自分にとっての研究は、
知的好奇心を満たす旅でもある。

私はもともと好奇心旺盛な子どもで、特に理系全般に強い興味を持っていました。
その数ある興味の中から薬学との縁がつながり、
今は、研究者になるという夢をめざしています。
思えば自分は、知的好奇心をかきたてられるような楽しいことをしたい性分で、
だからこそ、新しい興味を見つけ出すために視野を広く持とうと心がけてきました。
そんな私にとって、研究とは、
自分の知的好奇心を満たす楽しい旅のようなものかもしれません。

薬学部 薬科学科3年

及川 堅己(オイカワ ミコ)

2022年6月時点

及川 堅己(オイカワ ミコ)

高校での勉強は今、きちんと役に立っている。
学びを積み重ねている実感が、うれしい。

私が通っていた高校は、教養主義を掲げていて、いろいろなことに興味を持つことを良しとしていました。そのスタンスは、もともと好奇心旺盛だった私の性格に合っていて、幅広く学びたいと願う現在の自分を確立してくれたと思っています。
また、母校はSSH(スーパーサイエンスハイスクール)の指定を受けていたこともあり、外部から講師の方を招聘しての講演を数多く開催していて、私も積極的に参加しました。講演のテーマの中には、分子生物学などの薬学にまつわるものもあり、薬学への興味も膨らんでいったと思います。ただ、受験期の私の興味はいわば理系全般に及ぶもので、薬学に限定してはいませんでした。入試は理系のさまざまな学部を受けていて、結果として幸いご縁があったのが、私の数ある興味の中のひとつである薬学であり、慶應薬学部薬科学科でした。
入学してみて実感したのは、高校で学んだ化学や生物の授業は決してムダではなかったんだということ。
率直に言って、大学では高校とはまた全然違うことを学ぶんだろうと予想していましたが、薬学部に関しては、最初に高校の化学や生物の延長線上にあたるところから習っていきます。今までの勉強が「直に活きている」し、ちゃんとつながっている感じがして、なんだかうれしくなりました。

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学びに集中できる雰囲気を持つキャンパスに好印象。
ここから薬学を基点とした自分なりの研究が始まる。

芝共立キャンパスは、通っていた高校が意外と近いこともあり、親近感がありました。建物3つのコンパクトなキャンパスですが、そこに「少数精鋭で仲間と一緒に学問や研究に集中している感じ」があって、高校時代から研究者をめざしていた私にとっては好印象でした。
研究者と言っても薬学に限っているわけではなくて、自分の興味の対象と同様、広い意味での研究者になりたいという思いは大学入学前からずっとあります。ただ、私を含めて幼い頃から兄弟がみな病気がちで、昔から薬や病院にはお世話になって、身近な存在でした。ですから、研究職として働くのなら、やはり医学系・医療系を選択するのではないかと思います。
この秋からは長谷先生の生化学講座への配属が決まっているのですが、生化学講座を選んだ理由のひとつは外部と連携研究していること。いくつかの連携先の中から、東京医科歯科大学の難治疾患研究所病態生理化学分野を選びました。この選択は、幅広く学びたいという私の意思に沿ったもので、慶應薬学部で薬学を修めた後の進路も、幅広い選択肢の中から決めていきたいと思っています。その第一歩となる研究室の選択としては、この道しかないんじゃないかと思えました。

部長として、部活を楽しむ雰囲気づくりに努める。
ただし、学生の本分である学問は忘れずに。

部活は薬学部バドミントン部に所属していて、部長を務めています。経験者と初心者が半々くらいだったので、部の運営方針として「みんなで楽しく」を打ち出し、初心者の人たちがだんだん上手く打てるように練習メニューを組んでいきました。経験者にはちょっと物足りなかったかもしれないけど、うまくなった初心者を含めて、みんなで試合できれば楽しいですから、そういう楽しい雰囲気を部長である自分と幹部陣でつくっていくように心がけていました。
ただし、楽しい雰囲気づくりはとても大切ですが、だらけてなあなあになってはダメですから、部活の休憩時間に例えば授業の話題を出したりします。時々顔を出してくれる先輩から研究の話も聞きますし、後輩からの質問にも答えます。大学生の本分は学問ですから、日常の会話の中に自然と授業や研究の話が出てほしいんです。母校の校風が「文武両道」で、私は学生にとって大事なことだと思い、部員のみんなとも共有できたらと考えました。そういう雰囲気づくりに努めた結果、みんなの学問に対するモチベーションは上がりましたし、練習や試合はしっかり楽しもうという姿勢は共有できました。部活と勉強の両立は、実現できていると思います。

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休憩中の様子
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練習中の様子

知的好奇心をかきたてる楽しいことをしていたい。
そのために、自分は視野を広く持とうとしている。

私は今、薬学にとどまらず、広い意味での医学・医療系の研究者を志しています。
自分はずっと数多くのことに興味を持ち続けていますが、複数の分野を幅広く知っている人間だからこそ可能になる研究があると思っています。一つのことを極めるやり方はもちろんあっていいと思いますが、私はそちらではなく、好奇心の赴くままに次々と研究に携わるやり方を採ります。研究に限った話ではないですが、視野を広く持ち、経験を多く積むほど人間的には豊かになっていくのだと思います。
そんな自分のことを実は怠惰な人間だと思っていて、知的好奇心をかきたてるような楽しいことしかやりたくないんです。それに、自分だけのためだと腰が重くて、人の役に立つことなら動きたい。それが私の性分です。だから、自分を動かすために、好きなことを増やしていく。そのためには視野を広く持たなければならない。そんなふうにして、私は自分を飽きさせない工夫を編み出したのかもしれません。

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