自分の視野を広げてみよう。
可能性が、見つかるから。

高校の授業で初めて知ってから、遺伝子というものにずっと惹かれています。
将来は遺伝子の研究がしたい、そのために最高水準の教育を受けたいと思い、
全国に視野を広げて、大学を選びました。
全国には魅力のある大学がたくさんありますが、地方で暮らしていると、
そういう情報はなかなか届いてこないです。でも、それではもったいないと
思いませんか?自分の将来の選択肢について、もっと情報収集してみませんか?

薬学部 薬科学科3年

礒﨑 雅子(イソザキ マサコ)

2021年11月時点

礒﨑 雅子(イソザキ マサコ)

シンプルな原理でありながら奥深い遺伝子。
その神秘性に、今でもずっと惹かれ続けて。

私は、鹿児島から慶應義塾大学薬学部に入学しました。興味の対象は薬学というよりは生物の分野で、特に遺伝子には初めて習った時からずっと、その神秘性に惹かれています。たった4つの塩基を組み合わせるというシンプルな原理で人の身体の中の情報がすべてコーディングできる点に驚かされますし、その原理が解明されるまでに研究者たちのとてつもない時間と労力が費やされたことにも敬意の念を抱いています。そんな自分が惹かれ続けている遺伝子の研究に将来携わってみたいと思い、色々な選択肢の中から慶應薬学部を選びました。

地方にいると大学の選択肢の多さを見落としがち。
受験は「受けたい大学を知ること」から。

慶應薬学部を選んだ理由を一言でいうと、伝統と実績ということになるでしょうか。自分がめざしている研究分野に関する最高水準の教育を受けるには、優秀な卒業生を今までに多く輩出した大学へ進むのがいいだろうと考えました。慶應はその条件にぴったりで、しかも、パンフレットで見たキャンパスがとても綺麗で好印象でした。ここなら、自分が通って学んでいるイメージが描けると思いました。
高校生の情報源は、多いとは言えません。学校や先生から確度の高い情報が得られるはずですが、周りの友人や先輩といった近しい人たちの言葉に自分の気持ちが左右されたりもします。東京と比べると地方は大学数が少なく、限られた大学の情報に偏りがちです。しかも、九州や北海道だと東京の大学のオープンキャンパスへおいそれとは行けないですから、先生方や先輩方の言葉、学内の雰囲気、周辺の環境といった現地ならではの情報は入手できないと諦めそうになってしまいます。でも、それではもったいないと思います。今は、インターネットでも多くの情報を収集することができます。例えば、キャンパスの雰囲気は動画で観ることもできますし、先生方や先輩方の言葉を目にすることもできます。自分の将来の可能性を広げるためですから、できるだけ多くの大学の情報にふれて、通いたいと思う大学の選択肢をもっと増やしてみてください。

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「料理は実験」とある日、開眼。
飲食店でのアルバイトが、社会に対する視野を広げた。

東京での一人暮らしは、苦手な家事は特にありませんが、全部一人でこなさなければいけないのが、やはり大変です。私は実家にいる間、ほとんど手伝いをしなかったので、両親には本当に頭が下がります。東京に出て来て初めて包丁を握り料理をしてみたのですが、指を切ってしまい、慌てて母に電話したこともありました。ただ、ある日、レシピを見ながら料理を作ることが「実験に似ている」と感じてからは、我ながら上達が早かったと思います。レシピの手順ひとつひとつには理由があって、すべて理論で説明可能なんですね。せっかくそれなりに包丁を扱えるようになったので、これを活かしたいと思い、今は飲食店でアルバイトをしています。接客をする機会もあるので、それは自分のためにもなるはずですから。高校時代は自分と同じような環境で育った人たちと、一緒にひたすら勉強する日々で、有意義だったけれど、それだけでは視野が狭くなってしまいます。アルバイト先には色々な人がやって来て、さまざまな話をすることができます。たわいのないことですが、楽しいですし、貴重な経験になっていると思います。

研究の仕事が自分に合っているのか、まだわからない。
それでも前を向いて、がん研究に取り組んでいく。

講座(研究室)を選ぶ段階で気づいたのですが、私の中にはひとつ、大きな疑問がありました。「自分は研究に向いているのだろうか?」ということです。与えられた課題をやることには慣れていても、研究となれば、まだ誰も見つけられていない新しいものを見つけなければなりません。そんなこと、はたして自分にできるのだろうか?と...。考えた末に辿り着いた答えは「がんの研究に挑戦してみる」というものでした。
がんは遺伝子に起こる変化が原因で起こる病気です。大きな失敗をしてしまった、なかなか結果を出せない、そんなつらい状況に陥ったとしても「難しい病気の研究をしているのだから、きっと多くの人の役に立つはず」と思えれば、モチベーションを維持できるかもしれないと考えました。自分本位な考え方になってしまっているかもしれないですが、とにかくそんな方針で、長谷耕二先生の生化学講座を選びました。
生化学講座は外部との連携に積極的で、東京医科歯科大学の難治疾患研究所病態生理化学分野も外部連携先の一つでした。この環境なら、私の大好きな遺伝子を使った研究が存分にできそうだと思い、決めました。講座主任の長谷先生やアドバイザーの須貝威先生に相談させていただいたのですが、両先生とも、きっと自分の力になると言ってくださり、私の背中を押してくれました。先生や友人のいるキャンパスから離れるのは、少し不安もありますが、自分の挑戦のために一歩踏み出すことにしました。そんなふうに始まった研究ですが、今は楽しいと思いながら取り組めています。失敗することもありますが、むしろ失敗することに価値があるのだと思います。失敗してやっとわかる、新しいことがあります。そうやって日々新しいことがどんどんわかっていくことにやりがいを感じています。

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