろん、多くはそのイメージだと思いますが、 私はそれだけではないと考えています。 薬剤師という国家ライセンスを持った上で、薬の専門家としての知見を活かし、 企業で、省庁で、あるいは海外で活躍することもできます。 ぜひ一度、広い視野で「薬剤師」という職業を考えてみてください。
高校・大学と自分の学生生活を振り返ってみると、 「周りに負けたくない」という気持ちが原点にあることに気づきました。 自分が成長していくには、優れた人が周りにいる環境に まず自分の身を置いてみることが大事です。 慶應義塾大学薬学部は、私にとって自分を成長させてくれる環境だと思います。
みなさんは本学の薬学部で、どんなことを学びたいですか? その答えをはっきりと見つけ出してから、受験を決めてほしいと思います。 このコラムでは、本学で行われている研究の一例として、 私がずっと研究を続けている「腸内細菌」について紹介していきます。 ぜひ自分の進路を決めるための参考にしてください。