医療現場の課題から研究課題を抽出し、薬局薬剤師業務を支援するツールの開発、社会における薬剤師貢献度のみえる化、セルフケア分野での薬局薬剤師業務の提案に注力する

社会薬学は、その学問・研究を通じ、薬学がどのように社会に応えていくかを明確にしていく役割を有しています。医薬品は、人間の生命と健康維持に直接かかわるため、医薬品を提供する立場にある薬剤師の社会的責任は極めて大きいと言えます。特に処方せんを調剤する薬局薬剤師は、医療人として患者に接する最終的存在であり、医薬品の副作用から患者の安全を守る最後の砦と言えます。また、医薬品をはじめセルフメディケーションに資する健康関連物質の適正使用とその管理における薬剤師の社会的要請が年々高まっています。加えて、薬剤師が未病(=疾病発症手前の状態)の段階で国民のセルフケアに介入し、健康維持・増進を推進することが強く求められています。さらに、超高齢社会を迎える我が国では、社会の変化に対応できる医療システムの確立も課題となっています。

社会薬学部門では、地域医療に係わる薬局・薬剤師業務にフォーカスをあて、社会の動向を把握しながら、薬局・薬剤師がどのような形で社会に貢献できるのか、そのエビデンスの構築を目的に、薬剤師業務を定量化し、有用性をわかりやすい形で社会に向けて情報発信することを目指し、研究を進めています。特に、薬局の検体測定室普及の問題点、電子版お薬手帳の有用性、医薬品の適正使用における薬剤師の介入効果、アンチ・ドーピング活動、健康食品等の使用に関する研究テーマに注力しております。
また、社会薬学部門は、薬学部附属薬局とも密に連携していますので、教育・研究機関である大学と、医療機関である薬局の両方の視点から、両者の資源を融合させ、問題解決に挑みます。

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