優れたライバルのいる環境が、
自分を成長させてくれる。

高校・大学と自分の学生生活を振り返ってみると、
「周りに負けたくない」という気持ちが原点にあることに気づきました。
自分が成長していくには、優れた人が周りにいる環境に
まず自分の身を置いてみることが大事です。
慶應義塾大学薬学部は、私にとって自分を成長させてくれる環境だと思います。

薬学研究科 薬科学専攻 修士課程2年

関 誠悟(セキ セイゴ)

2021年11月時点

関 誠悟(セキ セイゴ)

「薬はどうして効くんだろう」
薬科学科を選んだきっかけは、幼い頃の素朴な疑問。

幼い頃から手荒れがひどくて、塗り薬のお世話になっていたんですが、塗って治るたびに「どうしてこの薬は効くんだろう」「自分の身体で何が起こっているんだろう」と薬への興味が深まっていきました。大学受験で進路を決める時、自分は何を学びたいのかと考えたのですが、それで思い浮かんだのが、子どもの頃に持っていた薬への疑問でした。
慶應義塾大学薬学部には、薬学科と薬科学科の2つがあります。私は、受験当時は薬を作りたい気持ちが強かったことから、薬科学科を選択しました。

生物という予測が難しいものが対象だからこそ、
研究者はロジカルに徹しなければならない。

慶應薬学部には特色のある講座(研究室)が多くあるのですが、その中から私は薬剤学講座を選びました。理由のひとつは、計算をする機会の多い薬物動態学を扱っていて、それが私にとっては楽しいと思えたこと。もうひとつは、自主性を重んじる方針です。1人につき1つ、テーマを渡されるんですが、とても大変な分、やり遂げられたら成長できるのではと思えて、自分には合っていると感じました。
今は、赤ちゃんとお母さんをつないでいる胎盤について研究しています。妊婦さんの薬物治療はとても難しく、お母さんには有益でも、赤ちゃんには有害なことも多々あります。どうすれば母子両方に安全に薬物を投与できるか、それが今の研究の課題です。
より具体的に言うと、細胞膜を隔てて細胞外や細胞内の物質を移行させるトランスポーターというタンパク質が存在しており、私は胎盤における、あるトランスポーターの機能を理解しようとしています。これを理解することで、赤ちゃんに薬物がどれくらい輸送されるかの予測を立てることができ、赤ちゃんにとってより安全な投与計画の立案や、そのトランスポーターを活かした新薬の開発にもつながる可能性があります。
研究室のみなさんは、研究に四六時中ずっと没頭しているわけではなく、大事な局面で集中している感じで、ONとOFFがはっきりしています。私は当初、研究者は多少浮世離れした人なのかと思っていましたが、実際は全く違っていて面食らいました。無駄なことはする必要がない、という論理的な考え方が一貫しています。生物という、どんな反応が返るのか予測が難しいものを対象にしているからこそ、研究者は徹底してロジカルでなければならない。そういう姿勢を学びました。

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大学では何か新しいことに挑戦したくなり、
今までやらなかったラグビーに挑戦。

研究以外の学生生活では、サークル活動で医薬学部ラグビー部に入っていました。中高とバスケをやっていたのですが、大学では何か新しいことに挑戦したいと思い、ラグビーを選びました。先輩がかっこよかった、というのが入部理由です。ふだんはおもしろい人たちなんですけど、試合中は目の色が変わって、激しく相手にタックルしていったり。そういうふうに仲間のために自分の身体を犠牲にできるところに、かっこよさを感じました。激しい肉弾戦はラグビーの醍醐味で、私は見ていて楽しいと思います。
少しだけ自慢させてもらうと、私が4年生の時に主将を務めさせてもらい、2部で17年ぶりに準優勝することができました。その瞬間は、つらい時もあったけど、続けてきて本当に良かったと思いました。4年生で引退してしまったので、体重は15キロほど落ち、今はすっかり細くなってしまいました...。

優れた人がいる環境で生まれた思い、
「周りに負けたくない」が自分の原点。

就職先は製薬会社のPV(ファーマコビジランス)部に内定しました。PV部は医薬品の安全性を司る部署で、臨床開発初期の治験から市販された後まで一貫して情報収集し、関係者への報告や適正使用情報の立案などを行います。言ってみれば、医薬品の監視活動を行う部署です。薬にはリスクとベネフィットの両面があり、監視活動によってリスクをうまく管理して抑制できれば、ベネフィットを高めていくことができます。
内定先のPV部は50人ほどの部署で、競合他社なら100人以上になるでしょうから、かなり少ないと言えます。だからこそ、自分にいろいろな業務が回ってきて早くから経験を積める、自分が成長できる環境だと言えます。もともと会社自体に向上心があふれていて、世界でもっと上を目指していこうという視座の高さを感じました。
高校受験の頃からなのですが、自分より優秀な人が多い環境で育ってきました。周りのライバルに自分が負けるのが嫌で、だからがんばってこられたんだと思います。そうやって周りの影響を受けながら成長し、今の自分があるのですから、これからも成長できる環境に身を置いて、自分を磨いていきたいです。

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